過去最大規模の650社が出展「第4回 ライブ・エンターテイメント EXPO」「第4回 イベント総合 EXPO」今年の見所は
左から:小林さん、岡部さん、近藤さん
ライブ・エンターテイメントEXPO事務局 イベント総合EXPO 事務局
リードエグジビションジャパン株式会社
取締役 統括事務局長 岡部 憲士
同 事務局次長 近藤 純一
同 課長/講演責任者 小林 愛実
イベントに関する演出機材やグッズ、各種サービスが一堂に集まる日本最大級の見本市「第4回 ライブ・エンターテイメント EXPO」および「第4回 イベント総合 EXPO」が、5月31日から3日間にわたり幕張メッセで同時開催される。ライブ・エンターテイメント市場の急拡大を背景に、同見本市の需要も年々高まっており、第4回となる今年は、初回の開催から約4倍となる650社が出展、30,000人の来場者を見込んでいる。
新たなゾーンやフェア、業界のトップランナーが登壇するセミナーなど、全てが過去最大規模となる今年の見本市の見所について伺った。
- 今年は「ライブ・エンターテイメント EXPO」と「イベント総合 EXPO」が同時開催
- 「施設の常設機材フェア」「楽器ゾーン」を新設、注目の企業を紹介
- ライブ・ビューイングの近未来が体験できる特設シアター
- セミナー・イベントには業界のトップランナーが続々登場
今年は「ライブ・エンターテイメント EXPO」と「イベント総合 EXPO」が同時開催
——今年で4回目となりますが、改めて「ライブ・エンターテイメントEXPO」「イベント総合 EXPO」開催の背景をうかがえますでしょうか?
岡部:コンサートやイベントの開催数が増えるに従って、そこで使われる機材やサービスが多様化してきている中、それを一堂に集めた展示会が日本にないので「作って欲しい」という声が非常にあり、4年前に第1回目を開催させていただきました。今まで日本になかった展示会でしたので、1回目から200社を越える企業に出展していただきました。2年目から会場を幕張メッセに移して規模を拡大して開催しているんですが、今回一気に650社になるということで、イベント主催者やイベント主催者に売り込みたい方にとって欠かせない場になってきているように思います。
——第1回目から約3倍の出展と急拡大していますね。
岡部:そうですね。本当に新しい機材、サービス、演出がどんどん出てきていますし、海外からの出展がありますので、お越しいただいている方からも「毎回楽しみにしている」「ここに来れば最先端が見られる」と注目して頂いております。音楽産業の方々にとっても欠かせない場になっていますし、アーティストの方にもお越しいただいています。
——演出のアイデアが湧くような刺激がある場所になっているんですね。
岡部:最近はアーティスト自身がこだわって、自分でステージを演出していることも多いようですので、アーティストの方の来場者も年々増えています。用意された物の中から選ぶのではなく、自分で新しい物を探せるので非常に面白いと思います。
——4回目を迎えるにあたってイベントの名称が「ライブ・エンターテイメント EXPO」と「イベント総合 EXPO」に変更されましたが、どのような意図があるのでしょうか?
岡部:昨年までは「ライブ&イベント産業展」という名称でして、これはこれで順調に伸びていたんですが、一方で音楽ライブの印象が強く、音楽ライブ以外のエンターテイメント業界全体の方々に対してやや趣旨が伝わりづらかったんですね。ここには演劇やミュージカル、各種ショー、フェスなども含まれるのですが、「自分が行くべき展示会だ」とイメージしていただけない。それならばもっと分かりやすくしようということで「ライブ・エンターテイメント EXPO」という名称にして、「イベント総合 EXPO」と同時開催することにしました。明確化して分かりやすくなったことで出展社も増えましたので、また一回り規模が大きくなると思います。
「施設の常設機材フェア」「楽器ゾーン」を新設、注目の企業を紹介
——今年の注目ゾーンを教えてください。
近藤:グッズゾーンは昨年に引き続き充実しています。グッズ市場が拡大していることから新規参入する企業がどんどん増えていまして、スワロフスキーさんなどの宝石メーカーが出展したり、いわゆる「ライブグッズ」として販売していなかったものも展示されます。
——出展企業にとっても新たな挑戦の場になっているわけですね。
岡部:もともと来場者アンケートで、今までにないものやコアなファンに喜んでもらえるような少々高額な商材、例えば、ジュエリーやアクセサリーなど5,000円〜1万円以上するような物を作りたいという要望がありました。一方、宝石業界やジュエリー業界からも、他の産業でビジネスを拡大したいという要望がありましたので、この展示会が両者のマッチングの場にもなっています。
——今年新しく増えたゾーンはありますか?
