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「More than a ticket」を標榜し世界へアプローチするPeatix 〜ピーティックスがチケット再販機能をリリース

インタビュー スペシャルインタビュー

Peatix Inc. CEO, 共同創業者 原田 卓氏

Peatix Inc. CEO, 共同創業者
原田 卓
同社日本法人 取締役 営業・マーケティング統括, 共同創業者
藤田 祐司


 誰でも簡単にグループ・イベント管理、チケット販売・集客が行えるウェブサービス・モバイルアプリ「ピーティックス」がチケット再販機能をリリースした。これによりイベント主催者による公式再販が可能になり、参加者が行けなくなったチケットを再流通させることでイベントへの参加率を最大化させるだけでなく、再販時のチケット販売価格の上限設定や、利益の再分配などを行うことで、社会問題となっている悪質な転売行為を最小化することを目指している。このチケット再販機能のリリースを記念して、ピーティックスの5年間の成果と海外への展望、そして今後の構想まで、Peatix Inc. CEO, 共同創業者 原田 卓氏と同社日本法人 取締役 営業・マーケティング統括, 共同創業者 藤田 祐司氏に話を伺った。

2016年12月20日掲載
  1. 「チケット再販機能」はあくまでも“第一歩”
  2. 電子チケットの普及を促進し前向きな議論をしたい
  3. 「ネットワーク効果」を捉えて加速させられるかが勝負になる
  4. ユーザーと共に成長し、音楽のスターを生み出す手伝いをしたい

 

「チケット再販機能」はあくまでも“第一歩”

——先日、ピーティックスはチケットの再販機能をリリースされましたが、どういった経緯で導入に至ったのでしょうか?

原田:もともと弊社のサービスは大型興行イベントというより、コミュニティイベントを中心に展開しています。ミートアップだったり、趣味の集まりだったり、様々なんですが、過去5年そういったセグメントに注力してきました。当然、東京ドームや日本武道館のイベントに比べると、1つ1つが小規模なんですが、非常に人気が高いイベントも多く存在していて、そういったイベントはTwitterなどで見ていると「行けなくなったんだけど、チケット欲しい人いますか?」とか「いくらだったら譲りますよ」みたいな投稿が結構見られたんです。ですから、そこに介在する形で取引をスムーズに安心して出来るような機能が必要だろうという想いがずっとありました。

そんな中で音楽業界4団体の「転売NO」キャンペーンが始まり、ネット上でも高額転売が頻繁に話題になり、我々の考えていたソリューションが問題解決の手段になるのでは?と思いました。もちろんすべてを解決出来るとは思っていませんが、1つの解と言いますか「少しでも寄与出来るんじゃないかな」と思い今回発表させていただきました。

Peatix「チケット再販機能」
——チケットの再販機能を発表された後には、どのような反応がありましたか?

原田:発表した時点で、新聞などにも取り上げられて、想像以上に大きな反響がありました。今のところ「ひとつ新しい形の提案だね」という捉えられ方をされているのかなと思います。それは主に一般ユーザーの意見だと思うんですが、イベントを取り仕切るプロモーターやアーティスト側がどう受け止めたのかは、まだちょっとわからないですね。今後は広くご意見を伺いながら、サービスを検討していただけるかどうかも含めてヒアリングしていきます。

藤田:こういった機能がリリースされますと、ソーシャルメディアではわりと賛否両論と言いますか、「こういう抜け穴があるんじゃないの?」というようなディスカッションが起きるんですが、我々の発表に関しては、基本的に好意的な投稿が多かったと思います。我々は「100%解決するとは思っていない」と宣言している通り、今回は第一歩だと思ってリリースしていますし、なにぶんイタチごっこの様相があるので、そういったスタンスも含めて今のところポジティブに見ていただいているように思います。そういう意味では良いスタートを切れたかなと感じています。

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——色々な要望に対して柔軟なスタンスで応えることが出来るということですよね。

原田:我々は小さなベンチャーなので、しがらみもないですし、もともと作ってきたビジネスは先ほど述べたコミュニティイベントを中心としたロングテールが対象です。ポイントとしては「色々な選択肢を提供する」ということが強いメッセージになっていると思うんですが、それに対して賛同の声が多く聞かれたかなと思います。

