【DAWN】新しいスタイルのライブエンターテインメント業界をリードするプロフェッショナルたちが語る、これからのライブエンターテインメント<後半>
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【DAWN】新しいスタイルのライブエンターテインメント業界をリードするプロフェッショナルたちが語る、これからのライブエンターテインメント<前半>
<スピーカー>
大田高彰氏 株式会社インターグルーヴプロダクションズ 代表取締役
福田浩士氏 株式会社meleap CEO
前田裕二氏 SHOWROOM株式会社 代表取締役社長
<モデレーター>
鈴木おさむ氏 放送作家
ライブエンターテインメントに特化したカンファレンス「DAWN Live Entertainment Summit 2017」の第2部としてイベント業界を牽引するトップクリエイターによるトークセッションが開催された。業界をリードするプロフェッショナルたちが語るこれからのライブエンターテインメントや、昨今人気を集める新しいスタイルのライブエンターテインメントの数々、その先の未来に何があるのか語られた。
HADOをブランド化し「憧れの場」にする
鈴木:みなさんの話を聞いた上で、もし他2人のビジネスをやるとしたらどうするか?というのを聞かせていただきたいんですが、例えば、前田君がHADOをやるとしたらどうしますか?
前田:今ってアーケードにおいて、1回1プレイ300円みたいなことをやっていると思うんですが、僕だったらそれより先に天下一武道会的なものを作ってしまって、あんまり一般人にやらせないかもしれないです。一般人がHADOをやれることの価値をまず高めてから、やるかもしれないです。
鈴木:やりたい、やりたいと思わせる。
前田:そうですね。どれくらいIP(知的財産)と組むこととかを考えてらっしゃるのかわからないですが、ドラゴンボールみたいなIPと組んで、ブランドを作りに行くのは面白いかなと思いますけどね。
鈴木:どうですか? それを聞いて。
福田:そうですね。もともとドラゴンボールから始まったので天下一武道会的な、天下一HADO会みたいなものを作ろうかなと思ってはいるんですよ。好きなキャラクターの技とか選んで。まあちょっと、空は飛べないんですけど。舞空術だけがまだ心残り。それ以外は大体できるか、諦めているんですけど。
前田:舞空術は諦めてない?
鈴木:そんなに…?(笑)、そんなにしたい!?
前田:それもVRの世界の中のバージョンを作ってしまったらできるんですよね。
福田:そうですね。VRであればできます。
前田:ARじゃなくて、完全にVRにしてしまえば舞空術も使える、みたいなのがあると思うんですけど。
鈴木:でもそれをやるんだけど、最初は一般に開放するんじゃなくて。
前田:もうeスポーツみたいにしちゃうというか放映権を売る、みたいな。普通にテレビやネットでそれを見ることが当たり前になっていく、みたいな。それで運動神経のいい選手のすごいプレイが見ることができる。野球やサッカーの試合で感じる「すごい、あのプレイ!」と思うような感覚を、これで見せるというか。
鈴木:映像込みで見せていくという。
前田:結構、どっちかに決めてやるのが大事だと思っていまして。コモディティ化を最初にしちゃうと、「なんかあれでしょ」みたいなイメージを持たれてしまって、単価も上げにくいし。
福田:そうですね。最近、日本のクラタスと戦ったロボット大戦のライブがTwitchで放送されていたと思うんですけど、あれもまさに同じような感じかなと思っていて。一般的な競技ではまったくないんですが、人型の、人が乗り込むロボットを作って、それを見せるという。憧れの場みたいな。
前田:僕は波動拳にこだわる必要ないと思っていて、IPと掛け合わせまくったらすごい世界が広がると思うんですね。例えば、HADOの世界の中で、ガンダムになりたいという願望を実現させてしまう。ガンダムになりきってソードから技を繰り出したり。こんな風にIPと掛け合わせまくるというのが、僕がHADOの人だったら多分やることだと思います。そうすると、最初にブランドができて、あの世界観で自分もプレイヤーになりたいってみんな思い始めると思います。
実はSHOWROOMもそうだったんですが、最初は一般開放しなかったんですよ。SHOWROOMで配信できるということのプレミアムをつけたんですよね。「あれでしょ、芸能事務所とか所属してないとできないんでしょう?」みたいな。今までライブ配信サービスってたくさんあったんですが、基本的にUGCで、誰でも彼でもできますと。でもSHOWROOMは基本的に誰でもができるものじゃない。そこに横並べた瞬間、すごく高揚するというか。一般開放しない期間はしんどいと思うんですけど、僕だったらブランドを作るかなと思いますね。
福田:憧れは大事ですね。
鈴木:大田さんはどうですか?
