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オークション対策チケットシステム EMTG インタビュー

インタビュー スペシャルインタビュー

左から:冨田義博氏、佐藤 元氏、飯沼裕樹氏
左から:冨田義博氏、佐藤 元氏、飯沼裕樹氏

エキサイト・ミュージック・エンタテインメント株式会社
代表取締役社長 冨田義博氏

エキサイト・ミュージック・エンタテインメント株式会社
取締役 EMTG事業部 事業部長 佐藤 元氏

エキサイト・ミュージック・エンタテインメント株式会社
副事業部長 飯沼裕樹氏

 各方面から問題視されているコンサート・チケットのオークションなどによる違法転売。近年はチケット代行取得業者のみならず一般のユーザーまでもが転売するケースが増えている。そんな現状に対して、エキサイト・ミュージック・エンタテインメント株式会社は、チケット転売防止を目的とした会員組織「EMTG(エンタテインメント・ミュージック・チケット・ガードの略)」(以下 EMTG)を2008年6月から開始。第一弾アーティスト「コブクロ」のファンイベントや2009年の全国ツアーにおいて大きな成果を上げた。業界内からも注目を集めるEMTGのサービス概要や実績、そして今後の展望まで、エキサイト・ミュージック・エンタテインメント株式会社代表取締役社長冨田義博氏、取締役 EMTG事業部 事業部長 佐藤 元氏、副事業部長 飯沼裕樹氏のお三方に話を伺った。

[2009年12月4日/渋谷区恵比寿 エキサイト・ミュージック・エンタテインメント(株)にて]

 

——まず最初にEMTGの概要を簡単にご説明いただきたいのですが。

冨田:EMTGでチケットを買われる方は必ず顔写真付きの「EMTGカード」の発行手続きをしていただくのが条件になっています。チケットが当選したあとに作っていただければ良いチケット販売もありますが、ただ写真を登録していただかないと当選したチケットは無効になります。

 そして、EMTGでチケットを取った方は必ずEMTGカードを持っているので、ライブの当日に入場するときはEMTGカードとチケットを持ってきていただきます。チケットには名前も記入してありますので、入場ゲートでEMTGカードの名前とチケットの名前が一緒かどうか、そして、ご本人の顔写真を確認してから入場する仕組みになっています。そうしますとチケットを購入したご本人しかご入場できないので、オークションなどに出品して人に譲ることができませんから、不正オークションを封じ込める効果が期待できます。

——このEMTGを立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか?

冨田:実はコブクロの事務所さんの要請で始まりました。コブクロのファンが拡大するにしたがって、チケットがみんなに行き渡らないという現象が出てきてしまったんですね。その一方で、転売目的でチケットを購入した人が高値でオークションに出品したりして、長年のファンがチケットを獲得できないという状況が何度も続いたからです。

 前年はチケットに名前と住所を入れて、身分証明書を持ってきてもらうというごく一部の人に「コブクロ方式」と言われている入場方法でやっていたんですが、顔写真が入っていない身分証明書ごとオークションに出されてしまったりしたんですね。もちろん全くフリーでやっていたときよりは抑制力はあったようなんですが、依然不正オークションが多いという中で「何とかして欲しい」とご相談を頂きまして、一緒に作り上げたのがEMTGのシステムです。

——EMTGはどのくらいの期間で立ち上げたのですか?

冨田:タイミングもよかったんですが、ご相談を頂いて三ヶ月くらいで立ち上がりました。サービスは2008年6月に立ち上げ、「コブクロ・ファンフェスタ2008」の際に実用化されました。この「コブクロ・ファンフェスタ2008」はコブクロさんにとって、結成10周年という記念すべきライブで、オークションチケットが多数出て、ファンがチケットを買うことができないということはどうしても防ぎたいというご要望からファンフェスタよりスタートすることにした次第です。

——「コブクロ・ファンフェスタ2008」での実績は?

冨田:このイベントで約5万人の方々にEMTG会員になっていただき、そのうちの2万5千人にご来場いただきました。その後、単発のイベントを挟んで、先日全国ツアーが終わって結果が全て出ましたので、これからコブクロさん以外のアーティストさんにもご案内していこうとしている段階です。

——アーティストサイドやユーザーサイドからはどのような声が聞かれましたか?

