山口ゼミ、5年の軌跡が生んだもの。
プロ作曲家育成システムとして確固たるポジションを築いている「山口ゼミ」。新人アーティストと作曲家による「アーティスト・コーライト」や中国人作曲家を日本に招いてのコーライティングキャンプなど、先駆的な試みを続けているようだ。主宰のお二人に話を伺った。
大きな成果となった安室奈美恵✕ワンピースのOp曲「Hope」
—— 前回の対談インタビューから1年3ヶ月ほど経ちましたが、その間はいかがでしたか?
山口哲一(以下 山口):2013年1月からもうすぐ丸6年になりますが、受講生は400人を越えました。山口ゼミの上級コースである山口ゼミextended修了生からプロとしてのポテンシャルがあると認められた人だけが入れるCWF(Co-Writing Farm)メンバーも121人になっています。昨年12月に引退前の安室奈美恵さんが歌うアニメ「ワンピース」のテーマ曲「Hope」がリリースされたのが昨年の最大のニュースでしたね。
伊藤涼(以下 伊藤):山口ゼミ5年目という節目に、ゼミ出身のクリエイターが次々と結果を出しています。いろいろな案件で成果をだしグルーヴしているのを感じますが、たしかに安室奈美恵さんへの楽曲提供がインパクトありました。これは3年ほど前に、安室さんに提案したいと手を上げたトップライナーの安楽謙一が、2年がかりで結果に繋げました。ただコンペを待つだけではない、自分から切り開くんだ!というインディペンデント精神が実を結びました。
山口:僕らが「提案型」と呼んでいるやり方は、作曲家がクリエイティブにおいて、イニシアティブを発揮する方法でもありますね。世界的人気のTVアニメのタイアップと日本を代表するアーティストの引退前の作品という与件は、おそらく日本で一番難易度が高いコンペでしょう。そこで勝てたのは嬉しかったですね。
伊藤:そうですね。山口ゼミの一つのスローガンが“インディペンデントであれ!”ですからね。ゼミの内容としては、5年たった今もクリエイターとして基本的に知っておくべき部分はそのまま残しつつも、今の時代に合わせた内容に変化していっています。
例えば音楽制作環境の変化によるものです。コンペの発注も、5年前は広く多く集めることが多かったですが、今では少なくてもピントの合った楽曲を求められるようになりました。他にも、採用後のプリプロのやり方、納品の仕方、A&Rとのやり取りも少しずつ変化しています。もちろん、アーティストも変わっていきますし、求められる楽曲も変わる。そのためにもA&R・ディレクターと日々接して、リアルな現場をゼミにも反映させています。
レコード会社A&Rの「コンペ疲れ」
山口:そうですね。 A&Rの「大型コンペ疲れ」を感じます。レベルの高いクリエイターに絞って、しっかりと的を得たデモが欲しいというケースが増えましたね。単純に締切だけ見ても、以前は3〜4日後締切というのが当たり前だったのが、2週間後みたいのが増えています。そんな中、山口ゼミのゲスト講師は相変わらず、「僕が一緒に仕事をしたいと思う音楽シーンの第一線でヒットを出している作曲家しかゲスト講師に呼ばない」というワガママは続けています(笑)。
伊藤:“旬”ド真ん中のクリエイターですよね。Carlos K.、Akira Sunset、多保孝一、丸谷マナブ、Soulife、渡辺翔など、刺激的です。もちろん彼らから、今すぐに役に立つテクニックやマインドセットを引き出しつつ、彼らと近い関係になることで本当のチャンスがすぐそこにあることを実感できるようになっています。相変わらず、ゼミのあとは懇親会と称した飲み会で、講師と受講生という関係よりは、音楽を通した仲間になっていきますね。
山口:僕自身もゲストから刺激を受けています。口の悪いCWFメンバーは、「山口ゼミの一番の価値は打上げだ」っていってますね(笑)。僕は山口ゼミが初めてだったので、普通はセミナーに打上げが無いって知らなかった。マネージャー感覚で、「ライブの後は飲むでしょ?」と思って始めたんだけどね(笑)。
日本でのコーライティングの本家である山口ゼミ/CWF
—— 山口さん伊藤さんが日本での草分け的存在である「コーライティング」もだいぶ一般的になってきましたね。
山口:テレビの音楽番組でコーライトって言葉を聞くなんて、山口ゼミを始める前はあり得なかったです。その度に思うのですが、メディアでコーライトのことを取り上げる時は伊藤涼を呼んでください!(笑)。ジャニーズエンターテイメントのA&R時代に「青春アミーゴ」を外国人と日本人のコーライトで大ヒットさせ、山口ゼミを通じて日本人作家のコーライティングを作ってきた、「日本のマックス・マーティン」ですから。「コーライティングの教科書」(リットーミュージック)も出版しているので、コーライトしようと思ったら目を通してもらいたいです。
