LINE × ソニーミュージック 国内5,200万人に「チャンス」と「可能性」を ー LINE オーディション インタビュー
LINEとソニーミュージックがタッグを組んだ「LINE オーディション」が注目を集めている。LINEの国内5,200万人という圧倒的なユーザー数を活かした今回の試みは、思いついたらすぐに応募できるというインターフェイスの手軽さもあいまって、早くも数万規模で応募が殺到しているという。日本を代表するメジャーレコードメーカーと、飛ぶ鳥を落とす勢いのIT企業が取り組むこの史上初のオーディションプロジェクトについて、それぞれの担当であるLINE株式会社 マネージャー サービス企画2室 エンタメアカウントチーム LINE菊地氏とソニー・ミュージックエンタテインメント SDグループ NADルーム 開発課岸氏に話を伺った。
(Jiro Honda)
コラボレーションのきっかけ
── LINE オーディションのプロジェクトが立ち上がったきっかけは?
ソニーミュージック 岸:最近ソニーミュージックでは他業種とコラボレーションしてオーディションを実施する機会が増えているんですね。音楽はもちろん、そこからもう少し間口を広くするというか。例えば最近ではNYRON JAPANとの「JAM」や、WEGOとの「BOYSグランプリ2014」などがそうです。アーティストも音楽に関する才能だけではなく、コミュニケーション力に秀いでてたり、アートワークを手掛けたり、クリエイティブでマルチな才能を求められる時代になってきています。そういう流れの中で、ソニーミュージックとして勢いのある企業さんとタッグを組みたいと考えていたところ、「LINEさんとやれたら面白いね」という話があり、コンタクトをとってみたら新しいコンテスト機能のシステムをちょうど開発されたということで、タイミングよくご一緒させていただけることになりました。
── LINEではソニーミュージックからお話があったときに、すぐにピンと来た感じでしたか?
▲LINE 菊地氏
LINE 菊地:もともとコンテストのシステム開発を進めていまして、それをどういう風に展開させようかと検討していたんです。LINEでは公式アカウントの仕組みを通じて、様々なアーティストさんやタレントさんの情報を発信してきたのですが、今度はアカウントの仕組みとコンテスト機能を通じて、一般のユーザーさんが一夜にしてスターになれるような世界観を作れないかと考えていたんです。現在、おかげさまでLINEは国内では5,200万人の方々にご利用いただいているので、大規模なオーディションができるだろうという構想はありました。そういう時にソニーミュージックさんのお話があり、今回うまくマッチしました。
── 国内で5,200万人というのは改めてすごい数字ですね。予め用意されている応募プラットフォームがこんなに大きいオーディションは、今までなかったですよね。
岸:ソニーミュージックとしても過去最大規模ですね。
菊地:LINEをインストールしてアカウントさえ持っていれば、もう応募の準備はできているということですからね。
ユーザーの熱い気持ちを実感している
── 既に応募受付は始まっていますが(応募受付期間:7月15日〜8月4日0時まで)、感触はいかがですか。
岸:通常のオーディションですと締切間際にどっと応募が来るのですが、今回は募集開始から早くも数日で数万のエントリーが来ています。この時点でソニーミュージック主催のオーディションとしては過去最多の応募数です。
── 審査が大変になりそうですね。
岸:どうしようかという感じなんですが(笑)、とにかく初動の良さにびっくりしました。
菊地:LINEでは、ユーザーのみなさんにとにかく手軽にコミュニケーションを楽しんで頂くことを重視しています。オーディションのようにユーザーさん自らがアクションを起こして始まる企画でも、LINEであれば思いついてすぐに実行できるという手軽さが活きると思います。やはり、ふつうオーディションというと丁寧に書類を書いて、納得のいくデモ音源を作り、綺麗な写真を撮って、とギリギリまで練ったものを準備すると思うのですが、今回我々が意図したのは、「思いついてすぐ参加したその先にスターへの可能性がある」ということです。その「可能性」を意識してもらいたいという方向性でLINE オーディションのルールを作りました。その結果として、今のところ良い反応が来ているのかなと思います。
── このカタチですと、本当に様々な方の応募が期待できますね。
岸:それこそ名前と年齢、あと画像か動画あるいは音声だけで本当に気軽に応募できますからね。その限られた少ない情報量の中で如何に自分をアピールするかが大事になるかもしれません。
LINE オーディション 公式サイトより
菊地:LINE オーディション公式アカウントのタイムラインではコメント欄を解放しているのですが、そこに我々が予想をしていなかったような、熱いコメント、特に十代のユーザーさんのコメントがとても多く寄せられているんです。それを見ていると、アーティストに憧れを持つという気持ちは、本当に今も昔も変わらないんだなと実感させられます。
岸:気持ちを伝えやすいLINEならではのストレートなコメントですよね。
菊地:今の若者にも、胸に秘めた思いやアーティストに必要なメンタリティを持った方が、実はこんなに沢山いるんだということがよく分かりますね。荒削りなんだけど無限の可能性を秘めたスターがここから出てくる予感がしています。
── その真っ直ぐな心情がまた共感を呼ぶと。
菊地:自分の生い立ちや夢、現状に対するやりきれない気持ちを書き込んで、それに対してまた違うユーザーさんが共感するということが起きています。日々コメントは増えていまして、その熱い気持ちが伝染して応募のアクションにも繋がっているようです。昔から続く十代の変わらないモチベーションを目の当たりにして、このサービスに取り組む価値を改めて感じています。
規模を活かして、どこかにきっと眠っている才能を見つける
── オーディションのプロである岸さんとしては、ITサービス/アプリとオーディションの相性は良いと感じている?