——他社さんが大きなイベントにコミットする事を前提としている中で、ピーティックスはユーザーに近い立場でサービスを展開されているので、ネガティブな意見が少なかったのかもしれませんね。

原田:我々は「コミュニティを作りたい」と熱い想いを持って、草の根の活動をしている方たちとの仕事が多くて、そういう方々と真正面から向き合って、大小様々な問題解決をしてきたので、小さなベンチャーとしてユーザー視線の見方ができる下地があると自負しています。

——それとフットワークの軽さもピーティックスの魅力ですよね。

原田:その点はもう(笑)。経験豊富なプロモーターやアーティストもいらっしゃいましたが、お客様の多くはイベントの開催の仕方自体わからないような方々だったので、本当に色んな悩みが持ち込まれるんですよね。「どうやって人を集めるか」とか「お金の管理」とか「どういうタイミングでどういう告知をするか」とか。我々のサービスは、ただ単にチケットを売るだけではないので、他のサービスとアプローチがぜんぜん違うんですよね。

——その時点で住み分けが出来ていますよね。

原田:そうですね。だからロングテールの、すごく足腰の強いビジネスが作れていて、そこがベースにあるからこそ考えられる事もあるんじゃないかなと思います。

——そういったベースを持った上で、今回チケットの再販機能を実装されたわけですが、どういったこだわりがあるのでしょうか?

原田:細かいところで言いますと、今回打ち出している再販機能のポイントは、主催者が価格の上限を設定することが出来るという点です。もちろん定価でしか販売出来ないという設定も出来ます。例えば1万円のチケットだったら3万円までならOKとか、青天井にするとか、自由に設定出来ます。主催者ごとに色々な考えをお持ちだと思うので、そこを自由に設定出来るというのが一つのポイントですね。二つ目は、定価以上の再販で利益が発生した場合、その利益の一部を主催者に還元するというのが特徴です。

もちろん「こういう考え方でやりますよ」ということをファンの皆さんにアナウンスする必要があるかもしれないですが、そこでしっかりとしたポリシーを打ち出せば、ファンの方々にも理解いただけるんじゃないかなと思います。何度も繰り返しますが、アーティスト、事務所、それぞれ考え方が違うと思いますし、我々が「これが正しいんだ」という考えを押し付けるのも問題があると思いますので、そこは柔軟に使っていただきたいと思います。

Peatix「チケット再販機能」
藤田:色々な音楽事務所やプロモーターの方ともざっくばらんにお話をさせていただいているんですが、その中で「5000円のチケットを3万円で買ってくれるほど熱心なファンがいる。これって嬉しいことだよね。」と仰る方もいます。そして「その人達に”転売されたチケットだから入るな”と言うのは申し訳ないと思う。再販価格が定価に限定されるという暗黙のルールも、勝手に決めていることだよね」と。3万円も出して、情熱を持ってアーティストのライブに行きたいと思っているファンが不正転売のチケットだから行けないという状況がすごく不健全で、そこに公式再販の仕組みが提供されることで安心して利用できる。そういうマーケットを作るのが、ある意味一番いいことなのかなと思うんです。

——転売ビジネスが「NO」という側面もありますよね。プロが入ってきて買い占められてしまう現状と言いますか。

原田:アーティスト側はチケットの定価販売でしか利益を上げられないのに、ライブに情熱も想いも全くないプロの集団が膨大な利益を上げているとしたら、当然感情的になると思います。うちの機能が完璧だとは思いませんし、これから我々の思いつきもしなかった手法が出てくるのかもしれないですが、そういったパターンを早く見つけ出しては潰していくという勝負が始まると思っています。

——ピーティックスにとっても今からがスタートというか、不正転売に対処するためのノウハウを積み重ねていくわけですね。

原田:そうですね。これは皆さん同じことをおっしゃると思いますが、チケットが紙ではなくて電子化されることは大前提です。とにかく紙だと問題が起きるので、そこを電子チケットという形態に変えていけば、頑丈なシステムが数年以内に出来るんじゃないかと思います。

 

電子チケットの普及を促進し前向きな議論をしたい

——電子化の一番のメリットはどこにあるのでしょうか?

