Peatixが中国語に対応、個性豊かなコミュニティイベントで多様化するインバウンド需要を開拓
米ニューヨークを拠点に世界27ヶ国でイベント管理・チケット販売のアプリ・ウェブサービス「Peatix」を展開しているPeatix Inc.が、中国語への対応およびチケットデザインのリニューアルを行う。
2017年の訪日外国人数が2,869万人と過去最高を記録し、順調な伸びを見せているが、特に中国、韓国、台湾、香港など東アジアからの観光客が多く、全体の7割以上を占めている。また、観光客のニーズが「モノ消費」から「コト消費」へと拡大している中、小規模のコミュニティイベントを多く取り扱うPeatixだからこそ提供できる体験の価値について、お話を伺った。
急増する中華圏の訪日観光客
ーー Peatixのアプリが中国語に対応しましたが、どのような狙いがあるのでしょうか?
原田:Peatixは「現地の人が現地で使うサービス」として2013年に海外進出を始めて、シンガポール、マレーシア、アメリカと、現在27ヶ国で展開していますが、サービス開始当初から中国語への対応も視野に入れていました。ここ2〜3年で中華圏を筆頭に訪日観光客が激増している一方で、ニーズが多種多様になり、日本のユニークな文化の需要が高まっていると肌身で感じています。
Peatixには料理など様々なジャンルのイベントがあるので、中国語に対応することで、富士山・寿司・ショッピングなどの観光の定番だけじゃない小規模のインディペンデント・イベントに参加しやすくなり、幅広いニーズに合った体験を提供できるのではないかと考えています。
ーー アジアの中でもどの国のからの訪日ユーザーが多いのでしょうか?
藤田:台湾、シンガポールですね。
原田:ですから、まずは台湾からの観光客、そこから香港に少しずつ力を入れてるところなんですが、今回の中国語への対応は本当にスモール・ステップで、今後は中国本国という流れになるので、そこもしかるべきタイミングでやりたいと思っています。
訪日観光客はどんなイベントを求めているのか
ーー 中華圏の人たちは日本のイベントに何を求めていると感じていらっしゃいますか?
原田:今まで「もしもしにっぽんフェスティバル」など音楽・フェスイベントに行きたいという声が届き、それにお応えしてきましたし、エンタメ中心だとは思いますが、音楽以外にも楽しいイベントがたくさんあることを知ってもらえれば、もっと需要が広がるんじゃないかなと思っています。
あと、中国語での売上が大きいのがシンガポールとかマレーシアですね。シンガポールは面白い国で、若い人たちはより多様化を求めていて、Peatixのサービスを開始して以降も、色々な面白いコミュニティができ始めました。シンガポール人はよく日本に来ますし、増える一方ですね。ですから本当に大きなビジネスチャンスなんですよ。
ーー 今年はフジロックのチケットの販売も開始しましたが、海外からの反響はありましたか?
藤田:Peatixが取り扱っているフジロックのチケットは日本国内参加者向けのものですが、公式で販売されている海外からの参加者向けのチケットについても、シンガポールのPeatixで紹介しています。
やはり、海外の方にとって日本でイベントと言うと音楽フェスがわかりやすいので、海外向けにもフェスの取り扱いがすごく増えています。今年で言うとフジロックのチケットを販売できることになりましたが、去年1年間でも50件ほどのフェスを取り扱っています。
原田:Peatixの中での音楽フェスの盛り上がりは、今回の中国語対応のタイミングとも非常にマッチしていると思います。
藤田:大規模なフェスだけでなく、様々な規模のコミュニティ性の高いフェスがどんどん増えており、そういうフェスも海外の人に知ってもらえると、我々としてもすごく意義があるので、今年は音楽フェスの特集ページも作成し先日公開しました。
ーー ローカルなコミュニティに密接に関わっていくというポリシーはサービス開始当初から一貫して持たれていますよね。
原田:そうですね。フジロックもそうですが、フェスって根本的にはコミュニティじゃないですか。地方のフェスもコミュニティなので、フェスを取り扱うことは自然な流れかなと思っています。かといって大型のイベントだけを取り扱うのも間違っている気がして、コミュニティ性が高いイベントに使っていただく、というところはかたくなに守りたい部分ではあります。
チケットデザインをよりシンプルに、入場時のストレスも軽減
ーー 中国語の対応に先駆けて、チケットデザインもリニューアルされましたね。
原田:Peatixをご利用いただいているコミュニティイベントの参加者数の平均は30人から50人なので、これまでは素早く入場させる必要はあまりなかったんですね。ただ、大きなイベントになっていくと、極端な話、30分で何千人も入場させなくてはいけないような問題が出てくるんです。そこで、様々な形のチケットに対応するためにはオペレーションをいかに効率化して、素早く安全に最小のリソースで入場させるか、という問題の解決の意味で、新しいデザインのチケットを公開しました。
ーー 入場時のストレスは確実にお客さんの満足度に影響するところですよね。
藤田:ちょうど6月11日にサービス提供を開始したのですが、具体的にはタップ式になっていて、受付の人がチェックインボタンをタップすることで入場することができるんですね。これならチケット読み取り用の端末の用意も必要ないですし、もぎりをやっている人と同じようにスピードを殺さずに入場処理ができます。去年からは2本指でスワイプすると入場できる方法も導入していたんですが、色々考えた結果、よりシンプルで分かりやすくということを追求して、タップ式を採用しました。
また、しっかりと入場処理をしておくと、自分のイベントに誰が来たのかもわかりますし、Peatixの機能を使って、来場者にお礼の連絡をすることも可能です。Peatixを利用することで、来場者との密なコミュニケーション、ひいてはファンコミュニティを育てることにも繋がっていくと考えています。
テクノロジーが発展しても残るコミュニティの価値
ーー 今後Peatixとしてはどのようなビジョンをお持ちなのでしょうか?
原田:我々はPeatixをチケット会社だと思ってないんですよ。このサービスを通して人々が集まって、繋がって、中にはつきあい始めて結婚したり、価値観が変わったり、その場の繋がりに価値があるわけで、その価値を支えるサービスがPeatixなんです。最初からそういう考えでやってきましたし、チケット機能はその価値を支えるごく一部の機能でしかないという考えですね。「Peatixがあったからこのコミュニティができた」というのが我々の一番の理想ですね。
ーー コミュニティに参加することで得られる感動や楽しさ、人との繋がりを最大化するためのサポートをしていくことが使命だと。
原田:その通りです。テクノロジーがどう発展して何が変わろうと、人と人との繋がりは残るはずなので、多種多様なコミュニティに中国や台湾からも交わっていただくと、もっと面白いことができると思います。日本にとってもコミュニティを海外に広げていくことは大事じゃないですか。
僕らはベンチャーで、最先端を創り出さなければならないという使命がありますが、あまり利便性だけを追求してしまうのもつまらないなと。ですから、テクノロジーを介して、紙チケットでは生まれない、新しいコミュニティの可能性を示していくのが僕らの使命だと思っています。
Peatixについての詳細・問い合わせはこちらから
https://services.peatix.com/music/