冨田:コブクロの事務所の社長さんは結構ファンの人たちに話しかけられるんですが、みなさん「社長、チケットが獲れるようになったよ」と言っていたそうです(笑)。「みなさんにチケットが行き渡るようになったこと」が何より一番大きな成果だと社長さんも仰っていましたね。

——各地のイベンターの反応はどうですか?

飯沼:今回は初の導入でしたから、各イベンターさんも最初は不安を感じられていたようなんですが、事前に全国のイベンターさんを集めて会議をやりまして、システムや入場の方法を一回ご説明させていただいた上で,さらにツアー初日のライブにて全イベンターさんによるシュミレーション並びに問題点の話し合いを行い、なおかつEMTG会員数から割り出した入場口の数ですとか細かく打ち合わせをさせていただいたので、特に混乱もなく、どの会場もスムーズにご入場いただけたので良い評価を頂けたのではないかと思います。

——イベンター側からも他のアーティストへの展開の期待がありましたか?

冨田:そうですね。イベンターさんもオークション対策に苦慮されていて、アーティストさん側からも「どうにかしてほしい」とお願いされているようですから、EMTGに対する期待は大きいですね。ファンのために僕たちも挑戦をしていかなければならないことは、十分理解しているんですが・・・。といっておられました。

——すでに各方面からの引き合いはあるのですか?

冨田:ありがたいことに「説明に来て欲しい」という声はすでにいただいています。今回のコブクロのツアー中も色々な事務所さんにEMTGを実際に見ていただいてます。ただみなさんが口をそろえておっしゃるのは、コブクロファンのみなさんのモラルの高さと優良なファンであるという点です。どのプロダクションさんもコブクロファンの皆さんを評価されているように思います。ですから、所属アーティストのファンの皆さんが本当にこのシステムを自分たちファンのために導入していくのだという意識を持っていただけるのかどうかというのが一番の不安材料であると考えているようです。

EMTGEMTGtop

——EMTGは「チケットトレードセンター」の存在も画期的ですね。

冨田:そこがEMTGの肝ですね。現状、チケットを購入したあとにコンサートに行けなくなると友だちに譲るか、オークションに出すしかないわけですが、EMTGのトレードセンターは友だちに譲ることもできますし、定価で全く知らない人に譲ることもできます。

飯沼:チケットの先行販売は通常かなり早い時期に行われますから、公演直前になって何かしらの都合で行くことができなくなる方がいらっしゃるわけですが、その方々にトレードセンターをご利用いただきました。しかしながら、あくまでも最終的にEMTG会員内のトレードにこだわり、悪質なオークション対策のため厳重な注意と制限をかけることは非常に重要だと考えています。

——トレードセンターの仕組みはどのようになっているんでしょうか?

飯沼:公演1ヶ月前までの「通常トレード」、つまり発券前のトレードに関してはお金のやりとりからチケットのやりとりまでEMTGが管理をして、ユーザー同士が介することはありません。対して名前がすでに印字されてしまっている発券済のチケットに関して24時間前までトレードできる「直前トレード」はお客様同士でやりとりをしてもらいますが、入場に際して特別ゲートがありまして、EMTGカードのQRコードをかざすと券面の名前と新たに来場した人の名前がPC上に表記されて、それで確認しています。実際にコブクロの全国ツアーでは不正取引に関する問い合わせは一切ありませんでした。

——実際にどのくらいの人が「トレードセンター」を利用したんでしょうか?

飯沼:「通常トレード」に関しては、全発行チケットの約6%、1万3千人ほどの方にご利用いただいています。「直前トレード」は7,500枚ほどがトレードされていて、今年はインフルエンザの流行もあり、多くご利用いただいた印象があります。トレードがなかったらチケットはどうなっていたのだろうと思うと、非常に良い結果が出たと思います。

佐藤:またチケットの発売が終わってからトレードに参加するためにEMTGの会員が増えていったんですね。それにはすごく驚きました。

——EMTGが間に入ってくれるという安心感が入会者の増加に繋がったのかもしれませんね。

飯沼:そうですね。一般発売の後、売り切れたチケットを買うためにみなさんYahooオークションや転売サイトを利用するので価格が上がってしまっていますが、EMTGは定価ですので、みなさんにご利用いただけたのではないかと思っています。

——また、先ほどのお話にもありましたが、抽選の重複当選がなく、チケットが行き渡るシステムはとてもいいですね。これもEMTGの立ち上げときにはあった要望だったのですか?

