PCI MUSICのノウハウを結集したアーティスト総合支援サービス「bazoo」スタート記念インタビュー
ポニーキャニオンのグループ会社で、インディーズディストリビューション及びアーティストマネジメントを担うPCI MUSICが、デジタル配信サービスを中心に、アーティストや楽曲のプロモーション、アーティストマネジメント支援、著作権管理、SNS運用サポート、CDパッケージのリリースなど、あらゆるアーティスト活動を総合的に支援するサービス「bazoo(バズー)」を10月18日より始動した。
bazooは、ウェブ上のフォーム申請だけでは終わらず、アーティストが希望した場合にはPCI MUSICのセールス担当者、プロモーター、アーティストマネージャーなどプロフェッショナルなスタッフがヒアリングをし、サービス自体のフォローや活動状況にあった最適なオプションサービスを提案し、アーティスト活動全体のきめ細やかなフォローしていくという。
今回はアーティストのヒアリングも担当するPCI MUSIC マーケティング部 児玉俊輔氏とポニーキャニオン 経営本部 経営企画部 生田理紗氏にbazoo始動の経緯からサービスの特徴とその今後まで話を伺った。
PCI MUSICが培ってきた知識や経験を反映したbazoo
ーーなぜPCI MUSICは今回bazooを立ち上げたのか、その経緯についてお伺いしたいのですが。
生田:もともとPCI MUSICはディストリビューターとしてインディーズシーンのバンドやアーティストたちの成長をサポートしてきた会社なのですが、これまで培ってきたそのノウハウを今この時代に必要としているアーティストはたくさんいるのではないか? また、PCI MUSICだからこそより間口を広げた配信に関するサービスをやるべきなのではないかなと? という想いから、1年前から準備を始め、10月18日にbazooをスタートしました。
ーーbazooは、PCI MUSICが培ってきた知識や経験が反映されたサービスであると。
児玉:はい。 PCI MUSICはインディーズのディストリビューターとして、これまで多くのタイトルに携わらせていただきました。その中で法人だけでなく、アーティストと直接のやりとりも数多くしてきましたので、アーティストに寄り添ったアプローチ、対応に関しては自信を持っています。また、PCI MUSICはマネージメントや権利関係などあらゆることが弊社内で完結できますので、様々な角度からアーティストを支援できるかと思います。
生田:もともとライブハウスなどに足を運んでアーティストを発掘したりですとか、そういった草の根活動もやってきた会社ですので、bazooに関してその経験は活かすことができると思いますし、PCI MUSICが直面してきた問題や課題を解決するために今回のbazooがあるとも言えます。
ーー例えば、どんな課題があったんでしょうか?
児玉:アーティストと直接となると、距離も近く小回りは利くんですが、やはり予算組みの問題で、あまり大きなことができないというジレンマがありました。もちろん、まずはディストリビューターとしての仕事を全うしなくてはいけないんですが、アーティストたちにそれ以上のことが何かできないか? と常日頃から思っていました。
ーーやはり今までのPCI MUSICはどちらかというとディストリビューターとしての取り組みが大きかった?
児玉:そうですね。アーティストが自分たちの作品をレコードショップに並べるために、私たちPCI MUSICがいるわけですが、その中でいかに世の中にその作品を広めていくか、その広げ方であったり、各レコードショップとの折衝なども含めて、アーティストの要望をできる限り汲み取って、一枚でも多く並べるような営業努力はずっとしてきました。
無料の初回ヒアリングでアーティストの悩みを聞く
ーーbazooで楽曲登録するのに事前審査などはあるのでしょうか?
児玉:一応審査という名目なんですが、あくまでも歌詞やジャケット写真に不適切な内容がないかなど社会通念上、倫理上のチェックと、あと音が途切れていないかなど基本的な音質チェックをするだけで、決して音楽の善し悪しを審査するわけではありません。
ーーでは、基本的なチェックを通れば、誰でも楽曲登録から配信が可能ということですね。
児玉:そうです。プロ、アマ、年齢やキャリアなどは一切問いません。
ーーbazooが他のサービスとは違うところや強みは何ですか?
児玉:bazoo一番の特徴は初回ヒアリングにあると思います。bazooに登録する、あるいはbazooというサービスに触れる前に、お客様に対して初回ヒアリングというサービスを用意しており、この初回ヒアリングは登録フォームから申し込んでいただくだけで、担当のスタッフがお悩みを聞くサービスになります。ここは他のサービスにはないアプローチだと思います。
生田:当然、楽曲を配信する方法がわからないという方は多いと思うんですが、それ以前に申し込みフォームへの記入の仕方すら分からないという方も結構多いのではないかとも思っているので。ですから、その申し込みの前段階で1回お話させていただいてサービスの説明とともに、アーティストのニーズを聞き出し、オプションプランを提案したりもできるのがbazooの特徴です。
児玉:一言で言うならばbazooはアーティストに寄り添ったサービスということになると思います。いかに1人でも多くのアーティストが活動しやすい状況を作れるか。そのためにアーティストの個性に合わせて様々な提案をするのがbazooの役割だと考えています。
ーーその初回ヒアリングは無料で受けることができるんですか?
