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ニーズが高まるライブ・イベント産業を活性化しビジネスを拡大 「第2回ライブ&イベント産業展」が7月8日より開催

インタビュー スペシャルインタビュー

天野桂介氏

 成長を続けるライブ・エンタテインメント市場。さらに2020年の東京オリンピック開催でイベントニーズが高まる中、必要なあらゆるサービス・製品が一堂に集まる総合見本市として、昨年初開催された「ライブ&イベント産業展」。今年は会場を千葉・幕張メッセに移し、規模を約2倍に拡大して開催される。新たなゾーンも作られ、ますます充実した展示会へと発展していく同産業展を「国際間の取引の場にしていきたい」と語る事務局長 天野桂介氏に、昨年の成果や今年の見所、さらに将来の展望なども伺った。

2015年6月29日掲載

 

数千万単位の受注・発注も。大盛況で終了した「第1回 ライブ&イベント産業展」

——昨年の「第1回 ライブ&イベント産業展」を終えられて、どのような反響がありましたか?

天野:ライブやイベントに必要なハードウェアからソフトウェア、サービスまで、全て集まっている展示会が今までありませんでしたので、「ライブ&イベント産業展」のような場が非常に求められていたということがわかりました。昨年は、225社に出展していただき、20,198人の方にご来場いただきました。当初15,000人を目標にしており、大幅に上回ったということで、期待が大きかったのかなと思います。当日は、コンサート主催者、プロモーター、制作会社、音楽事務所、演出会社、アーティストも一部お見えになったそうです。あとは、スポーツ関連、自治体、企業の販促セクション、施設・会場など幅広い業種の方にご来場いただきました。様々な反響をいただいているんですけども、「こういう展示会ができてよかった」という声をたくさんいただいております。

ヒビノ株式会社と株式会社フォトロンの昨年の展示の様子

https://www.youtube.com/watch?v=lcY4dt4H5us

——具体的にどのような成果がありましたか?

天野:例えば、ある2人組の有名アーティストの事務所の方が来場なさいました。その2人組が非常にライブの演出にこだわる方々なので、「最近はどういう演出があるの?」とよく聞かれるそうです。「これまではどう調べればいいかわからなかったので、全て集まっている展示会ができたことは非常にありがたかった」とおっしゃっていただいております。

また、大手制作会社の役員の方が、ライブにおいてグッズの収益が重要になっているということで、バリエーション豊かなグッズの展示が非常に参考になったと。今年も複数人体制で来場してグッズを比較検討するそうです。

大手メディアの方は、音楽番組の生中継に使用するライブ配信機材の比較検討をされて、数百万円単位での発注も検討されているようですし、ある県の空港では、空港の知名度を上げるために、ライブやイベントを行いたいということで、遊具やノベルティを3社に発注したそうです。

——多くの商談が「ライブ&イベント産業展」をきっかけに成立しているんですね。

天野:ハードウェアの導入もありますし、映像機器、LED無線コントロールライト、キャスティングや企画など、数千万単位の受注・発注があったとあちらこちらから聞こえてきています。そういった大きな商談も活発に行われていました。いずれにしても、ライブ&イベント産業展が第1回目から、規模・中身とも大変充実したのも、業界の皆様の大きなご支援があったからだと思っております。本当にありがとうございました。

「第2回ライブ&イベント産業展」オフィシャルサイトより
▲前回出展社の声 「第2回ライブ&イベント産業展」オフィシャルサイトより

 

約400社に倍増した出展企業、最新の演出やサービスを紹介

——第2回目となる今回、会場が東京ビックサイトから幕張メッセに移り、規模も約2倍に拡大しました。

天野:出展社数も前回の225社から約400社となり、3万人の来場を目指しています。昨年出展された方も、予想以上の盛況ぶりだったということで、ブースを大きくされたり、新たに出展していただく企業もたくさんいらっしゃいます。

——出展社としても、このイベントを非常に高く評価しているということですね。

天野:評価もそうですが、面白いと思っていただけたんじゃないでしょうか。出展社の社長さんが、展示会場を嬉しそうにニコニコしながら歩き回っている姿をよく見かけまして、商談を中心としながらも、各社の展示に大変興味を持っておられた様子でしたね。

「第2回ライブ&イベント産業展」会場レイアウト
▲会場レイアウト 「第2回ライブ&イベント産業展」オフィシャルサイトより

——この産業展自体を一つのイベントとして楽しんでいらしたんですね。今年はどのような企業が出展するのでしょうか?

天野:映像関連企業は昨年に引き続きブースの規模も大きく、みなさん力が入っていますね。また、日本ステージさんやバルーンを扱うエアロテックさんなども新たにご出展いただきます。今回の特徴として、チケット関連企業の出展が多くあり、市場としても焦点になっている印象がありますね。テイパーズさんは昨年から引き続き出展いただきまして、新たにぴあさんやCCCさんなど、チケッティングに参入された有力な企業にも出展いただく動きもあります。さらに電子チケットではボードウォークさんも出展されています。

あとは、有力プロダクションも続々と出展します。よしもとクリエイティブ・エージェンシーさんは昨年に引き続き、これに加えてオスカープロモーションさん、サンリオさん、アソビシステムさん、HDRさんなどもご出展いただきます。

新たに3ゾーンを新設、細分化された新会場

——よりメジャー感のあるバラエティに富んだラインナップになっていますね。

天野:さらに今回の見所として、新しいゾーンをいくつか設けています。まずは「フード・ケータリング ビジネス ゾーン」ですが、ここには牛丼の松屋さんが“牛丼カー”というケータリングカーを紹介するほか、マックスパートさんは全国に展開するケータリングの大手ですし、フードコートなどを手がけているグリッドさんも出展します。

2つ目は「舞台美術・ステージ設営 ゾーン」です。手塚運輸さんはステージカーの大手で、今回は実際にステージカーを展示するそうです。あと、本田製作所さんはステージ機構で有名な企業で、舞台美術や大道具の会社と組んで設営するそうです。

3つ目は「イベント用品・遊具 ゾーン」で、西尾レントオールさんとダスキンさんは昨年から引き続きですが、規模をかなり大きくされての出展になります。

——昨年から継続して出展される企業と、今回新しく出展される企業の比率はどのくらいでしょうか?

