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TIMMへの参加で拡がった仕事・人脈〜英「JPU Records」CEO トム・スミス氏に聞く

インタビュー スペシャルインタビュー

日本音楽の海外進出を目的とした「第14回東京国際ミュージック・マーケット(14th TIMM)」が、今年も10月23日〜25日の3日間、渋谷を中心に開催される。100名以上の海外バイヤーが来日する商談会のほか、ショーケースライブ、ビジネス・セミナーが行われ、毎年多くの音楽関係者が来場者する。この国際音楽マーケットに過去3回参加し、数多くの日本人アーティストと契約をしているイギリス「JPU Records」のCEO トム・スミス氏に、TIMMへの参加がどのような成果に結びついたのか、お話を伺った。

 

TIMMがYOSHIKIのコンサートプロジェクトへの参加、日本人アーティストとの契約のきっかけに

――最初にTIMMに参加されたきっかけは?

トム:ジェトロ(日本貿易振興機構)から日本の音楽産業についてマーケットリサーチの依頼があり、それを受けるかたちで日本の音楽関係者にコンタクトを取るうちに、TIMM事務局と知り合い、2014年に初めて参加しました。

――参加されてみていかがでしたか?

トム:私はイギリスで日本人アーティストをイギリスやヨーロッパに流通する「JPU Records」というレコード会社を運営しているので、いつも日本のメジャーレーベルの方々と連絡を取っていましたが、彼らと1日で、しかも1つの会場で直接会うことができたことが大きな利点でした。もしTIMMに参加せずにそれぞれにアポイントを取っていたら、日程の調整に何日もかかってしまってとても大変だったと思うので参加してよかったです。

――TIMMには様々なビジネス・セミナーもありますが、セミナーにも参加されているんですか?

トム:期間内は毎日朝から参加しています。とても面白いですね。昨年はBABYMETALのツアー・ブッキング・エージェントをしているロス・ワーノックさんが登壇されていて、彼とずっとコンタクトを取りたいと思っていたのですが、TIMMに参加したことで実際に会うことができました。イギリスにいても彼に会うチャンスは少ないので、非常に貴重な機会になりました。

また、私は今年ウェンブリー・アリーナで行われたYOSHIKIのコンサートのチームに参加していたのですが、そのきっかけを作ってくれた人ともTIMMで再会し、その出会いが今回の仕事に繋がりました。

――実際にTIMMに参加したことでどのような成果があったのでしょうか?

トム:現在私のレーベルで流通しているビクターのアーティストは、全てTIMMで契約しました。例えばMARY’S BLOODは、ショーケースには出演していませんでしたが、TIMMを通してコンタクトが取れて契約することができました。最近では、虹のコンキスタドールというアイドルや、メタルシンガーのSIN ISOMERなどと契約することができました。

 

EDMやメタルなど、欧州圏の文化に合ったサウンドがヒットの鍵

――ジャンルが幅広いですね。そもそも、なぜアジアのアーティストを扱おうと思ったのでしょうか?

トム:以前、「Neo Magazine(ネオ・マガジン)」というイギリスのアジア・ポップ・カルチャー雑誌のライターをしていたので、それがきっかけで日本の音楽を聴くようになりました。一度日本人アーティストについて記事を書いたときに読者から大きな反響があり、次の号からは毎月日本の音楽について書くことになりました。それから日本のレコードレーベルとも頻繁に連絡を取るようになりました。

――特に人気のあったジャンルはなんでしょうか?

トム:10年前はビジュアル系が人気でした。今はSCANDAL、BAND-MAIDなどのガールズバンドが人気ですね。アイドルは日本ほどの人気はないですが、例えば妄想キャリブレーションは、先日行われた「HYPER JAPAN」に出演して、CDがすぐに完売しました。彼女たちは典型的なアイドルというよりは、EDMをベースにした楽曲なので、ヨーロッパの人に受け入れられやすいんだと思います。このように、まずは楽曲が最も大事でビジュアルは付加価値でしかないんです。

「Hype Japan」でコスプレイヤーと撮影した写真

「HYPER JAPAN」でコスプレイヤーと撮影した写真

――トムさんがアーティストと契約するときは何を判断基準にしているんでしょうか?

トム:典型的なJポップはすぐにイギリスの人には受け入れられませんが、BABYMETALやBAND-MAIDのようにアイドルとメタルやロックを融合したものだと、元々ロックやメタルを聴いているので受け入れられやすいですね。先ほどの妄想キャリブレーションもそうですし、ヨーロッパの人に受け入れられやすい音楽かどうかで判断しています。あとは他のアーティストにはない特徴を持っていることですね。

――アニメの主題歌を歌っているアーティストはいかがでしょうか?

トム:アニメの主題歌を歌っているアーティストは、もちろんアニメファンに人気なのですが、CDはあまり売れません。アニメファンは、主題歌になった1曲だけがほしいので、デジタルで購入することが多いですね。なので、いつも日本のレコードレーベルの期待をプレッシャーに感じています(笑)。日本のレーベルは日本と同じくらいCDが売れると思っている方もいるようですが、この現状をもう少し理解してもらいたいですね。理解していただくことで、より欧州圏に適した売り方ができるんじゃないでしょうか。

――今後の課題ですね。TIMMをより有意義に過ごすためにアドバイスをお願いします。

トム:とにかくたくさん人と会って、握手をすることが大切です(笑)。短期間にこれだけ多くの人たちとコンタクトが取れるTIMMはとても貴重な場ですから、積極的に活用してもらいたいですね。

KEMURIのUKツアーの様子

KEMURIのUKツアーの様子