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【チケット不正転売問題】「スマホでできることならなんでもできる」単なる入場ツールに終わらない“楽しさ”を提案 DMM.com イベント事業部営業局 局長 中村圭一氏、Live Styles 取締役 飯塚優希氏 インタビュー

インタビュー スペシャルインタビュー

左から:中村圭一氏、飯塚優希氏

「チケット高額転売防止を求める共同声明」を受けていち早く賛同を表明した、電子チケットサービス「tixee」および電子チケット発券アプリ「tixeebox」を運営する株式会社DMM.comグループのLive Styles株式会社。イベントごとにカスタマイズできる転売防止機能と正規チケットを定価で譲渡できるDMM.com提供の「DMM Passストア」を連携することで、低コストながら汎用性の高いチケットの発券と再販を可能にした。転売防止を軸にしながらも単なる入場ツールに終わらせないユーザー向けの施策も積極的に採用していきたいと語るDMM.com イベント事業部営業局 局長 中村圭一氏、Live Styles 取締役 飯塚優希氏にお話を伺った。

2016年9月29日掲載
  1. 転売防止機能と定価リセールで主催者・ユーザー双方のニーズに対応
  2. コンサートの感動を助長するような仕掛けも

 

転売防止機能と定価リセールで主催者・ユーザー双方のニーズに対応

——4団体の共同声明を受けて率直にどのような感想をお持ちでしょうか?

飯塚:我々も基本的には同じスタンスで、不正転売をどう防止できるかを考え取り組んでいます。我々が提供させていただいている「tixeebox(ティクシーボックス)」は、スマートフォンでの電子チケットの発券に特化したアプリですが、チケットの譲渡を制限したり、購入者以外の人がチケットを受け取れないような「転売防止機能」を先日リリースしました。さらに、イベントに行けなくなってしまった時に、二次流通を制限してしまうと空席ができてしまいますが、それを防ぐためにも正規チケットを定価で譲渡できる「DMM Passストア」というサービスをDMMと開始しています。

中村:「tixeebox」は高額な不正転売を抑止できるソリューションで、抑止レベルを主催者様の希望に合わせて高めていくことができます。このように主催者側に目を向けて不正転売を抑止しようという流れできているんですが、行けなくなったお客様を救済する術を「tixeebox」が持っていなかったので、それを解消するプラットフォームとして「DMM Passストア」を提供しています。「高額の不正転売を抑止しなくてはいけない」という流れにはもちろん賛同しているので、チケットの定価自体を変える事なく、行けなかった人が出品し、行きたい人が定価でチケットを購入できるという点にフォーカスを当て、お客様にも主催者様にも負担をかけずに導入していただける仕組みとして、導入を検討される事案が増えてきました。

「DMM Passストア」

——転売防止機能として「SMS認証」「受け取り制限」「分配制限」「アプリアカウント不正引継ぎ制限」がありますが、これは主催者がイベントに合わせて選べるようになっているんですね。

飯塚:そうですね。チケットが電話番号に紐づく仕組みになっているので「SMS認証」はまず導入していただきます。次にチケットの譲渡制限として、チケット購入時に登録した電話番号と一致しないとチケットを受け取れません。チケットの分配も、事前に登録した同行者のみ可能であったり、分配自体ができないようにすることもできます。

——これまでにトラブルは起きていないんでしょうか?

飯塚:大きなトラブルはありません。我々のサービスは画面をなぞるだけでチケットを「もぎる」ことができるので、当日のオペレーションもスムーズにできます。基本的に購入者のデータは、我々の方でも確認できるので、もし何かしらの理由で正常に動かなくても、主催者様がご希望されれば本人確認をして入場していただく事も可能です。

tixeebox「転売対策機能」

——転売防止機能はいくつかの電子チケットサービスにも導入されていますが、tixeeboxならではの特徴はありますか?

飯塚:海外にもお届けできるというのをひとつの売りとして展開させていただいております。今までは当日イベント会場に来て、チケットを交換するというオペレーションがありましたが、我々のアプリは海外言語に対応しているので、日本の公演チケットを購入したいお客様がいた場合、海外にいながらにしてチケットを手に入れることができますし、スムーズに入場することができます。

——海外での需要はこれからかなり増えていきそうですね。

中村:これから「不正転売NO」という流れの中で、僕らとしても「スマートフォンチケットならコストを掛けずに不正転売を抑止できますよ」ということを、主催者様にお伝えしていかなければならないです。反面、個人的な見解ではありますが、現在まで紙チケットで入場するケースが大半だったということは、紙チケットならではの利点もいくつかあるんですよ。紙チケットを持って会場に行く安心感だったり、存在感だったり。その辺りのバランスといいますか、ユーザーに目を向けた取り組みも考えていかなければいけないと思っています。

——ユーザー保護の強化とユーザーの自由度のバランスですね。

中村:とはいえ、今では飛行機に乗る時、電車に乗る時、IC端末でささっと入場できてしまうじゃないですか? 切符という概念はだいぶ希薄になっていると思います。「そういえば昔はこうだったよな」ということは、他の業界にもたくさんあると思います。例えば、交通機関や、常設の箱だと、入場に必要な端末を恒久的に設置することができる。でも、常設の箱ではない興行のほうが多い。となると、スマートフォンの中にあるチケットを「もぎる感覚」で入場できればオペレーションも単一で済みますし、端末を設置する必要もないので、そもそもコストがかからない。そういうところに主催者ニーズを見出して展開してきたところがあります。