天野:半分以上は新規企業ですね。それでもまだまだ出揃っているわけではありませんし、そういった意味では、可能性にあふれた見本市ですね。

制限を緩和し、さらに刺激的な展示が可能に

——この他、前回から変更された点はありますか?

天野:やはり、会場を幕張メッセに移したことは大きいんじゃないでしょうか。例えば機材系の出展企業は、なるべく高いトラスで演出を見せたいわけですよね。去年は6メートルの制限を設けていたんですが、やはりこの業界のニーズをふまえると、もう少し高い方がいいということで、今年は吊りで8メートルまで設置可能です。

株式会社シネ・フォーカス|第1回ライブ&イベント産業展 ブースの搬入〜設置の様子

また、もちろん昨年の東京ビックサイト西ホールもよかったのですが、幕張は会場のかたちがシンプルなので物理的制限がより少なく、さらに刺激的な会場になるんじゃないでしょうか。あとは、来場者の出入り口が高くなっているので、展示会場全体を上から見下ろしてから入ることができる。これは重要な要素になっていると思います。

——入った瞬間のインパクトが大きいですよね。

天野:どこにどのブースがあるのかもわかりますし、どこの会社が大きく出しているかもわかりますので、来場者にとってもいい作用があるだろうと思います。また、ライブ会場としても利用されているので、音楽業界の方にも非常に馴染みがあるなど、多くのメリットがあると感じています。また、来場者の滞留時間も長くなる傾向がありますね。

 

アソビシステム中川悠介氏らが登壇、今年の注目セミナー

ライブ&イベント産業展 事務局長 天野 桂介氏

——昨年も好評だった基調講演やセミナーですが、今年はどのような内容になるのでしょうか?

天野:基調講演にはアソビシステムの中川悠介社長にご登壇いただきます。音楽産業に関係するものとしては、ももいろクローバーZのステージ演出を手がけるフィルムデザインワークスの佐々木敦規氏、アニメ・ゲームソングのライブを国内外で開催するランティスの根間一樹氏、様々なライブを劇場に生中継するライブ・ビューイング・ジャパンの久保田康社長、また、コンサートプロモーターズ協会から山本幸治氏の登壇も決定しています。さらに、滋賀県の三日月知事も「地域活性化とフェス」ということで、お話をしてくださいます。

基調講演およびセミナーは事前に申込みしていただければどなたでも参加することができます。得に基調講演は昨年は有料だったのですが、全て無料にしましたので、ぜひご参加いただければと思います。

——今年から新たに技術セミナーや「全日本マイクケーブル 8の字巻コンテスト」も行われるそうですね。

天野:技術セミナーは、日本照明家協会さんのご協力で今年から実施します。こちらも無料で参加できます。照明関係の方にもたくさんご来場いただきたいということで、協会にお願いしてプログラムを組んでいただきました。

「全日本マイクケーブル 8の字巻コンテスト」は、東日本地区大会の予選と、全国大会の決勝が特設会場で行われます。優勝者には、8の字巻匠の称号と副賞10万円が贈呈されますので、ぜひこちらにもご参加ください(笑)。

 

世界で唯一の展示会として、数年以内に出展社数を1,000の大台に

——前回のインタビューで国際化を打ち出していきたいとおっしゃっていましたが、海外企業の出展は増えているんでしょうか?

天野:増えていますね。LEDや照明など機材系の会社が売り込みの場として大きなブースで出展していただくケースが増えていますね。最終的には、世界中のライブ・イベントに携わる方々にご来場いただいて、国内外の先端技術やアーティストそのものを比較選定しにきたり、国際間の取引の場にしていきたいと思っています。

——MIDEMやSXSWに近いイメージでしょうか?

天野:それは「ライブ&イベント産業展」の前週に行われる「コンテンツ東京」(7/1[水]〜3[金]東京ビッグサイト)の目指すもので、できれば横並びでやりたいんですよね。「ライブ&イベント産業展」については、世界中をみても関連サービスも含めた複合的な展示会がないので、独自のものとして発展していければと思っています。

「第2回ライブ&イベント産業展」オフィシャルサイトより
「第2回ライブ&イベント産業展」オフィシャルサイトより

——来年の開催も既に決定しているのでしょうか?

天野:決定しています。会場は今年と同じ幕張メッセで、7月6日〜8日に開催します。

——来年はさらに規模が拡大されそうですね。将来的に、「ライブ&イベント産業展」をどのような展示会にしていきたいですか?

天野:音楽業界の方々が、業界全体で何かをやりたいことがあったときに、「ライブ&イベント産業展のときに集まって何かやろうか」とか、この場に行けば業界の人がみんないるというような場にしていきたいですね。あとは、やはり展示会の価値は中身も重要なんですけども、どれだけ多くの企業が出展しているかが非常に重要な要素になってきますので、今年は約400社ですけど、これを数年以内に1,000の大台に乗せていきたいと考えています。

第2回目を迎え、なかなか面白い場ができつつありますので、ぜひ音楽業界の方々にも様々なかたちでのご支援をいただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。