豊富な現場経験から最適なイベントを提案〜「音楽業界のよろずや」ブートロック インタビュー後半【リアル+配信+ネット販売=1.5倍の収益モデルを提案】
2011年、音楽関係者が集まり東京・青山で設立されたブートロック。CDのパッケージ製造から始まったブートロックだが、現在ではインターネットサイン会を始め、DL・ストリーミング配信、アーティストとのバスツアー企画など、「音楽業界のよろずや」としてアーティストとファンを繋げる事業を展開。そこには豊富な現場経験からのノウハウが詰まっており、まさに縁の下の力持ちとして数々の企業のサポートしている。
今回Musicmanでは、コロナ渦で注目を集めるインターネットサイン会「リミスタ」、DL・ストリーミング配信「dlc.tokyo」について、サービスの概要とこれからの展望についてお話を伺った。
プロフィール
佐々木 尚幹(ササキ ヒサヨシ)取締役 コトゴト事業部 事業部長
ファッション、印刷、広告、音楽と幅広い業界を経て 2011年ブートロックの設立メンバー。ブートロックでは、新規事業開発としてアイドル運営、イベント販売、dlc.tokyo、リミスタなどを手掛ける。
鳥塚 裕(トリツカ ユウ)コトゴト事業部 ディレクター
立教大学卒業後、印刷会社に入社。営業としてエンタメ業界のモノづくりに携わる。その後、音楽業界に転身し、ライブ制作・マネジメント業務を経て、2018年に株式会社ブートロックに入社。これまでの業務経験を活かし、インターネットサイン会を始め、音楽ビジネスの様々な企画提案を行う。
服部 泰史(ハットリ ヤスフミ)コトモノ事業部 ディレクター
立教大学中退後、マネジメント、ライブ制作会社に入社。
▼前半はこちらから!
豊富な現場経験から最適なイベントを提案〜「音楽業界のよろずや」ブートロック インタビュー前半【インターネットサイン会「リミスタ」】
「dlc.tokyo」の活用でより効率的に利益を上げる
──配信サービスの「dlc.tokyo」というのはどのようなものなのでしょうか?
服部:「dlc.tokyo(以下DLC)」は、複合的な収益モデルを提案する、配信ライブのオンラインチケット販売システムです。このシステムの原点は、実は7年前からサービス提供させて頂いている、ダウンロードカードにあります。
これは、カードに認証コードをそれぞれに印字をして、お客様はそのURLに飛んでいただいて、認証コードを入力してもらえれば、そこからコンテンツがダウンロードできるというサービスです。画像、音声、動画などデジタルデータがダウンロード可能というサービスになっています。
佐々木:ここまでは、いわゆるミュージックカードと呼ばれるものと一緒です。
服部:コロナが出てきた3月、私たちはDLCの拡張機能として、在宅で楽しんでもらえる配信ライブのチケット販売システムの開発にすぐに着手しました。アーティストの皆さんにとっては、リアルイベントから配信ライブへのシフトは少し躊躇あったようですが、最近では有料のライブ配信が徐々に定着してきた気がします。
DLCではさらに配信中にお客様同士のチャットも楽しめたり、投げ銭ができたりチケットの金額以外でも応援ができるようになっています。
──いくつか事例を挙げて、どのような使い方があるか教えていただけますでしょうか。
服部:ビクターのIVVYさん(男性ダンスボーカルユニット)と実施したサービスモデルをご紹介します。この時は、オンラインショップ上でブルーレイディスクを買ってくれたお客様に、先ほどのダウンロードコードを発行し、購入していただいた方だけが視聴できる番組を生配信しました。
これは従来のダウンロードカードシステムと、生配信機能を組み合わせたDLCならではのモデルになります。この時はIVVYのメンバーも一緒にチャット欄を見ながら、お客様とリアルタイムでコミュニケーションがとれる番組構成にしました。
──それはすごく面白いですね。
佐々木:今まではYouTubeで無料配信をするか、なにか有料で配信をするかの2択だったんですが、今回は商品を買った人だけが観られるコンテンツを供給するという、オンライン上でのプロモーションとして進化したのではないかと思っています。この商品はコト性をもつモノと僕らは考えています。
──IVVYさんたちの感想はいかがでしたか?