大田:最近サバイバルゲームが流行っているじゃないですか。あれって都心から離れたところに行くんですが、もろ都会の街の一部をそのまま貸し切って、そこでストリートファイトみたいなことができたらめちゃくちゃ面白いなと思っていました。
福田:ストリートで戦う感じというのはすごく大事だと思っていて、僕は通勤途中とか登校途中に、「なんで敵に襲われないんだろう?」という違和感を常に感じてきたんですけど。
大田:僕よりもだいぶリアルですね(笑)。
鈴木:だいぶですね(笑)。町おこし的なものでやったことってあるんですか?
福田:町おこしという意味ではないですが、結構地方に出張して、イベントはやっているんですよ。
鈴木:それはひとつのエリアを借りて、何か対決するとかですか?
福田:そうですね。地方の科学博物館でやったりとか、体育館を借りてやったりとか。
鈴木:日本って、古いお城ってたくさんあるんですよ。しかも古いだけじゃなくて、なぜかこの50年ぐらいで建てちゃったお城とかもあって、そういったお城の前って必ず公園があるんですよね。だからこういう場所をもっとイベントスペースとして、自治体とか活用すればいいのになって思うんですけど、HADOはそういう場所にすごく合っているかもしれないですね。
SHOWROOM×スポーツ選手の壁
鈴木:続いてSHOWROOMはどうですか?
大田:僕も先ほどおさむさんがおっしゃった真ん中の世代で、街でやっている方々にお金投げるかどうか、みたいなことの間にいると思うんです。やっぱりこういった形にすると、そもそもの常識がない中でどんどん見るという形ができていて、面白いなと思っていて。僕はバンドが好きなので、バンドやロックがこういったシステムで見たいですよね。
福田:ちょっと違う観点になっちゃうんですが、僕らテクノスポーツって、スポーツを作る気持ちでやっているんですが、スポーツ選手って自分たちでブランディングとかマーケティングってなかなか上手くできないんですよね。もちろん事務所がついているところもあるんですが、そこをもうちょっとできたら面白いんじゃないかなと思っているんです。ですから音楽とかだけではなく、例えば日々練習している感じとか、頑張っている様子とかを配信して応援するファンをつけるっていうのを、僕たちもやっていきたいんですよね。
前田:それ、実は一度やったんです。試みたんですけど、やはり難易度が高くて。
鈴木:何が挫折のポイントだったんですか?
前田: ひとつはタレントの卵やアイドルの卵と比べて、コミュニケーションが彼らの本分ではないから、話があまり上手じゃないんですよね。さっき言ったように絆を作って、人に対してお金を払ってもらう世界を作るには、まずコミュニケーションが大前提なんです。つまりインタラクションができないんですよ。あと2つ目がかなり決定的だったんですけど、本業じゃないっていうのが大きくて、ファンを増やすことに対して時間を使っていることが、表に見えてしまうわけじゃないですか。それで本業で、例えばですけど、スポーツで成績が下がるとか、格闘選手で負けちゃうとかあると、ファンにすり寄っているというか、迎合しているからだよね、みたいなことを言われちゃうのが怖くて、あんま時間を使えないっていうのもあるんですよね。タレントとかアイドルの子たちだったら、ファンと交流すること自体がそもそも本業だから、そこにエクスキューズがあると思うんですけど、スポーツ選手はそうじゃない。その時間あるんだったら、黙々と練習していた方がいいと。その難しさが結構ありました。
鈴木:ただ、正直言って、格闘家とかってスポンサー必要じゃないですか。だから、そういう人たちが配信とかを使って、タレント性というか、そういうことまでやれていけたら、より人気が出てくるでしょうね。
前田:これは絶対解決したい問題なので、何とかしたいとは思っているんですけどね。バスケもやったし、ビーチバレーもやったし、野球もやったし、色々やったんですけど、すごく難しいです。一番難しいと思ったのが、選手って結構心がセンシティブなことが多いから、「コメントを見せたくない」って監督に言われるんですよ。
鈴木:なるほどね(笑)。
前田:野球だとヤジとかあるじゃないですか。例えば打席に立つ前に自分のヤジみたら打てなくなるって言うんですよね。だから「見せないでくれ」と言われて。コメントを出さないようにしたりとか、結構難易度が高い。その知恵の輪を解いていきたいなと思うんで、やりたいんですけどね。あと、遠征費すら払えないみたいな若手の生徒がたくさんいると思うので、そういう子たちが機会を得られるような場になっていけたらいいなと思っています。
ファンとファンの繋がりを意識するライブ作り
鈴木:ではライブというものに対してどうですか?