岸:システム上の制約があったり、ジャッジ、いわゆる見極めが難しいというのはありますけど、従来だと物理的にフォローできなかったところにも対応できるので、その点は良いですよね。あとはやはり規模感ですよね。この数というのは今までになかった部分ですから。
菊地:我々が提案する新しいオーディションのカタチというのは、LINEの国内5,200万人というユーザー数を最大限に活かし、今までの手法では発見できなかった才能を見つけることのできるプラットフォームです。今回は他薦も有効にしていますし、普段オーディションとかに応募しない人も、ひょんなことでスターになれる可能性を提供しています。
── 確かに応募母数は巨大で、しかもこの上なく手軽です。
菊地:今後ソニー・ミュージックさんではビデオ通話を利用して2次審査をしていただく予定なので、審査会場までの距離や交通費という面から参加しにくかった方も、気軽に応募していただけます。
岸:審査する側も、今回はLINEのシステムを使わせていただいて合否等の通知を行う予定なので、今まで案内や審査のお知らせを封書でしていた時間や手間を省くことができるのは便利ですね。また、ビデオ通話を使ったインタラクティブな審査というのも初めてなので楽しみです。
菊地:システムを利用することによってスピーディーに展開できるので、今回応募受付期間も短く設定しています。
岸:今回は本当にスピード感がありますね。
── グランプリの方には、賞金100万円とLINE公式アカウントの開設権利、そしてソニーミュージックからのデビュー支援ということですが、さらにそこから先のアウトプットのイメージはありますか?
LINE オーディション 公式サイトより
岸:展開は考えているのですが、いかんせん初めての試みで、どういった方が優勝するのかまだはっきりとはみえていないというのが正直なところですね。とはいえ、やはりせっかくLINEさんから世に出てくるという事ですから、それに相応しい展開をしていこうと考えています。
菊地:昨今は、Web上で自分なりの活動をする中でユーザーの共感を得て、押し上げられることによって世に出るという力学が働いていると思うんです。例えば、ものまねメイクのざわちんさんやYouTuberのHIKAKINさんがそうですよね。LINEでも同じ力学があてはまると思いますので、今回の副賞であるLINE公式アカウントを使って活動などを発信して頂き、どれだけ共感を得られるかが展開のキーになってくると思います。そのアカウントを通じ、ファンの共感を得ながら一緒に育っていけるような方が今回グランプリになるような気がしていますね。
夢をかなえることのできるオーディションプラットフォームに
── ソニーミュージックで沢山のオーディションを担当されてきた立場から、昨今のオーディショ事情は一般的にどういう状況ですか?
岸:やはり今は一般の方々のレベルが上がってきていて、境目がなくなってきていますよね。色々な機器やテクノロジーも発達していますし。「可愛い」「綺麗」「歌が上手い」といった基準自体が多様化してきている。昔は絶対的な分かりやすい基準があったと思うんですけど、今は、ある場所ではダメでも、フィールドやジャンルが変わればナンバーワンになれることもあります。そういった意味で、ユーザーさんの細かい趣味嗜好が反映されている最近の状況は面白いですよね。誰もが「いいね!」という人が大成するわけじゃない時代になってきていると思います。
── そういう細分化が進み、コミュニケーションのツールも増えていく中で、LINE オーディションは今後良いプラットフォームになりそうですね。
菊地:LINE オーディションはどちらかというと発掘に近いイメージかもしれませんね。ジャッジや審査はちょっと大変かもしれませんが、すくうことのできる母数はとにかく多いと思いますので。
── 今後もLINE オーディションはオーディションプラットフォ−ムとして色々な座組の可能性はありますか?
菊地:LINE オーディションというサービスは今後も続いていく予定ですので、ぜひ関係各所のみなさまにはご利用のご検討を頂ければ嬉しいです。
── 音楽をはじめ、エンターテインメントシーン全体にも良い影響を与えるサービスになりそうですね。今までにない新しいスターの登場を予感させます。
菊地:「チャンス」をキーワードに、「夢をかなえることのできるプラットフォーム」を目指していきたいです。
岸:今回のLINEさんとのコラボレーションは音楽業界内に止まらず、注目を集めているようなので、どこかに眠っている才能に「チャンス」と「可能性」をしっかり提供できるオーディションとして最後まで取り組んでいきたいですね。
菊地:このサービスを通じて、新たに音楽業界をはじめ、みなさんと良いパートナーシップを築くことができたら良いなと考えています。音楽やエンターテインメントを活性化させるきっかけの一つとして、今後もこのプラットフォームを活用していただければ嬉しいですね。