服部:人をリアルに集めることになると、どうしても人数が限られてしまいますが、オンライン空間にはその上限がないわけです。ですから、本当に欲しいと言ってくれている人たち全てに届けることもできて、そういった人たち全てとコミュニケーションがとれる環境が作れているので、ファンの満足度も高いんじゃないかというご感想をいただいています。
この成功があり、ビクターさんからもまた別のアーティストさんでご相談をいただいています。
──満足度は高かったとなると、今後も利用する人が増えそうですね。
佐々木:そうですね。もうひとつ弊社のlyrical schoolのリアルライブでのサービスモデルもお話しさせて下さい。リアルイベントと同時に有料配信をしましたが、会場に来ていただいた方々には一般の人より安く配信が視聴できるDLCカード用意しました。ライブ動画以外にデジタル写真などのちょっとした特典コンテンツも入れました。これにインターネットサイン会をのせていくモデルも簡単にできます。
服部:本当に商品を買った人にだけ楽しんでほしいというレコード会社さんもいらっしゃるので、買ってくれたお客様だけが観られるような環境をDLCで作り、リミスタの限定放送も行っているパターンもあります。
佐々木:コロナ禍になりDLCを使っていただければ特定人数でのリアルライブにとどまらず、配信チケット収入と投げ銭収入が同時に期待できます。さらにリミスタをくっつけて、グッズの事前申請やVIPチケット販売、リアル特典会とオンライン特典会を同時にやるなど、サービスモデルの幅がどんどん広がっています。
しかも、ネットは全国のファンの方に提供できます。いずれも、弊社が企画して汗もどんどんかきますから、皆さんのカロリーはかなり低くなると思います。
──リアルの特典会で来ている人もいれば、全国からオンライン特典会に参加する人もいるわけですね。
佐々木:それだけではなく、リアルにはもちろん参加され、しかもオンラインも参加される人すら、かなりいらっしゃいます。ライブコンテンツでも、CDやグッズでも同じです。この辺はデータや経験で分かります。
──リアルとネットの両方に参加ですか。すごいですね。
佐々木:ネットはリアルの代替ではなく、ネットにはネットの新たな力が生まれつつあります。ネットで名前を呼ばれたりとかすることは公開録画、公開配信みたいな意味を持ちはじめます。
リアルとネットという販売チャネルが単にふたつあるのではなく、チャネルのもつ空間性を考える必要があります。リアルよりCG、CGよりアニメみたいな感覚の拡張を受け入れる必要を感じています。
──なるほど。寄付金じゃないですが、寄付した人の名前が載るみたいな、そういう時空の感覚に近い、ネットならではのお話ですね。確かに新しい空間での参加の姿ですね。
佐々木:運営効率もものすごく大事です。たとえば普通は、リアル特典会をやったあとに配信特典会をやる企画になりがちですが、これではお客さんをものすごく待たせてしまいます。コロナだから、我慢してもらうのがいいのでしょうか。僕らが考え至ったモデルは、同時にやる、です。
アフターコロナになったときに、それを面倒くさいと思うのか、収益を最大化するためにこういうことをやろうと思うかどうかは、運営さん、事務所さんのご意向次第ですが、実はデジタルは工夫次第なのです。
ファンの皆さへのサービスを高めて、同時に高い収益性をめざすことが可能です。僕たちの経験と計算では、売上は1.5倍ぐらいになりますから、コロナ終息後のビジネスモデルは確実に変わるでしょう。
──通常に戻ったらさらに、ということですね。
佐々木:ええ。通常に戻ったら、今までのものに戻すのではなく、より効率的に利益を上げる方法を今、ご提案しているわけです。今後コロナが終息していき人数がフルになったときにも、いろいろなパターンを考えてご提案できるようにしていますし、そういうシステムを現在も開発しています。
この環境で、ファンの方々もどんどんデジタルに慣れてきていますし、アーティストの方もどんどん慣れる必要があります。このプロセスでの苦労が、コロナ終息後の世界での飛躍を意味するのかもしれません。
──でも、ネットに対応するということはマネージメントの担当者さんがやることが増えますね。
佐々木:そうです、だから僕らがいます。リアルとネット、両方をやらなくちゃいけないとなったときに、それを我々に丸投げして下さい。全体の効率を最大限にするビジネスモデルをご提案できます。そして、モノを作ることも、売ることも、イベントもすべて経験していますから、どんなご要求にも応えられると自負しています。
鳥塚:旅行会社と組んでバスツアーまでやってますからね。アーティストと一緒に行く沖縄ツアーとか、そういうことをもう20~30回はやっていると思いますね。ですから、ブートロックは「音楽業界のよろずや」になりつつあります(笑)。
──複雑なモデルを組んだら、準備期間が必要じゃないですか?
佐々木:言っていただければ「すぐに」という感じですね。特にコロナ渦では予定外なことが簡単に起きますから、スピードがものすごく大事です。あとはビックリするような費用がかからないというのも、うちのサービスのポイントだと思います。
DLCライブもチケット販売とあまり変わらないぐらいですし、ダウンロードコードも紙さえ刷らなければ6万円からできますので、容易にご利用いただけると思います。
──下手すればフライヤーを撒くよりも安いですよね。
佐々木:そういう感覚でできないと使っていただけないんじゃないかなと思っています。結局、自分も使う側の人間だったりするので、それが50万って言われたら「いやいやいや」という(笑)。
「1プロモーションでそんなに使ったら、ほかになにもできない」みたいな感じになっちゃいますからね。僕らはこの業界で生きてきましたので、あらゆる感覚をもっているつもりです。
鳥塚:今まで「配信はお金もかかるし手間もかかる」というイメージが先行して、積極的にやっているアーティストさんはなかなかいなかったと思います。でも今回やらざるを得なくなってみると、意外と手応えを感じていることもたくさんあると思うんです。
ですから、今後は事務所さんやレコード会社さんが、リアルとネットのそれぞれの特性をうまく融合させて、新しいプロモーションなりマネタイズなりをしっかり実施していく、そんな世界になっていくと実感しています。
──そこをフォローする存在としてブートロックがあると。
佐々木:ええ。事務所さんやレコード会社さんから「他のところに相談をしたけど、ちょっと難しいと断られて・・・」とよくご相談いただいたくんですが、ブートロックはそこをなんとか実現する存在でありたいと思っています。さまざまな経験をもとに、みなさんのご希望にそったご提案をさせていただきますので、ぜひ気軽にご相談いただきたいです。