前田: SEKAI NO OWARIとかPerfumeの単独ライブはまだいいんですが、サマソニとかって、一人ぼっちで参加しにくいじゃないですか。でも、あの場自体がコミュニティになっていけば、もっと広がるなと思っています。それこそ出会いに対する感覚って、僕らよりも若い人たちの方がハードル低いので、あの場で横のつながりができたらなと思うんです。
大田:そうなんですよね。音楽のコンサートって本当に横のコミュニティがない中でみんな見に行くんで、そこでの会話をスタートさせることがまず難しくて。なんかきっかけを作りたいなとは思ってはいるんですよね。
前田:やはり間にネット的なもの、バーチャルを介すとすごいいいと思うんですよね。特にフェスは。
鈴木:サマソニとかフェス行く人って3、4人で行っても結構バラけるんですよね。特に何の気なしに行った子たちはかたまって見るんですけど、「これ見たい」と自分たちでタイムテーブル組んで行くと、大体みんなバラバラになるという。それはそれでもちろん、ライブやっているときは見ているのでいいんですが、それ以外のご飯食べたりとか、それこそ今は家族連れも多いので、子供が遊べるキッズスペースを作ったりとかしているんですけど、そういったところでコミュニケーションしながら楽しんでいくというのが、これから足せないと、やっぱり行くのが億劫になってくると思います。やっぱり、ぼっちって、相当好きな人でないと退屈なので。常日頃、音楽好きが集まって生きていますって人以外は、それができないんで。そこを上手く技術を使って。
前田:絶対、引っかかってくると思います。
鈴木:昔だとオフ会みたいな。簡単に会えて「○○が好きなんですか?」とその場ですぐ会話できるといいなと。
前田:単純にアーティストごとに二次会的なものが、その近くで行われているだけでもコミュニティはできると思います。先日、キングコング西野(亮廣)さんとこの話題で盛り上がったんですよ。西野さんのお笑いライブに来る人たちの中から、1人で参加できないというクレームというか、悩みが寄せられることがすごく多かったらしいんですが、あるライブが終わった後に「このあと『和民』集合ね」みたいに場を作ったらしいんですよ。そうしたらその和民で「今日のライブこうだったよね」みたいな話をファン同士が始めて、横のつながりができて、その横のつながりがまた横のつながりを作って、最終的には集客が増えたと言っていました。そういうアーティストとファンってことじゃなくて、ファンとファンの繋がりを意識したらいいんじゃないかと思うんですよね。
鈴木:行ったことを共感できる仲間を作っていくことが、またビジネスになるってことですよね。
前田:そうです。今のライブの作り方って、演者とお客さんということばかりやっていると思うんですが、お客さんとお客さんってもっとやれることはあるとすごく思っています。
福田:今、前田さんがおっしゃったことに近いんですが、ライブに行ったときの観客同士のコミュニケーションをもうちょっと進化させたいなと思っていて、僕が考えるのはどちらかというと、曲を演奏している最中なんですね。演奏している最中に、ノッてくるじゃないですか。僕もライブ中とか結構踊ったりするんですが、そのときに一緒にいるそこら辺の人たちと仲良くなりたいというか、一体になりたいという気持ちってあるじゃないですか。そこの演出っていうのができたら面白いなと思っています。
例えば、気持ちが高まると、空間上に色がついてくるとか、盛り上がっているエリアに色がついたり泡が噴き出したりして「あっちのエリア何か面白そう」とか、観客エリアの空間をデザインしていきたいんですよね。そこは泡であっても、空間上に線を引くでもいいんですが、それを通して観客同士のコミュニケーションができるんじゃないかなと思っています。
日本主導のルール作りとポップカルチャーをいかに伝えるか
鈴木:今回のテーマでもあります「日本発のエンタメが世界で受け入れられる可能性」についてですが、今はライブで海外へ行く人は結構いますよね。
大田:そうですね。日本のアーティストが海外行くのは当たり前になっていて、きゃりーぱみゅぱみゅさんとかはハシリだと思うんですが、行くだけじゃなくて、行った国でいかに広めていくかというのが今課題であって、これが突破できると、海外に色々なアーティストがきちんと出ていくことができるのかなと思っています。また、会場で限られた人数が見るライブを、もう少し広げるようなきっかけが今後できたらいいなと思っていて、VRなどの最新技術と連携して、いかにひとつのものを共有できるかというところが鍵になってくると思います。
先日、Perfumeとdocomoさんの企画(※)なんですが、Perfumeの3人が東京とニューヨークとロンドンそれぞれに散って、同時にパフォーマンスしたものをRhizomatiksさんがミックスをして生配信したんですよ。
※NTTドコモのプロジェクト「FUTURE-EXPERIMENT」とのコラボレーション
第1弾「VOL.01 距離をなくせ」
https://www.nttdocomo.co.jp/special_contents/future_experiment/
鈴木:生で配信したんですか!?
