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新しい時代を鳴らす楽器クリエイターを輩出したい オリジナル楽器のコンテスト「THE 楽器 DE SHOW!?」が開催

インタビュー スペシャルインタビュー

(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント
REDプロジェクトルーム プロデューサー
兼 エデューション事業部 Team Sonic Academy プロデューサー
伊藤 カズヒコ


 ソニーミュージックによるエンタテインメントの学びの祭典「SONIC ACADEMY FES 2016」が10月15日、16日に開催される。著名なアーティストやクリエイターから直接プロのノウハウを学ぶことができるこのフェスに、今年から新たにオリジナル楽器の独創性を競うコンテスト「THE 楽器 DE SHOW!?」が追加された。異色とも思えるこのコンテストについて開催の意図を伺った。

2016年10月3日掲載

  1. アイディアだけでも応募OK、遊び心溢れる新しい楽器を募集
  2. ソニーミュージックでは未開発の領域である楽器に挑戦

 

アイディアだけでも応募OK、遊び心溢れる新しい楽器を募集

——今回このコンテスト「THE 楽器 DE SHOW!?」はどのような経緯で開催に至ったのでしょうか?

伊藤:次代の音楽を制作する人材を発掘、育成する目的でスタートしたソニックアカデミーですが、音楽を制作する人たちだけではなく、音楽を鳴らす楽器を制作、創作する人たちにもスポットを当てたい、と考えて企画しました。

——確かに楽器クリエイターは今まであまり注目されていなかったですね。やはり、新しい楽器は必要とされていると感じていますか?

伊藤:今ある楽器も少しずつ改良や進化してその時代にマッチしてきています。新しい楽器の出現は音楽を創る人のイマジネーションを刺激して、そこからまた新しい作品が生まれてくると思います。

——コンテストのコンセプトを教えてください。どんなことを期待していますか?

伊藤:今、DAWでの音楽制作が当たり前で、PCがあれば鳴らせない音がない時代です。そんな時代だからこそ、テレビドラマの『下町ロケット』的な、自分にしか作れない、そんな独創的な楽器が登場するのを期待しています。今は評価されなくても10年後、20年後には当たり前にみんな使ってる、そんな世の常識を変えてしまうくらいの気概にあふれた作品が生まれたら嬉しいですね。実際に制作した楽器でも、頭の中にあるアイディアでも、どちらでもかまいません。そういう作品の中に未来の宝が埋もれているかもしれません。

——新しい楽器に可能性を感じている、ということですね。新しい楽器が生まれることで、音楽シーンにどのような変化が起こると思いますか?

伊藤:ひとつの革命的な楽器が登場することで新しいジャンルの音楽が生まれることは今までの歴史から見ても明らかでしょう。その楽器を代表するようなアーティストが登場してくると思います。

——海外などのおもしろ楽器や、驚き楽器のアイデア発表の例などをご存知でしたら教えてください。

伊藤:動画サイトでも話題になったスウェーデンのミュージシャンが作った2,000個のビー玉を転がして鳴らす、見た目は機織り機のような楽器はもはやアート、芸術作品です。”世界楽器遺産“に残したいくらいに思います。

もうひとつ、これも玉を転がすものですが、森の中に作った長い木琴の上を玉が転がりながらバッハの曲を奏でる、そんな某企業のCMもありました。

このようにアイディアと音に対するあくなき探究心で新しい楽器は生まれていると思います。

——どちらもとても独創的で好奇心を刺激する作品ですね。あくなき探究心は何かを生み出すには必要な要素だと思います。他にどのような要素が必要だと思いますか?

伊藤:時間をムダに使わないことと、遊び心ではないでしょうか。それから楽器の外見にもこだわってほしいですね。手に取ってみたいと思わせるようなかっこいいフォルム。それでいてシンプルに鳴らせる作り。

 

ソニーミュージックでは未開発の領域である楽器に挑戦

——審査員は?

伊藤:審査員はメディア代表、楽器店さん代表、アーティスト代表という、それぞれ視点が違う3者にやっていただきます。メディア代表ではリットーミュージックさんから、楽器店さん代表では日本楽器フェア協会のプロデューサーの方に、そしてアーティスト代表の方(発表は後日)にお願いします。

——どのような点が評価されるのでしょうか?

伊藤:評価点はとても明確です。メディア代表の方には自身のメディアで取り上げたいか否か、そして楽器店さん代表には売れるか否か、アーティスト代表には使ってみたいか否か、というそれぞれの観点からのYES・NOで審査していただきます。立場の違う3者が各々どのように評価するのか、というのも面白いところだと思います。

——今後の展開など、考えていることを教えてください。

伊藤:この創作楽器コンテストをソニックアカデミーフェスでレギュラー化していき、ここから新しい時代を鳴らす楽器を作るクリエイターを輩出したいです。ソニーミュージックは音楽やゲーム、映画は制作していますが、楽器はまだ未開発の領域ですので、このソニックアカデミーフェスを通じて提案していきたいと考えています。たとえばギターのレス・ポールのように創作した人の名前がそのまま楽器のブランド名になる、あるいは楽器名に付く、そんなクリエイターと楽器の開発ラボとなるような場所にもしていきたいです。

——今回発表された作品やアイデアをアウトプットできるような、コンテスト実施後のサポートのようなものは検討されているのですか?

伊藤:最終的にはアーティストが実際にレコーディングで使う、ライブで使用する、と言うのを目指しています。ソニーミュージックには多種多様のアーティストがいます。楽器クリエイターの作品とアーティストのサウンドキャラクターとを照らし合わせながら、生み出される創作楽器が実器として使われるようサポートしていきます。