原田:やはり紙、要するにイベントに来る権利を売るだけだと、紙を渡した後のコミュニケーションが発生しないんです。ピーティックスの場合は、チケットの他にイベントの案内だったり、レコメンデーションだったり、あるいはスポンサーからの特典が入っていたりとか、色んなコミュニケーションが取れる施策をじっくりやってきたんです。ですから紙ではやりたいことの1%も実現出来ないので、大前提として電子チケット、出来ればアプリで、というところは土台にして、それ以上のコミュニケーションを可能にしていきたいです。もちろんうちだけじゃなくて、主催者がイベントの参加者に何か渡したり「こういうコミュニケーションを取りたい」というケースも多いので、そこを可能にする下地が電子チケットなら出来るということですね。

まだ日本って紙チケットが中心ですし、「紙のチケットは思い出になる」とか「電子チケットになったらつまんないよね」という声も聞きます。ですから、まだまだこれからというか、我々も充分に電子化のメリットを引き出せてないかもしれないですし、そこは積極的にやっていって、日本でも「やっぱり電子チケットの方が良いよね」となるようにして行きたいですね。

——「電子チケットのほうが紙よりもセキュリティレベルが格段に上がる」と皆さん仰っています。

原田:そうですね。もう最終手段として無効化出来ちゃいますからね。紙は無効化出来ないじゃないですか? 本人認証のやり方も、モギリのしかたも各社で色々考え方が違うと思いますが、無効化出来るというのがやっぱり一番頑丈ですよね。

——先ほどおっしゃったように、たくさんのアイデアを組み込みやすいのも電子チケットのメリットですよね。

原田:セキュリティはもちろん大事ですし、高額転売問題の解決も大事ですが、後ろ向きな話より、電子化によってどういう付加価値を生み出すのかという勝負になっていったら良いなと思います。

——海外のチケットやライブの現状についてもお伺いしたいんですが、遅れていると言われる日本の電子チケット化は、欧米とはどの程度の差があるのでしょうか?

原田:実はアメリカもまだ完全に電子化できていないんです。アプリでの入場が増えているとはいえ、基本的にはネットでチケットを購入して、メールでPDFが送られてきて、結局はそれをプリントアウトして持っていくという形がほとんどなんです。ですから、まだ2000年あたりとあまり変わらないです。日本ってきっかけひとつでみんな一斉にそっちへ向いたりするんでね。Suica、おサイフケータイしかり、なんでもそうですけども。ですからこの領域も、数年後には日本が最先端になっているかもしれないですね。なぜ紙が続くかというと、色々な原因があると思うんですが、日本では不法行為はあまり起きないという大前提の下、紙は成り立っているのだと思います。海外では様々な不正行為を聞きます。

——例えばどのようなケースでしょうか?

原田:アメリカでは紙だとあらゆる偽造問題が起き過ぎてコントロールできません。東南アジアなんかですと、チケットの印刷工場から本物のチケットが盗まれて不正に出回ることもあって、3万人のフェスなのに9万人来てしまったり。席が決まってなければどうにでもなるので。

——確かに日本ではそこまで大規模な不正はないですね。その反面、日本人のモラルに頼っていたことで対策も遅れてしまったということですね。

原田:それはありますね。日本で不正が起きる確率の程度はわからないですが、最大でも数パーセント。そのために後ろ向きな話ばかりしていても仕方ないので、電子化によって得られる前向きな話が議論になると良いなと思います。

——ピーティックスは海外ではどのような展開をされているのでしょうか?

原田:ピーティックスは現在アメリカと東南アジアで展開していますが、基本的には日本と同じ戦略というか概念で進めています。今回の再販機能も海外でも打ち出していきます。

藤田:ピーティックスはグローバルに展開していますので、日本国内だけのサービスと差別化出来ると思います。海外の顧客層もいますので、そこに日本のライブの案内も出来ますし、可能性はすごく大きいと思います。

peatix 英語サイト

▲ピーティックス オフィシャルサイト 英語にも対応している

——ピーティックスは約3割が海外ユーザーとのことですが、インバウンド&アウトバウンドでも頻繁に使われているのでしょうか?

藤田:今年に入ってからそういうケースが、音楽を中心に増えてきています。最近ですとアソビシステムさんの「MOSHI MOSHI NIPPON FESTIVAL」はピーティックスを使って海外の人たちに告知し、インバウンドの集客に利用してくださってました。

——例えば外国人向けのイベントをやりたいと提案すると、すぐ対応してもらえるんですか?