大田:そうなんですよ。これはお客さんを入れてやったものじゃないので、映像作品としてかなりすごいなと思いつつ、我々もこれをライブに転嫁できないかなと思っています。ひとつのステージで限られた人たちを集めるのがライブなんですが、これをいくつかの会場でみんなが見ると。今で言うと、同じアミューズ・グループでライブ・ビューイング・ジャパンという会社があって、映画館にライブを配信しています。
鈴木:前田君はどうでしょう?
前田:日本のエンタメっていつもコンテンツと、プラットフォームの二つに分かれちゃうんですよ。中川さんのアソビシステムやアニメとかは前者で、僕らがやっているのはフォーマットです。あと「アメリカン・アイドル」みたいな番組のフォーマットを海外で売っていくというモデルもあると思うんですが、それもフォーマットですよね。で、僕がやりたいのはもう、完全に後者なんですよね。なぜかというと日本人って基本、ルールを作る側には回ってないと思うんですよ。
基本、欧米の人たちがプラットフォームやフォーマットを作って、僕らはそのルールの中でコンテンツを作ることばかりやっている気がするんですよね。ルールを作っているやつの方が強いに決まっていて、それこそ「英語が共通言語」というルールを作ってしまったら、僕らが英語の勉強に時間を使っている間に、アメリカ人はまた新しいルールを作ることに時間を使えているわけで、それが悔しいんですよね。ですから僕は日本発のプラットフォームとかフォーマットを世界に広げてくことにすごく強い想いがあります。
あともうひとつ、コンテンツは必ずしも再現性をコントロールできないので、1個のコンテンツが終わったところで、もう1個コンテンツを作ってさらに広げていける保証はないんです。ですから自分はプラットフォームで再現性高くビジネスを広げていくことをやりたいなと思っています。
さらにアジア圏と欧米圏では全然戦略が違うと思っていまして、SHOWROOMは今まさに、アジアに支社をどんどん作っていく動きをしているんですが、先にアジアをやっているのは、アジアの親日国においては日本のプラットフォームであることが、すごいプラスに働くからなんです。
鈴木:なるほど。やっぱり欧米だとちょっと違う?
前田:違いますね。今の僕らのUIも欧米に持ってくとアニメに近い感じに見えちゃうんです。ですから僕らのサービスをアメリカに持っていくときには、もうSHOWROOMという名前すら捨てていいかもしれないと思っているんですよね。ただ、アジア圏においてはむしろ日本で人気のあるプラットフォームであることがむしろプラスに働くと思っているので、そういった地域にまず攻め込んで、アジアで成功事例を作ることを今先にやっています。
何が言いたいかっていうと、とにかくルールを作る側に回りたいんです。エンタメの世界において、日本がルールを作る側に回ったら本当に面白い。それこそHADOとかそうじゃないですか。ある種、プラットフォームを作っていることだと思うんですよ。HADOというプラットフォームの中で、新しいキャラクターがどんどん生まれてきたりとかすると、まさにそのプラットフォーム、ルールを作る側に日本が回っているってことだと思うので、すごく面白いなと思っています。
福田:そうですね。僕も色々な国のビジネスとか見ている中で、日本の競争力がどんどん下がってきているなと危機感を持っています。技術力も別に突出しているわけではないし、製造力も中国に比べれば劣るし、何が強みなんだろう?と結構前から考えてはいるんです。ひとつ考えているのはポップカルチャーをいかに伝えていくか、かなと。
それはドラゴンボールやワンピースのようなIPもそうなんですが、日本ならではの文化、コンテンツは非常に独特で面白いと思うんですね。僕らのHADOでいうと、かめはめ波っていうところから発生しているんですが、欧米の人たちってみんなゾンビを銃で撃ちたがるんですよ。
鈴木:確かに(笑)。
福田:すぐ銃を撃ちたがるんですが、「気功」という概念は思いつかないんですね。体の中から出てくる生命エネルギーをぶつけるというのがHADOですが、ただ知ってはいる。で、最初に思いつくのは銃だけれども、「HADOだよ」って言って見せてあげると非常に共感してくれるんです。
鈴木:へぇー!