飯沼:ありました。トレードセンターではチケットを持っているか、持っていないかを管理することができ、チケットを持っている人しかトレードに出せないので、まず詐欺被害がなくなります。そしてチケットを持っている人は同じ公演に入札ができないようになっているので、必然的にチケットを持っていない方が当選することになります。

——会場でのオペレーションはどのようになっているのでしょうか?

飯沼:EMTG導入前は身分証明書のチェックを事前に行い基本的には2回のチェックを行うために、ファンの皆様には多大なる時間を費やしていただき、結果、開場の数時間前から受け付けるような体制でした。EMTG導入後は基本的にはチケットをもぎるところに一人ずつチェックする人を立てていただくだけの簡単なオペレーションに改善できました。

——顔の確認などは機械だとなかなか難しいでしょうしね。

冨田:そんなことはないのですが、現場ではアナログとデジタルの併用が最善だと判断しました。アナログ対応による顔認識でもほとんどの対応はできると考えていますが、問題があるものに関しては、QRコードによるデジタル確認も併用して行い、アナログとデジタルを併用してより確認効果を高めましたので、何の問題もなく行えました。将来的にはそのQRコードを利用して今後の対策の向上化をはかれるようにも考えてはいます。

——EMTGの年会費や入会の手間などに関してユーザーの反応は?

冨田:もちろん、不慣れな方もおられ、ご迷惑をおかけしたことも確かにあったかと思いますが、このシステムの重要性を理解していただき、ファンの皆様に当然のごとくご協力をいただけることがこのシステムの最重要点だと考えておりました。

 私たちも、このシステムの管理のために、できる限りの説明と簡素化を図りましたが、最終的にはコブクロファンのご努力のおかげだと思っております。このように非常に多くの皆様にご入会いただけたことは、システムづくりをしてまいりました私たちにとって、大きな勇気と励ましとなりました。

——会員の年齢層はどういった構成なのでしょうか? やはり若い女性が多いのでしょうか?

冨田:コブクロのファンの年齢層はとにかく幅広いんですね。もちろん若いファンもたくさんいるんですが、ご年配のファンもたくさんいらっしゃるので、そういった方々にも入会していただいてます。

飯沼:年齢層で言いますと20代・30代が一番多いんです。ただ50代でも8%とかなりいらっしゃいますね。

——EMTGの今後の展望は?

佐藤:EMTGシステムは、アーティストと多くのファンのみなさんのかけ橋です。それがコブクロさんの今回のシステム利用にて十分実証されましたので、他のアーティストさんにとっても、このシステムにより同様の効果をもたらせるものと確信しております。

 ファンの皆様にとってもチケットの不正販売やオークションを排除することにより、定価にて安心してご購入いただけるチケット販売システムをご提供できますし、その後のトレードシステムによるフォロー体制も確立されましたことから、ファンの皆様を守っていくということにも貢献できると考えています。

 このデータを生かし、ミュージシャンのライブファンをより多く共有することによる相互間メリットも発生してまいると確信しております。今後は、ライブファン全体をとらえ、ファンの方々が相互間でミュージシャンのライブ先行にも参加できるような形を作り、ファンの皆さんのメリットをもっと増やしていきたいと考えています。

——今後、スポーツや演劇のチケットも扱っていく予定はありますか?

冨田:そうですね。まずは音楽でのサービスを展開してまいります。ただ、たとえば、先日の北京オリンピックの開会式のチケットなども高値でオークション取引がされていたかと思いますが、ゆくゆくはそういった方面のチケットなども扱っていければ、社会への貢献もできるかと思います。

——すでに今後EMTGでチケットを販売することが決まっているアーティストはいらっしゃいますか?