原田:そうですね。ピーティックスはカスタマーサポートもサイトもしっかりと英語で対応出来るようになっているので、そういった意味では安心して使って頂ける仕組みが整っています。

——逆に海外へ日本人アーティストを送り込みたいというような場合でもサポートしてもらえるのでしょうか?

原田:日本のアーティストが、どうやったら海外でファンをつかめるか、ライブが出来るかというところで、ピーティックスが大きな役割を果たせるんじゃないかと思っていますし、そこに関してはピーティックスとしても強力にバックアップしていく仕組みを今考えています。こちらも固まったら発表していきますのでご期待いただければと思います。

 

「ネットワーク効果」を捉えて加速させられるかが勝負になる

Peatix Inc. 日本法人 営業・マーケティング統括, 共同創業者 藤田 祐司氏

▲Peatix Inc.日本法人 取締役 営業・マーケティング統括, 共同創業者 藤田 祐司氏

——業界内で海外展開を積極的にやっていこうという動向はありますが、簡単なことではないですし時間もかかるので、「誰かがやってくれるんじゃないか?」とどこかで思っている人も多いんじゃないかと感じていたんですよ。

藤田:海外に出る難しさというのももちろん分かっているつもりですが、うちはスタッフも3分の1以上が日本以外の国籍ですし、設立当初から海外展開をやってきたので、そこは強力にサポート出来るんじゃないかなと思います。

——再販機能もそうですが、ピーティックスでしたら海外へのアプローチがしやすい環境が整っていますね。

原田:今回の再販機能もそうですが、各社それぞれ機能面では数年以内に似てくるはずです。つまり機能面だけの勝負にはならない。やっぱりチケットを販売するだけじゃなくて、それ以上の付加価値だったり、ユーザーの利用データの蓄積がサービスの利便性向上につながる「ネットワーク効果」を捉えて加速させられるかが勝負になるのかなと思います。

チケット販社の歴史を見てみると、これまではずっとディストリビューション(流通経路)の勝負でした。コンビニで売るというディストリビューションを売りにして、一部インターネットでというのも当然出てきた。その中でうちはネットワーク効果を打ち出していく。そこが次のフェーズなはずで、日本国内で力を入れているのは、うちだけなんじゃないかなという気がします。

もちろん、そんなに甘い世界ではないですし、何社もプレーヤーが残るような世界だとも思わないです。多分1強か2強になる。そういう厳しい世界ですし、これから熾烈な争いが始まると思うんですが、うちの場合はスタートアップですし、開発のスピードも早い、さらに海外展開もできます。また僕らはAmazon出身ですので、ネットワーク効果についても理解しているつもりです。ピーティックスはまだ小さなベンチャーですが、個人的には良い位置にいるなと思っています。

——日本の音楽業界はCD然り「ガラパゴス化」しているとよく言われますが、チケット販売、あるいは二次流通でもそういった路線を歩んでいくような流れになっているんでしょうか?

原田:アメリカでも二次流通市場は段階的に公式化していきました。eBay傘下のStubHubがマーケットを作って、Ticketmasterが同業のサービスを立ち上げて、かなり公式な形でやって来て、全体の2〜3割は二次ないし三次流通というマーケットができました。日本も数字的には伸びてきて、大体同じようなパーセンテージになりつつある。ですから市場規模だとか、構造はそんなに変わらない状況になっていると思うんです。

ただ、アメリカはいち早く公式化して、二次流通以降の利益を一部還元するような形で発展してきましたし、日本もそういう流れは絶対出てくるだろうなとは思います。もちろんアメリカには「ダイナミックプライシング」のような席によって価格を変動させることが実現出来ていたりするんですが、そういう部分は日本はこれからかもしれません。結論を言えば、細かいところは違いますが、大きな流れでいうと同じようになっていくはずです。

——ライブやチケット市場は、あまりガラパゴス化しないんじゃないかなと予測されていると。

原田:そうですね。グローバルに各国の市場で展開している上で、多かれ少なかれどこも同じような構造になるという信念のもとにやっています。二次流通のマーケットでは、あまり複数プレーヤーがいると、まとまらなくなってしまいます。それは主催者にとってもユーザーにとってもデメリットでしかないので。