福田:そこに日本の可能性があるんじゃないかなという風に感じていますね。
三者が抱く野望とエンターテインメントの未来
鈴木:最後に一言ずつ、みなさんの野望を聞かせて頂ければと思います。
大田:僕がやっている仕事はアーティスト主体で、コンサートをやっているんですが、コンサートをやるにあたり、やることの意味合いを高めていくとか、そういったことがまだまだできていないと思っています。コンサート業界はすごく古い業界だと思っていて、例えば、ファッションがもっとイベントに入ってくるとか、アートセンスを持った集団と一緒に組んでやるとか、そういうこと結構できていないんです。
音楽は音楽で、単体でやるようなものなんですが、これだけ力のある音楽というものを主体にするコンサートであるならば、そこにファッションがあったり、他の要素がきちんと組み合わさって、来る人の価値がもっと高まるようなことができないはずはない、と思っていますし、そういった新しいことを我々の世代で作っていきたいなと思っています。
前田:SHOWROOMというプラットフォームをなぜやっているかというと、一生懸命頑張っても報われない理由って本人にあるよりも、大体仕組み側にあると思っているんですね。僕らはその仕組みを作っている中で、逆境に置かれていても、きちんと後天的に努力すれば夢が叶うような場所にしていきたいという思いがすごく強いです。
例えば、今SHOWROOMで一番人気の子の1人に、耳が聞こえない子がいるんですよ。その子はSHOWROOMでCanCamのモデルを目指して配信をしていたりする中で、どんどん人気になっているんですが、彼女は「もしSHOWROOMがない世界だったら、エンタメの世界に行こうと思わなかっただろう」って言うんですね。むしろそういったディスアドバンテージをバネにして、もっと上に這い上がっていこうよ、みたいな温かい雰囲気があるから、その子が認められているわけなんです。
そういった、どんな先天的な環境や境遇に置かれていても、後天的に努力すれば夢が叶う場所っていうのを実現したいです。特にエンタメ業界って先天性がすごく重要とされていて、後天的に頑張ったからといって、必ずしも認められるわけじゃないという考え方に一石を投じたいというのが大きな野望ですね。
また、僕はずっと世界一の企業を作るとずっと言っているんですが、今、時価総額っていうのが一応、企業を比べるひとつの指標になっています。あとで時価総額ランキングを見ていただくとわかるんですが、上からバーッて見ると基本的にはApple、Googleから始まって、アメリカ、アメリカ、アメリカ・・・で中国、中国、またアメリカ、アメリカってなっていて、42位にトヨタって感じなんですよね。でもトヨタって50年前の会社ですから、つまりこの50年間、日本は世界に通用する会社を1個も作れてないんですね。それがすごく悔しいので、僕らの世代で日本の力をちゃんと世界に見せていきたいなと思っています。
鈴木:では、最後に福田さん。あの…かめはめ波を撃ちたいという野望はあると思うんですけども、それ以外でお願いします(笑)。
前田:もう撃てているから…(笑)。
福田:そうですね(笑)。撃てているので、次にチャレンジするのは、これをスポーツとして市場にしていくことですね。僕らはテクノスポーツとこの市場を名付けていますが、新しい技術を使って、新しいスポーツを作っていきたいです。そして、簡単ではないですが文化に根付かせて、子供たちの憧れのものにして、プロリーグを作っていきたいです。プロリーグできると、年間で150試合とか行われていて、何十万人がそれを見ていればかなりの地位を得るわけですね。それを日本だけじゃなくてアメリカやアジア、ヨーロッパで展開していけば、それだけで数千億の市場になるので、そういったものを作っていきたいなと思っています。