 

コンサートの感動を助長するような仕掛けも

——皆さん不正転売の防止、クリーンなマーケットの拡大のためには電子化はマストだと仰っています。

中村:紙には紙の良さがありますが、ライブ会場にチケットを忘れる方はいても、日常的なアイテムであるスマートフォンを忘れる方はあまりいないんですよ。ですからスマートフォンチケットが今後増えていくことは間違いないと思います。動画、調べ物、地図、今は何でもスマートフォンで完結しているじゃないですか? そこにチケットがあっても良いんじゃないかな、と。もちろん、10年後には、10年後のテクノロジーに合わせた新しい世界観がある。先のヴィジョンは分かりません。しかし、現時点でユーザビリティを考えると、追求しやすいのはスマートフォンチケットなんじゃないかと思います。

——ユーザーからはキャンセル機能もつけてほしいという要望があると思います。

飯塚:基本的に「tixeebox」は発券ツールでしかなくて、販売機能やイベントを探す機能はないのでキャンセルという概念がないんです。

中村:「tixeebox」は、実際に購入されたモノ(チケット)を受け取る場でしかないので、キャンセルできますか? という問い合わせがあっても、「tixeebox」としては対応出来ない。そこに関しては、主催者様と販売先でどういうスキームや規約を作っていくのかに紐付いていますね。

——あえて発券・再販のツールに特化したということでしょうか?

飯塚:仕組みとして、キャンセルを受け付けて販売者に戻すことはもちろん可能ですが、「tixeebox」にピボットするにあたって、意図的に販売レイヤーから外れたんですね。その背景には、販売して、お客様のニーズも汲んで、主催者様にも認知してもらうというのは、あまりにもハードルが高い。我々のツールがイベントやエンタメの業界にどう貢献できるのか考えた時に、販売は販売の専門家に任せたほうが確実で早いという判断になりました。

——餅は餅屋、ということですね。

飯塚:そうですね。ですから、主催者様やプレイガイドさんと一緒にこの事業をやらせて頂いているという認識です。

中村:プラットフォームでありツールにすぎないので主催者様の判断が大前提なんです。主催者様が「こういうお客様がいた時にはこうしたい」という要望があればそれに合わせてソリューションを提供するというだけでしかないんですね。僕らは販売にしても興行にも、直接イニシアチブを持っているわけではないんです。

——今後はどのような展開を予定していますか?

飯塚:初期導入費用もかかりませんし、チケットのデータが貰えればどこにでも繋ぎ込めるような仕組みなので、端末の設置や余計な付属品もいらないという導入のハードルの低さをもっと周知していきたいですね。アプリで全てが完結するサービスとして展開していますので、それがどんな興行でも当たり前に入っている状況を作らなくてはいけないと思っています。特に転売防止を機能として強めたツールになっているので、そこに関しては自信を持って主催者様に提供できますが、主催者様ばかりではなく、お客様にも選んでもらえるように、機能の拡充であったり「DMM Passストア」のようなプラットフォームと提携したり、問題の解決も兼ねてお客様と主催者様のメリットになる展開ができればと思っています。

——ユーザー向けのサービスとして電子チケットならではの特典もあるんでしょうか?

中村:「tixeebox」でチケットを発券されたお客様には、今でも付加価値という形の提供はさせていただいていますが、チケットを受け取るだけではなく、スマホでできることならなんでもできると思っています。ですから案件に応じてお客様に驚きと感動を与えたいという想いは常にあります。

——興行する側やアーティストが「こういう事をしたい」という提案に応える?

中村:どんどん要望を出して欲しいですね。単なる入場ツールに終わらずセットリストだったり、試聴によるプロモーションだったり、そういったものを提供できる仕組みはありますので、後はそれを積極的に使っていただければというところですね。券面を受け取った方が対象になるので、クローズドの環境の中でお客様を賑わせる施策、アーティストに回帰するような施策、「コンサート面白かったよね」という感動を助長するような施策を提供させていただければ、一音楽ファンとしても楽しいかなと思いますね。

飯塚:今は、不正転売がピックアップされていて、それはそれで有り難いんですが、それは表に出なくてもいいことなのかなと思います。その仕組みは裏で提供しつつ、お客様がスマートフォンチケットを受け取った時に、色々と楽しめるものをどんどん提供できたらと思いますね。

——不正転売防止の機能はユーザーがワクワクするものとはちょっと違いますからね。

中村:チケットを受け取ることにさらなるエンタメ性を提供していく一方で、コンサートに付随する規約を守れるようなシステムが必然的にインクルードされていて、不正も防止できる状況が作れると一番良いですね。不正転売に反対する声明によって、「tixeebox」のソリューションを使っていただける余地が増えていますし、最終的には、お客様を満足させるところに帰結させることができるので大歓迎です。

飯塚:あくまでも僕らはアーティストやコンテンツの提供者とお客様を繋ぐツールでしかないんですが、そこで双方の意思を汲んで、円滑化できるサービスである自信は持っています。積極的に導入していただければ、チケットに関する心配もなくなりますし、スムーズに入場してコンテンツを体験できますので、ぜひ我々を懸け橋として上手く使っていただけたらなと思います。

DMM.com イベント事業部営業局 局長 中村圭一氏、Live Styles 取締役 飯塚優希氏

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