藤田:紙と違って、電子化されるとイベントの管理上、複数のサービスでやるメリットってないんですよね。そういったところでも、一つのイベントに関しては同じところで管理する、発券するという流れは必ず出てくると思います。

 

ユーザーと共に成長し、音楽のスターを生み出す手伝いをしたい

——先ほど原田さんが仰ったように、機能面は本当に似通っていくんだと思うんです。だからこそ、今後は前向きな何が出来るのかというところを各社が求められていくんでしょうね。

原田:まさにその通りだと思います。ただ先ほど「ネットワーク効果で」と申し上げましたけど、これがなかなか難しいんですよ。まずは顧客データベースのサイズ。音楽って、宇多田ヒカルが好きだからって椎名林檎が好きとは限らない。そういうアルゴリズムが発生しにくいんです。データベースのレコメンデーション機能を含めてどうサービスに反映していくのかというのは、音楽ではストリーミングの領域で各社が切磋琢磨していますが、非常に難しいテーマです。ですから音楽だけでやっていくと、ちょっと厳しいと思うんですよね。それこそうちが強みにしてきたユーザーの趣味嗜好のデータ、例えば「生け花が好きなんだけど、椎名林檎が好き」とか、ジャンルを超えてデータベースを作っていくのがすごく大事になると考えてここ5年間取り組んできましたので、そこは今後ピーティックスの強みになるんじゃないかなと思ってます。

——ライフスタイルという大きな括りで顧客データベースを作っていく。

原田:そうですね。「サザンが好きなら宇多田ヒカルが好き」という傾向を捉えるのは難しいんですよね。音楽って不思議なもので、ジャンルで押し付けるのもちょっと違いますしね。各社さんは基本的に音楽、エンターテイメントの領域のデータが溜まっていくと思うんですが、うちはもっと広い範囲で溜まっていくので、今までになかったアルゴリズムが生まれるんだろうなと。まだまだデータベースを大きくしないといけないですが、そういう可能性があるのは面白いかなと思いますね。

——今後どういった展開を検討されているのでしょうか?

原田:ライブ周りやイベント周りには非効率なことが多いので、とにかくそこを潰していく機能を開発して、その結果データベースを大きくし、ネットワーク効果を作っていく。この繰り返しですね。「これだ!」というのはなくて、このプロセスの繰り返しをやってきたし、今後もやっていくしかないんですよね。

あと、ひとつ大事だと思っているのはやはり海外です。日本国内と日本国外の顧客データベースの連携などは、うちにしか出来ないことですから、差別化するために力を入れて行きたいと思います。

藤田:海外ですと、例えばロンドンで大きなコミケがあって、そこのチケットを売っているのは地元のチケット会社です。そして同じようなコミケがパリでもあって、パリのチケット会社が売っていてとなると、顧客層は重なっているのにデータが繋がってないので、お互いに情報が行き届かないんですね。この問題は世界中で起きています。そこで我々が世界中でイベントをサポートすることで、国を超えたユーザーの流入が日本のみならず起き、より趣味嗜好でマッチングをかけることができると思うんです。結果「この国に行けばこんなイベントがあるよ」ということが頻繁に起きるようになったらいいなと考えています。

——最後にピーティックスに興味を持っている読者の方々にメッセージをお願いします。

原田:とにかくピーティックスはベンチャーの基本である「問題解決」を大切にしています。直接使っていただいて「ここは痒いな」とか「ここ届けばいいのにな」みたいな点があると思うんですが、そこをどんどん伝えて欲しいんですね。「共に歩んでいく」というと理想論に聞こえるかもしれませんが、皆さんの要望に即対応してサービスを良くしていくことで成長していきたいんですね。そして、一番夢見ているのは、名もなきアーティストがひたすらピーティックスを使ってくれて、スターになるみたいなストーリーを描くことです。

——音楽のスターが生まれるお手伝いですね。

原田:ええ。ピーティックスは単なるチケット屋さんじゃないですよ、と。「チケット以上」を英語で言うと「More than a ticket」なんですが、これはピーティックスの事業ポリシーなんです。すでに音楽以外ではそういったケースは生まれていますので、音楽でもそういったアーティストが必ず出てくると信じていますし、我々もそれを楽しみにしています。