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ユニバーサルが新人アーティスト発掘オーディション・システムをスタート ユニバーサル ミュージック合同会社 ユニバーサルJ A&R 1部 猪田彰司氏インタビュー

インタビュー スペシャルインタビュー

猪田彰司氏
猪田彰司氏

ユニバーサル ミュージックの邦楽レーベル「ユニバーサルJ」が、アーティストやクリエーターの発掘・育成を目的としたオーディションアプリ「UJA」をスタートさせた。募集ジャンルはシンガーソングライターをはじめ、作詞・作曲・編曲家、ダンサー、デザイナー、イラストレーターなど、音楽に関わる全てのクリエーターが対象となる。アプリの配信がスタートし、約1ヶ月が経った今、どのような変化が生まれたのか、また、今後の展望など、ユニバーサル ミュージック合同会社 ユニバーサルJ A&R 1部 猪田彰司氏にお話を伺った。

 

プロフィール
猪田 彰司(いのだ・しょうじ)
ユニバーサル ミュージック合同会社 ユニバーサルJ A&R 1部


マネジメント会社でBIG BANG、2NE1などを担当し、2011年10月にユニバーサル・ミュージック入社。
ユニバーサルJ A&R1部で同アプリの企画立案を担当するほか、Perfumeなどを担当。

オーディション・アプリ「UJA」http://www.uj-audition.com//
[2012年5月31日 / 港区赤坂 ユニバーサル ミュージック合同会社にて]

 

——オーディションアプリ「UJA」は、どのようなきっかけでスタートしたのでしょうか?

クリエーターが作品を出していける場を提供したいということと、クリエーターが集まることによって、私たちにとっても、色々な方と仕事ができる機会が増えますので、アプリを使ってコミュニティ作りをしていこうというような感覚で始めました。ゆくゆくはSNSのような感覚で使っていただければ一番理想的ですね。実は、オーディションアプリはすでに他社さんもやられていて、日本初ではないんですが、このアプリのキーポイントは「クリエーターたちのリンクを繋ぐ」というコンセプトで作られているところですね。

——アプリに登録された楽曲や動画は、ユニバーサルスタッフが全て共有できるようになっているんですか?

はい。管理画面から音源をすぐに聴くことができ、気になったクリエーターがいた場合は、登録していただいているコンタクト先へ各担当から直接連絡することが可能です。

——社内の反応はいかがですか?

まだスタートしたばかりのシステムということもありますので、まずは自らある程度の実績を残していかないといけないのかなと思います。

——これまでは、クリエーターがデモを送っても、新人開発のごく一部の人にしか届きませんでしたが、このアプリでしたらユニバーサル社員の誰かが聴いてくれるかもしれない。従来のやり方よりも、何らかのチャンスに繋がる可能性が高いですよね。

かなり広い範囲でリーチできると思います。社内でも新人発掘は非常に重要だと考えているのですが、今はアーティストが直接デモを持ち込むことも、送ってくることも減ってきていますし、各担当が、都内だけでも何十件とあるライブハウスに見に行くというのも効率的ではありません。インディーズやアマチュアアーティストが、YouTubeやFacebookを使って自ら発信している時代ですが、ユーザー数が多過ぎて、その中から見つけることもそう簡単ではありません。本当にプロの世界でやっていきたいと思っているクリエーターを集めるにはどうしたらいいのか、ということを考えて、最終的に辿り着いたのがアプリだったんですね。

——受け付ける間口が広いですよね。アーティストだけではなくて、トラックメイカーやダンサー、イラストレーターまで募集していますが、どのジャンルでも、映像や音がアップできれば登録が可能ということですね。

そうですね。登録も更新も簡単です。例えばiTunesにmp3の音声ファイルが入っていれば、iPhoneを繋げて簡単に同期できるようになっています。動画もアプリ内で簡単に撮影・投稿することが可能です。今後はどのように、よりユーザーフレンドリーにしていくかが課題ですね。今はまだ土台の段階です。

 

ユニバーサル ミュージック合同会社 ユニバーサルJ A&R 1部 猪田彰司氏

——ただ、ユーザーはアップロードした後、何かしらレスポンスを求めますよね?何も反応がなければユーザーは離れていってしまう。そのあたりのフォローをきちんとしないと尻すぼみになってしまうと思うんですが。

まずは、第1弾企画としてNERDHEADのフィーチャリングアーティストと吉川友の楽曲を募集していますが、今後もユニバーサルJの所属アーティストとのコラボレーション企画を頻繁に行っていく予定です。

——結果がきちんとあるオーディションを行っていくということですね。FacebookやTwitterとの連動は?

Facebook、Twitterのアカウントでログインすることもできます。また、Facebookにアプリのオフィシャルページを作りましたので、ユーザー同士のコミュニティの場として利用していただきたいですね。

——Facebookで動画や音源の公開はできないんですか?

技術的にはすぐにでもできるんですが、著作権の問題がありますので、本格的に運用できる段階になり次第順次対応していきたいと思います。

——ジャンルとしては、やはりミュージシャンの登録が多いですか?

そうですね。まずは音楽系クリエーターを集めたいという狙いもありまして、楽器店やリハスタ、専門学校にフライヤーを配布させていただきました。

——今現在登録されているユーザーの中で可能性のありそうな方はいらっしゃいますか?

はい、何人かいらっしゃいます。全体のレベルは思っていたよりも高いですね。既にコンタクトを取った方や、実際に契約を検討している方もいます。

——早速新人アーティストの発掘ができてしまっているわけですね。ライブハウスに探しに行く時間や交通費を考えればものすごく効率がいいですよね。

制作担当者はスタジオやテレビ局、ラジオ、コンサートなど、決まった場所にいることも少ないですし、時間もありませんが、これだったらどこにいてもエントリーされている作品の確認ができますので。
 また、数は少ないですが、外国のクリエーターも登録してくれています。最近は日本のクリエーターだけでなく海外の作家から楽曲を提供していただいたり、外国人プロデューサーを起用することも多いので、こういった方々と直接繋がることができれば、制作サイドの可能性も広がっていきます。

——デジタルで集めてもやはりCDデビューなんですか?

いえ、もちろんデジタルも考えています。ただ、レーベルに所属してなくても、自分たちの作品を簡単にiTunesでリリースできてしまう時代なので、そこはユニバーサルミュージックとして、メジャーの価値をアーティストに感じてもらうためにも、様々な方法で売り出していきたいと思います。

——メディアがどう変わろうが、レコードメーカーは、新しいアーティストをみつけてきて、リリースするという流れは変わらないですよね。もしかしたら、すぐに類似アプリができるかもしれません。

それは全くかまわないですね。私個人の意見なんですが、クリエーターやアーティスト、音楽が好きで、クリエイティブな仕事をしたい人のためのチャンスの場が増えることは、全てのレーベルが応援しなきゃいけないことだと思います。

——業界全体で新しいアーティストたちを盛り立ててあげないといけないと。

そうですね。そのためにこの「UJA」がどんどん活用され、新たな交流の場として機能してくれたらと思っています。

——このアプリを通して素晴らしいアーティストやクリエーターがたくさん発掘されることを楽しみにしています。