近藤:まずは「施設の常設機材フェア」ですね。エンターテイメントはどちらかと言うと常設の会場に行って、そこで見る方が多いですし、出展社の売上としても多いんです。「そういう場を作って欲しい」という声は元々あったので、展示会の名称を変えるタイミングで新設することになりました。こちらには、音響機材を常設用として販売する企業が出展されています。また、最近、常設機材の市場で顕著になってきているのが、インバウンド向けの製品です。同時通訳のサービスやテロップなど字幕のサービスを提供する企業の方も、エンターテイメントの顧客層を活性化する上で重要なソリューションとして、出展が決まっていきました。
岡部:もともと施設の方の来場は多かったんですが「施設に導入するもの」の要望があったんです。Musicman-NETさんの読者の中にも、会場やホール関係の方がたくさんいらっしゃると思いますが、そういう方も見逃せない内容になっていると思います。
近藤:音響や舞台字幕、舞台美術など、常設だからこそできる最新の機材が増えていけば、もっと魅力的なものになると思うので、将来的にはそこを目指して行きたいと思っています。
「第4回 ライブ・エンターテイメント EXPO」ウェブページより
——「楽器ゾーン」も今年からですよね。
岡部:そうですね。これまで楽器の出展社がゼロだったのが、ゾーンとして場を作ることで、イベント会場にピアノなどをレンタルするサンフォニックスさんに手を上げていただいたり、DJのフェスも増えてきている中で、Pioneer DJさんという世界的なトップメーカーにも出展を決めていただきました。
——このほか今回注目のブースはありますか?
近藤:エイベックス・エンタテインメントさんがかなり大きなブースで出展されます。エイベックスさんが持っていらっしゃるエンターテイメントに関わる演出からサービス、キャスティング、イベント企画、映像演出、チケッティングなど、全てのサービスが集まる予定です。
岡部:あとは去年も出展して頂きましたが、ソニー・ミュージックコミュニケーションズさんもエイベックスさんと同じように、様々なサービスを手がけていらっしゃいます。後はアソビシステムさん、ホリプロさんなどの有力企業さんも出展されます。
近藤:今までになかったところで言うと、ドローンを使った演出をするドックスさんが出展されます。「約6000発ものLEDを搭載したドローン」を展示する予定です。レディー・ガガが出演した今年のスーパーボウル・ハーフタイムショーでドローンを使った演出が話題になりましたが、今後は確実に日本でもドローンが演出で使われ始めると思います。
岡部:「イベント総合 EXPO」の方ですと西尾レントオールさんが、巨大なエンターテイメント空間を作る、幅40メートル、高さ13〜4メートルほどの大きなテントを展示します。流石に全部は持ってこられないので一部分ですが、繋げるとどうなるのかという所を見ていただきたいですね。
近藤:あと、エムテック・スタイルさんも最新の照明技術としてムービングを出されます。今回は照明会社さんも増えて、伊東洋行さんやKINETIC LIGHTS JAPANさんなど世界的に有名な照明の会社も出展が決まっています。今までは映像が多かったんですが、照明も増えますし、音響も増えましたので、演出機材はかなり見ごたえのある内容になっているはずです。
岡部:チケッティングではテイパーズさん、EMTGさんが最新のシステムを展示されますし、ライブ・エンターテイメントのチケッティングシステムに新たに参入している企業もありますから、チケッティングもソリューションの数が増えていますね。
※クリックして拡大 「第4回 ライブ・エンターテイメント EXPO」「第4回 イベント総合 EXPO」ウェブページより
ライブ・ビューイングの近未来が体験できる特設シアター
——出展の傾向として、これまでとの大きな違いはありますか?
近藤:傾向としては、ブース内でデモンストレーションを行う会社が増えてきています。今回は5、6、7ホールで開催するんですが、7ホールだけ繋がっていないので、照明を落として音量制限を緩和して、かなり自由に演出ができるようにしています。聞いている限りでは、DJショーをやる会社さんもいらっしゃいますし、ダンサーを連れてきて照明を含めたショーをやるという話も聞いています。かなり面白いゾーンになると思いますね。
——より実際の演出に近いものが見られるということですね。
小林:来場者さんからも「どうやって演出に使うのかを見たい」という声が多いんです。海外でも、そういった演出を実際に行う出展が多いと聞いています。単に機材を観るだけでなく、実際の演出を体験できるのはこの3日間しかないので、そういった意味でも体験しに来て欲しいですね。
——今年は最先端の8K映像が体験できる特設シアターもあるそうですね。
岡部:特別企画の1つとして、「8Kスーパーハイビジョンシアター」をやります。8Kのハイビジョン映像と、22台のスピーカーを使った22.2chの立体音響で、まるで目の前にいるような臨場感が体験できます。これは日本初公開で、最新のプロジェクターを4台使用して300インチの映像を作ります。その場に来ないと分からない最高画質、最高音響で、もうすぐ実現する“ライブ・ビューイングの未来”が体験できるので、音楽業界の方も必見です。
「第4回 ライブ・エンターテイメント EXPO」ウェブページより
——これを観るためだけでも足を運ぶ価値がありそうですね。
岡部:本当にそう思います。
近藤:当日はライブとスポーツを上映することになっていて、昨年末の紅白の映像を流します。例えばSEKAI NO OWARI、RADIO FISH「PERFECT HUMAN」、AKB48、欅坂46、あと石川さゆりさん。それと水泳やバスケ、サッカーなどのスポーツ映像を上映する予定です。