冨田:まだ決まっていません。コブクロのツアーが終わり、コブクロファンの性別、年齢層や、皆さんが全国のどこにいらっしゃるのかなど、多数のデータが揃ったところです。今後はこのデータを生かし、コブクロライブをどうとらえていくのかについて、事務所さんともいろんな情報を共有し、われわれの持つノウハウを蓄積している段階です。この検証とEMTGの効果を基にし、今後、各ミュージシャン、プロダクションに公開をし、ご理解をいただいた各関係者の皆様と関係を深めてまいりたいと思っております。

佐藤:現在は今回行われましたコブクロのライブツアーにおける対策内容と対策結果を資料にしています。まずはオークション対策を最優先に考えておりますが、今後はこれらのデータをどう活用していくのかについて、アーティストさんや事務所さんとどのようなパートナーシップを組んでいけるかを検討していきたいですね。

——各事務所もオークションにはそうとう頭を悩まされていると思います。

佐藤:そうですね。問題は、チケットを販売されてから実際にご来場いただくまでの管理をなされていないことなんです。チケットの購入者はどこのどなたなのかを知るには、ライブに参加される全員の登録が必要なのです。

 まずは、コブクロさんのツアーでは、ツアーに参加される皆さんが全員EMTG登録をされます。もしくはライブチケットの当選が確定してからEMTG登録を済ませていただいてチケットをご購入いただくことになります。ですから、どのチケットがどなたの手元に届いたのかが確実に把握できます。他のプロダクションさんではファンクラブ会員の先行を実施されますが、同行者の登録というものは全くない状態ですので、それがすべての来場者を管理できない最大の原因です。また、その先行の回数はほとんどが1回です。

 コブクロの有料会員の方は、今回のツアーを取ってみても、(1)有料会員だけの先行、(2)有料会員がチケット会員(EMTG単独会員)を同行できる先行、(3)有料会員が非会員を同行できる先行、という具合に信頼のおける有料会員様向けの先行を充実させています。簡単に言えばコブクロの事務所さんはファンの皆さんを信頼しているともいえるでしょう。ファンとアーティストすべてを含めた環境整備がオークション対策の第一歩だと考えています。

——ライブに来ていただく方の全体像が見えるということですね。

佐藤:ライブに来ていただく方の全体像というのは、実は1回のツアーではわからないのです。コブクロさんで言うと、今年の1回のツアーだけではなく、これからも毎年ツアーを重ねていかれることになります。今年ご来場いただけた方の中でも、来年も来ていただける方もあるでしょうし、何らかの都合でご参加いただけない方もあるでしょう。また今回のツアーで初めてコブクロさんのライブを見たという方もおられますし、次回のライブで初めて見られる方もおられるでしょう。

 実はこのライブ来場者の全体像というものは毎年行われるツアーの延べ人数として積み重ねていくものであって、そのデータは減ることはあり得ないのです。一回でもコブクロのツアーに参加されたファンの方々がどなたなのかを把握し、次回のツアーにも必ずご参加いただけるように、確実に事務所サイドからご案内をさせていただきます。コブクロのツアーの今回の動員数は24万人ですが、毎年データを積み重ねていけば、ツアーを3年間続ければ、新規ファンも含め概算ですが約40万人ほどのデータが必然的に自然と集まってくることになると思われます。これらの皆さんはコブクロさんにとって新曲ができたとき、ぜひ一番最初に聞いていただきたいお客様となるでしょう。

——EMTGを利用した新しいビジネスモデルを作っていきたいということですね。

佐藤:ビジネスモデルを作るというよりも、例えば音楽のファンであると考えられる皆さんはコブクロさんのライブも行けば、他のミュージシャンのライブに行かれる方も多数おられるかと思います。ただ、現在の各ミュージシャンのライブ先行予約情報というものは、個々バラバラに発信され、それを一般の情報として知った時にはすでにチケットが売り切れてしまっているというのが現状です。より多くの音楽ファンをより多くのミュージシャンのライブに動員し、もっと多くの方々にライブを楽しんでいただけることを心から願っています。

——極端な話ですが、ファンクラブに入っているような方は必ずライブに来てくれますからね。

冨田:そうですね。ファンクラブに入ってくださっている熱心なファンの方々は常にミュージシャンの情報を入手する努力をなさっていますので,必然的に情報は行き渡ると思います。しかし,ライトなファンの方々で,そんなライブがあるのなら見てみたいと思ったとしても,その時点で人気ライブのチケットは完売している状態がほとんどです。ですから,プロダクション様にはライトなファンにミュージシャンの存在を広めていくことができなかったし,そのシステムも全くなかったということが現状ではないでしょうか。