伊藤:日本のマックス・マーティンはヤバいですね(笑)、山口さんだけが言ってくれているんですけど、そうなれるようにもっと日本のコーライティングの精度をあげて、世界に通用する楽曲を作っていきたいです。コーライティングで曲を作るだけでなく、コーライティングの話を色々なところでさせていただく機会が増えました。最近だとタワー・クリエイティブ・アカデミーでコーライティングのワークショップをやらせていただきました。作曲家だけでなく、インディーズのバンドやアーティスト、シンガーソングライターなどにもコーライティングが広まりつつあるのを実感しました。それに、デビューしているアーティストからコーライティングしたいけど、どうしたら良いか?などの相談も多くなりました。
山口:いい流れですよね。僕らのテーマは日本の音楽シーン、音楽業界の活性化なので、同じ志の人たちとは積極的に連携していきます。ソニーミュジックがやっているソニックアカデミーとの連携も1年以上になります。クリエイターズ・キャンプ真鶴でもワークショップ含めてコラボレーションしました。Sleep FreaksとかSOUND STUDIO NOAHとも一緒にできることを模索しています。
伊藤:クリエイターズ・キャンプ真鶴で出逢ったクリエイターたちに山口ゼミのゲストに来ていただく機会も増えたし、ソニアカの中心人物であり、欅坂46、Little Glee MonsterやJ☆Dee’Zを担当されている灰野一平氏もゲストに来ていただいてA&R・ディレクター視点でのお話もしていただきます。
その他にも山口伊藤の活動をとおして、山口ゼミに来る層もすこしずつ変化したように思います。加茂啓太郎さんと山口さんがやっているアーティストオーディション「ラフダイアモンド」や前述のタワー・クリエイティブ・アカデミーなどを通してアーティスト志向なクリエイターが来るようになりました。CWFの活動やコーライティング・ワークショップ、コーライティングに関する講演などをきっかけに、コーライティングを目的にくるクリエイターも増えました。
あとは劇伴作曲家コースや、ニューミドルマン養成講座など、職業作家を目的にしていないけど山口ゼミに興味を持ってくるような人もいます。より多様性が広がって面白くなっていますし、これからのクリエイター社会の縮図のようになっている気がします。
ディレクターなどのスタッフも生まれている
山口:劇伴作曲家コースも4年目がまもなく終わりますが、徐々に成果出ています。劇伴、CMなどの分野で活躍する作曲家も何人か輩出できました。面白いのは、劇伴だけではないのですが、スタッフも生まれていることですね。僕らが適切に紹介できるということもあるのですが、音楽事務所、レーベルで、ディレクターやマネージャーなどの立場でクリエイティブな領域を担っているケースが増えてきました。何年か経験して、作家をやりたければ戻ってもよいし、今の時代は両立もあり得ます。
あと、大きいなと思うのは、みんな仲間で、コミュニティーなので、作家とスタッフが同じ目線で情報交換できることですね。飲み会で話を聞いていて、音楽業界の底上げに貢献できているなって実感がありますよ。
伊藤:そうですね。受講生がクリエイターにならずに、音楽業界に就職するパターンが結構多いことも、山口ゼミ受講生の特徴かもしれません。A&Rやディレクターの立場から楽曲の相談なども増えてきました。
山口:タワー・クリエイティブ・アカデミーは、僕はタワーレコードのアドバイザーという立場でもあるのですが、コーライティングのワークショップだけでなく、新しい映像制作ツールTouchDesingerの講座もやりました。来月は、スマホだけで音楽を作るという講座もやります。PCかったるいと思っている世代に作曲してみてもらいたいです。天才中学生作曲家とか出てこないかなと妄想しています。DAW女シンガーソングライターとして売出し中の小南千明が優しく教えてくれるはずです。
それから、変わったところでは、コーライターのための超実践型基礎英語講座というのもやりましたね。
伊藤:英語講座としてはかなりニッチではありますが、他にはないユニークな講座にもなりましたね。最終的には有志で、スウェーデンまで行って1週間のライティング・セッションをやってくるって、なかなかのスケール感のある講座になりました。
外国人作曲家との海外でのコーライティング
—— 海外にも視野がおありのお二人ですが、TIMM(経産省主催の国際音楽見本市)で伊藤さんが行った「海外コ一ライト実況中継」は、拝見しましたが凄かったですね。評判になっていました。