岡部:これを推進しているのが映像配信高度化機構というところで、これは中村伊知哉先生(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)が代表理事に就任されています。初日の午前中に中村さん自身がこのパブリックビューイングについて、最新の情報を講演してくれるんですが、これを聞いて体験していただくと、最新のパブリックビューイングの状況が分かると思います。すでに問い合わせを沢山いただいています。
——こういった体験型のイベントを去年から実施されていますね。
岡部:はい。展示会のあり方については、ライブ・エンターテイメント、イベント業界の方々のビジネスに役立つ場を作るというのが最終目的ですから、今回の特設シアターは、ライブ・エンターテイメント業界でもイベント業界でもスポーツ業界でも使われる技術になるでしょうし、国としても普及させていこうという方針が出ていますので上映することにしました。
セミナー・イベントには業界のトップランナーが続々登場
——今年のセミナー登壇者も豪華な顔ぶれですね。
岡部:今回の「ライブ・エンターテイメント EXPO」では、ライブ・エンターテイメント業界を活性化していきたい、特にこの業界をもっと刺激してくれる若手を応援していこうという趣旨に賛同いただいて、この展示会のアドバイザリーコミッティー委員を組織しました。
本当にそうそうたるメンバーで、ディスクガレージの中西(健夫)社長、エイベックス・エンタテインメントの黒岩(克巳)社長、Zeppライブの杉本(圭司)社長、アミューズの畠中(達郎)社長、ホリプロの堀(義貴)社長、ナベプロの渡辺(ミキ)社長、アソビシステムの中川(悠介)社長、松竹の岡崎(哲也)常務、宮本亜門さん、ネルケプランニングの松田(誠)会長、ドワンゴの横澤(大輔)取締役に参加していただいています。
——本当にすごいメンバーです。
小林:委員の皆さんに、今どんな方のお話を聞きたいか、どこに注目されているか、ご意見をうかがって企画したのが、「業界活性化&若手応援のための特別講演」です。初日のトップバッターではソニー・ミュージックエンタテインメントの水野(道訓)社長とユニバーサル ミュージックの藤倉(尚)社長が講演と対談を行います。あとは、ライゾマティクスの真鍋大度さんと演出振付家のMIKIKOさんに、最新の演出の裏側を語っていただきます。
さらに先日豊洲にオープンした新劇場「IHI STAGE AROUND TOKYO」のオリジナルである、オランダ・アムステルダムの客席が回る劇場という構想を最初に考えられた、ロビン・デ・レヴィータさんと、ブロードウェイで活躍されているプロデューサーの吉井久美子さん。また「アーティストの海外進出に関する講演ならばアミューズさんしかいない」ということで、畠中社長にお声がけしまして、アジア展開の責任者である宮野(治彦)さんをご選出いただきました。あとは宮本亜門さん、今とても勢いがある新日本プロレスのオーナーでありブシロード社長の木谷(高明)さんですね。この特別講演は全て無料です。
——どの講演も聞き応えがありそうですね。有料セミナーの見所もおしえてください。
小林:まず、コンサートプロモーターズ協会さんご協力のもと、クリエイティブマンの清水(直樹)社長が世界のライブ・エンターテイメントの市場動向について現状を語ってくださいます。音楽産業・文化振興財団(PROMIC)さんにご協力をいただいた中華圏のセミナーや、LINE LIVE、弁護士の福井(健策)先生が海外コンテンツを展開するための契約書を公開添削するという実践型のセミナーもあります。
また、特別セミナーという形で、チケット転売問題についてディスクガレージの石川(篤)常務も出演されますが、既に申込みが多数あり、ライブ業界、イベント業界関係なく注目していただいていると感じています。
——昨年に続き今年も若手座談会がありますね。
小林:今回はコンサート制作の立場からエイベックス・エンタテインメントさん、舞台制作でホリプロさん、照明からパシフィックアートセンターさん、音響で東京三光さんという形で行います。昨年はコンサートという視点でやりましたが、今回は「ライブ・エンターテイメントEXPO」ということで、ちょっと広げて舞台制作もテーマに含めています。
こちらもすでに学校さんから問い合わせがあり「その日は授業として現場を見せたい」と、100人、200人といったクラス単位でいらっしゃるようです。セミナーや展示会の現場を見てもらって、就職の意識を高めていただければと思います。
——人材不足を解消する1つのきっかけになれば良いですよね。最後に、来年以降の「ライブ・エンターテイメント EXPO」「イベント総合EXPO」の展望をお聞かせください。
岡部:今回「ライブ・エンターテイメント EXPO」と「イベント総合EXPO」に分けて開催することに大きな手応えを感じています。今年新たに「地方創生ゾーン」を作りました。「ライブ・エンターテイメント EXPO」も「イベント総合 EXPO」も、この「地方創生」と密接な関係にあって、業界だけでなく地方の自治体や国の方々からも注目されています。
まさにライブ・エンターテイメント業界、イベント業界、地方自治体含めて、全体で盛り上げていくプラットフォームになっていくと思います。そして、この展示会は商談の場として開催していますので、見に行っておしまいではなくて、様々なビジネスパートナーを見つけたり、新たな機材を導入したり、本当の意味で熱気のある場にしたいですね。ぜひ最先端のものを探しに、体験しに来てください。