——EMTGは次につなげていけるシステムですよね。

佐藤:言い方としては“オークション対策チケットシステム”とは別に“アーティスト支援システム”という説明もできると思います。そのデータベースを増やしていくことでミュージシャンが活動を長く続けていける良い環境を作るお手伝いができればいいですね。

——Musicman-NETではアーティストの事務所の方々も多く見ていただいていると思うので、最後にメッセージを頂ければと思います。

冨田:少しでもEMTGに関心をもっていただけたら、気軽にご連絡を頂きたいと思っております。そして、まずは各事務所さんと色々と情報交換をさせて頂きたいと思っています。また、急に導入というとやはり難しいと思いますので、例えばファンクラブ・イベントでお試しいただくとか、我々はフレキシブルに対応することができます。ファンクラブ・イベントこそきちんとしたオークション対策をしないと高値がつきやすいものですしね。コブクロのツアー・ファイナルなんかでもトレードセンターにチケットがごく稀に出るんですが、その1枚に対して入札数が2,000にも達してしまっていたので、それがオークションに出たら相当高額なチケットになってしまいますよね。

佐藤:顧客マーケティングをするという視点で考えれば、例えばドームとかアリーナツアーができるアーティストにとっても、その動員に対して次のアプローチをしていくということは当然必要なことですし、そのために今後は来場者管理が重要になっていきます。要するにファンクラブ以外のライト・ファンをどう管理いくのかEMTGを通じて提示させていただきたいですね。

冨田:事務所さんにこういうご案内でお伺いすることが多いんですが、ライブ動員が何十万人いてもファンクラブの会員さんは結構少なかったりするんですね。例えば10万人いれば多いほうなんですが、そういう状況だと「残りの25万人って誰?」ということになってしまうんです。

——顔が見えないですよね。

冨田:ライブに来たからといってファンクラブに入ってもらうわけにもいかないですし、無料メルマガでは弱いですし、やはりチケット会員というものがあってもいいのではないかというご提案ですね。

——CDや配信のリリースに対するマーケティングはこれまでも多く行われていますが、今後ライブへのマーケティングは非常に重要に感じます。

飯沼:でも、CDですら誰が買っているかはわからない状況でもありますよね。

佐藤:CDなどに封入されているハガキも書いている人というのもなかなか聞かないですよね。ましてや届いたハガキも管理されているかどうかわからないので、次のターゲットはCD購入者のデータベースをどう構築できるかということはEMTGにとっても課題と考えています。

——最終的にCDのリリースからライブまで一本に繋がるイメージでしょうか?

佐藤:そうですね。そこで各々のターゲットの傾向に合わせたコミュニケーションの取り方を変えていけばいいと思います。

 きっかけはオークション対策でしたが、実はこのシステムはファンのみなさんとアーティストをより強く結び付け、アーティストファンを構築、構成するミュージシャン支援システムなのです。 ライブ会場における現在のアーティストファンクラブ会員とともにご来場される非会員も含めたデータの蓄積が今後のアーティスト活動の基本となり、アーティストカードは自分がアーティストファンであるということの証となります。

 EMTGシステムは、会員と非会員のすべてを把握したのち、CD購入者とライブ動員者を結びつけた総合的なアーティスト支援システムを最終的な段階として目指し、アーティストや事務所に必要不可欠なデータを提供できるものです。また、今後、ファンクラブサイトとEMTGをリンクさせていくことで、相乗効果を生み出し、ファンとアーティストの双方を支援するために必要であると考えています。オークション対策は、あくまでもそのサービスの一部です。

 我々エキサイト・ミュージックは「エキサイト・ミュージック・フェスティバル」というイベントをやっています。去年コブクロさんに出演してもらったときに、EMTG会員にも入場していただく機会を作ったんですが、この「エキサイト・ミュージック・フェスティバル」がEMTGという思想や考え方、具体的に言えばシステムそのものを実現する場にもなると思うんですね。コブクロさんだけでなく、今後EMTGをご利用いただくアーティストがどんどん「エキサイト・ミュージック・フェスティバル」に集まってきて、いいライブをお客さんに提供できるよう2010年はEMTGともども積極的に展開させていただきたいと思います。

-2010.1.18 掲載

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