伊藤:ありがとうございます。海外でのコーライティング・セッションを90分のライブでやるという、かなりチャレンジングな企画でしたが、ヒロイズム、NATE “IMPACT” JOLLY、Reeny Smithというクリエイターたちに恵まれ、またAvexのアーティストYup’inも加わり素晴らしいセッションになりました。
前日に顔合わせ&ミーティングはしたものの、スムーズでダイナミックなセッションはあのチームじゃないとできなかったです。出来上がった曲も素晴らしく、翌日のTECHS ShowcaseでYup’inがパフォーマンスしました。音源も年明け春ごろにはリリースされる予定なので、楽しみにしておいてください。
山口:いつもながらチャンレジングな企画でしたね(笑)。僕は以前から、「ヒロイズムは作曲家界の野茂英雄になる。彼がLAで成功して、アメリカに挑戦する日本人作曲家が続出する」と予言してるのですが、先日の話では沸点近そうですね。
伊藤:近いと思います。今後、USでもどんどんリリースがあるようなので、グルーヴしてきているはずです。
CWFも着実に成果を出しています。今年の採用楽曲数は50曲を越えましたし、既に来年にリリース予定の曲もかなりあり、これからもどんどん増えていくでしょうね。徐々に採用をいただくことで、業界からの信頼度が上がっていることが大きな要因ですね。
特にCWFからの提出曲のクオリティの高さ、曲の多さ、クリエイターのバラエティの広さなどで評価してもらっています。コンペで採用を勝ち取ったのちに、A&Rに名前を覚えてもらい、指名での楽曲発注が増えました。おかげでアーティストと一緒にコーライトする機会が増えました。
先ほども触れましたが、クリエイターズ・キャンプ真鶴で“アーティスト・コーライティング”と称してアーティストと作家2名で3人1組となり、8組がキャンプ形式でコーライトしたのは画期的でした。アーティストの作りたいものをクリエイターと一緒に作りながらセルフプロデュースしていくわけです。今までみたいに偉いプロデューサー様に作っていただくのではなく、クリエイターと横並びで作り上げるものには喜びがあります。それ以降、アーティストからコーライティングのオファーがあるのは当然ですよね。
ディレクターやアーティストに旬のカッコイイ音楽を教えるのが作曲家の役割
山口:クリエイターイニシアティブの時代は来ているし、それには、作曲家側も意識を高く持たないといけない。アーティストと対等だし、A&Rに「今、一番かっこいい音楽」を教えてあげるくらいの情報量とスキルが無いといけませんね。
伊藤:その通りです。入り口はコンペでも良いのですが、結果が出たらステップを踏まないといけない。A&Rからの信頼を得て、指名で発注をもらったり、クリエイターサイドから提案したり、ディレクションやプロデュースと制作に食い込んでいかないと。
最初に話題にあげた安室さんの「Hope」を作った安楽謙一、TomoLowの二人はこの1〜2年間くらいで良い結果を出してきましたが、それを受けてクリエイターとしてムーブオンする時期も迎えました。TomoLowはマゴダイ(Ryo Itoが代表を務めるMagonodaimade・Production, Inc)で専属エージェント契約することにしました。CWF120分の1ではサポートしきれないところを補うためでもあり、TomoLowが音楽制作に100%専念できるように日本ではあまり聞かないアドバンスという方法を取りました。彼が日本で一流のクリエイターになるのはもちろん、世界でも通用するプロデューサーになることを実現するためです。
こうやってクリエイターは常に前傾姿勢でスター選手への階段を上らないといけないし、エージェント視点ではこういったスター選手を育てることで、より多くのクリエイターが夢をみられる環境を増やしたいとも思っています。
山口:LAで作曲家と話してわかったのですが、彼らの成功イメージは、まずそれなりのヒットを出して、音楽出版社と契約してアドバンス(前払い印税)を取るのが最初の目標ですよね。向こうだと1億円とかが珍しくないので話が大きいのですが、そこでヒットを連発して、アドバンス分をリクープして、独立して自分の音楽出版社を持つという成功パターンをみんな意識していますね。日本人作家とはスケール感もビジネスマインドも違うなと思いました。TomoLowは英語もできるので海外でも活躍してほしいし、意識を高く持って欲しいですね。
もう1人の安楽謙一はクリエイターを継続しながら、レコードレーベルでA&R・ディレクターになりました。もっと広い視野で音楽制作をするでしょう。安楽は山口ゼミ1期生で、ディレクタータイプ。いわば伊藤涼の愛弟子ですから、次の目標は「青春アミーゴ」を超えるヒットをA&Rとして出すことだよってハッパを掛けています。
パラレルキャリアの時代に兼業作曲家でヒットを出す
伊藤:一方で、兼業作曲家が多いのもCWFの特徴ですね。
山口:「パラレルキャリア」というのは時代に合っているなと思います。一部上場企業の総合職で働きながら年間100曲以上のデモを作って、結果を出しているアラサー女子が2人いて、その意欲と効率の良い制作方法は僕から見ても尊敬できます。
伊藤:長沢知亜紀と永野小織ですよね。彼女たちはあるアーティストの制作チームから信頼を得て、採用が続いていていますね。ちゃんとA&Rにも自分たちが「パラレルキャリア」であることを伝え、時間に折り合いをつけながら2人でフォローしあって作業しています。これからどんどん活躍していくと思いますよ。
他にもたくさん兼業作家がいますが、後ろめたいような気持になる必要はないと思っています。今の時代に作曲家で食っていくのは大変なこと。自分の生活を確保しつつ、健全な心や環境をもって音楽と向かい合うのも大切です。
—— 前回の対談で「あと数年で日本の音楽制作環境は大きく変わる」とおっしゃっていたのはそんな意味なんですね、少しわかってきました。中国人作曲家とのキャンプもやられたと伺いましたが?
山口:中国、台湾で現役で活躍している作曲家が3名ずつ参加して、CWFの真鶴キャンプをやりました。スウェーデンで作家活動をして帰国したYoko Hiramatsuや多田慎也や島野聡など実績のある作曲家も参加してくれて、非常に刺激的な3日間でしたね。
伊藤:言葉の壁やポップ音楽に対する考え方の違いなども分かり、良い機会になりました。それでも良い曲を作り世に送り出していきたい、という想いに違いはないので、アジアマーケットも視野に入れて、何かできたらいいなと考えています。
山口:音楽プロデューサーとしてのビジネス視点で、海賊版天国だった中国が3年前に共産党政府の大号令で方向転換して、合法で有料な音楽市場ができていることに本当に驚いています。あと3年で日本の音楽市場は抜くと言われています。
世界の中で日本人が持っている優位性がクリエイティビティの高さと多様性です。それを活かしてアジア市場で成功することが次世代の日本人作曲家の目標になると思います。欧米で成功する以上の経済規模にもなるでしょう。中国人を始めとしたアジアの人たちに、Jポップ流の制作方法を伝える、いわば「山口ゼミ中国校」をやりたいと思って、準備しています。中国作曲家と日本人作曲家がコーライティングして新しいアジアのポップスを作っていくそんな時代を切り開いていきたいです。
未来の作曲家像もしっかり提示していきたい
伊藤:Kポップがいま世界中でキテいますが、日本はすっかり取り残された感じですよね。このままだとアジアマーケットが開けた時に、相変わらず日本は他のアジア国に競り負けるでしょう。自国のマーケットがあることは素晴らしいですが、世界の声にも耳を傾けることが出来なければチャンスはない。そのためにも、どんどん世界と繋がっていく必要があります。
山口ゼミでは日本の音楽業界の慣習やルール、生き抜き方を話します。同時にインディペンデントであること、志を大きく持つこと、コーライティングを通して人・世界と繋がることの重要さも話します。もちろん良いメロディ、アレンジ、トラック、歌詞は重要ですが、いまクリエイターとしてマインドセットなしでは成功はないと思っています。
山口:今あることに対応するだけではなく、次の時代に備えることもやっていかないとね。そういう意味で、クレオフーガと共同開発してきた、音楽制作に特化したコミュニケーションプラットフォーム「Co Writing Studio」が正式リリースされたのも嬉しいですね。
伊藤:コーライティングで人・世界と繋がるツールですね。いままで複数のSNSを使って行ってきたオンラインでのコーライティングをやり易くしてくれます。そのほかにも山口ゼミはもちろん、CWF、ワークショップやセミナー、会社のこともCWSを使っています。もうこの1年はCWSを使い倒していて、かなりのことをCWS内でやるようになっちゃったので、CWS無しでは生きていけなくなっています(笑)。
山口:山口ゼミは現在の音楽業界をリアルに見据えて、音楽業界に「入り込む」方法を用意できました。同時にCWFでは、未来の音楽家のあり方を提示しています。是非、才能ある若者たちに山口ゼミの門戸を叩いてほしいです。ディレクター伊藤涼に「弟子入り」して、コーライティングのスキルを身に付け、CWFメンバーとしてマネージャー山口哲一の業界人脈とマネージメントノウハウを活用できる。その価値はこれまでの実績が証明してくれているよね?
伊藤:弟子入りとはちょっとイメージ違うけど(笑)、クリエイター志望は常にウェルカムだし、好奇心と向上心を持った色んな才能や個性との出会いはいつだって楽しい。山口ゼミでは講師という立場かもしれないけど、いつだって依怙贔屓して、一緒にコーライティングしたいと思う人には声かけるスタンス。弟子入りとはちょっとイメージが違うっていうのは、コーライティングって横並びなので、山口ゼミっていう入り口で、一緒に音楽を作るパートナーなんです。興味ある人は是非、会いに来てください!
山口 哲一(やまぐちのりかず)
(株)バグ・コーポレーション代表取締役
エンターテック・エバンジェリスト 音楽プロデューサー
「デジタルコンテンツ白書」(経済産業省監修)編集委員
経済産業省「コンテンツ産業長期ビジョン検討委員会」委員
国際基督教大(ICU)高校卒。早稲田大学 在学中から音楽のプロデュースに関わり、中退。1989年、株式会社バグ・コーポレーションを設立。音楽プロデューサーとして「SION」「村上”ポンタ”秀一」のマネージメントや、「東京エスムジカ」「ピストルバルブ」「Sweet Vacation」など の個性的なアーティストをプロデュースする一方、音楽ビジネスとITに関する実践的な研究を行っている。プロデュースのテーマに、ソーシャルメディア活用、グローバルな視点、異業種コラボレーションを掲げている。2010年頃から著作活動を始め、国内外の音楽ビジネス状況の知見を活かし、音楽(コンテンツ)とITに関する提言を続けている。超実践型作曲家育成セミナー「山口ゼミ」で音楽家の育成を、「ニューミドルマン養成講座」では、デジタル時代に対応した音楽ビジネスを担う人材の育成を行っている。
伊藤 涼(いとうりょう)、Ryo Ito
音楽プロデューサー、ソングライター
千葉県生まれ。2001年にアメリカ、マサチューセッツ州ボストンのBerklee College of Music卒業後、Johnny’s Entertainmentに入社。2004年にデビューしたNEWSのプロデューサーになる。2005年には修二と彰の『青春アミーゴ』をミリオンセラーに導き、その後も山下智久のソロシングル『抱いてセニョリータ』のヒットやTEGOMASSをジャニーズ初の海外デビューを仕掛けた。
2009年6月にJohnny’s Entertainmentを退社し、同年7月に株式会社マゴノダイマデ・プロダクションを設立。音楽に関する企画運営をしながら、フリーのプロデューサー・作家としても活動する。
ソングライターとして、乃木坂46「走れ!Bicycle」AKB48「ここにいたこと」安室奈美恵「Hope」などの作品がある。
海外作家と日本人作家のコーライティングを広めた経験を敷衍し、日本におけるコーライティングムーブメントの仕掛け人となった。コーライトを武器にビルボードチャートを席巻したスウェーデン作曲家を彷彿させる活動ぶりから、日本のマックス・マーティンとも称される。リリックラボを主催。
著書に『作詞力』『とびきり愛される女性になる。 恋愛ソングから学ぶ魔法のフレーズ』がある。