生田:初回は無料です。ですから最初は無料で困りごとを解決して、そのあとステップアップするときに、こちらから最適なプランをご提案するという流れになっています。このオプションサービス自体はプロモーションなど費用がかかってしまうものなので有料のものや、審査があるものもあるんですが、費用が発生するオプションサービスに関しては、サービスを申し込んでいただく前に必ずヒアリングさせていただいて、双方合意したときに費用が発生する形になっています。またオプションごとに専門の担当がいますので、私たちがヒアリングをしたあとに、各担当に繋ぐ体制となっています。
ーー例えば、ヒアリングなどを通じて有望なアーティストに出会えたとしたら、PCI MUSICとしても積極的にアプローチする可能性もあるわけですか?
生田:それもありますね。いいアーティストがきたらこちらのほうからフィジカルリリースなどの契約を提案することもあるかと思います。ある意味PCI MUSICとしてもアーティスト発掘のツールの一つとしてbazooの初回ヒアリングを活用していきたいという想いもあります。
ーーこのヒアリングには現在何人体制であたっているんですか?
児玉:まだスタートしたばかりですので、私や生田も含め現場スタッフ3人から4人で対応しています。今後、運用していく中で体制は変えていく予定ですが、現状は少人数で担当しています。
ーー先ほどお2人もヒアリングを担当されているとおっしゃっていましたが、これまでどのようなキャリアを積まれてきたのかお伺いしてもよろしいですか?
児玉:私は前職でアーティストのマネージメント事務所にいまして、そこで実際にマネージメントスタッフとして働いていましたので、アーティストと寄り添うということに対しての楽しさややりがいをずっと持っていました。その事務所ではメジャーアーティストを担当していたのですが、自分自身インディーズというシーンに興味もありましたし、そこで一旗揚げたいなという野心もあり(笑)、約3年前にPCI MUSICに転職しました。
ーー児玉さんはアーティストマネージメントの泥臭い部分みたいなものを見ていらしたわけですね。
児玉:はい。苦労とともにアーティストとひとつのものを作り上げる達成感も味わいましたので、今回のbazooもすごく面白そうだなと感じています。bazooはアーティストマネージメントと理念は一緒ですし、その経験が生かせるのではないかと思っています。
生田:私は広告代理店で宣伝やプロモーションを様々な企業さんに提案していたんですが、もともとすごく音楽が好きだったので、今までのプロモーションの経験を音楽業界で活かしたいと3年前にポニーキャニオンへ転職し、今はグループ会社の戦略やプロモーションのお手伝いしています。bazooではアーティストさんの作品をどうプロモーションしていくかという視点でアドバイスできればと思っています。
個々のニーズに合ったサービスを提供
ーー10月18日にサービスを始められて、現状どのような感じでしょうか?
生田:すでに初回ヒアリングをお申込みされている方もいらっしゃいますが、まだサービスの告知の段階ですので、もっと周知させていきたいですね。
ーー先日発表されたthe band apartとの企画(bazoo × KARASTA「the band apart」楽曲争奪オーディション)もPRの一環かと思いますが、非常に面白い企画ですよね。
生田:ありがとうございます。今回の企画はthe band apartさんにオリジナル楽曲を書き下ろしていただいて、その楽曲を自分の曲として歌うことができ、かつbazooから配信することができるというオーディションなのですが、もともと自分に曲がある人はそのままbazooへ登録すればいいですが、まだ曲を持っていないけれどアーティストを目指したいとか、歌がうまいという方たちもたくさんいらっしゃるのではないか? と思っていまして、そういった人たちにもチャンスを提供できるようなサービスにしていきたいという想いから企画しました。もともとPCI MUSICでthe band apartさんのお手伝いさせていただいていた経緯がありましたので、企画をご提案したところthe band apartさんも乗ってくださいました。
ーー今は「歌ってみた」から才能が出てくる時代ですものね。
児玉:Adoさんをはじめ多くの成功例もありますし、今はそういう人たちが活躍する場がたくさんありますからね。
ーー本当に色々なニーズがありますよね。また、配信に対する理解も様々でしょうし。
生田:そうですね。申し込みフォームの中でも「サービス自体をどう使っていいのかがわからない」という項目にチェックをする方がいる一方、すでに配信申請までしていただいている方もいらっしゃるので、個々によって本当にニーズって違うんだなと思いますね。
ーーその個々のニーズに応えられるサービスがbazooであるとも言えますね。
生田:ヒアリングは希望される方のみで、ヒアリングなしでいきなりサービス自体を使って自分の楽曲をPCI MUSICを通して配信し始めることも可能です。そのお客様に合ったサービスを提供できるかと思います。
ーー例えば、デモCDを配布する代わりに配信でやりたいと考える方もいるかもしれませんし、そういった相談も含めて、それぞれの用途でbazooを活用できたら便利ですよね。
児玉:アーティスト側も名刺代わりとなっていたデモCDが配信に置き換わるのは時代の流れだと思います。アーティストが自分の楽曲を聞いて欲しい時に「携帯ひとつで聴けるという点からも本当にいいツールだなと思います。私自身もアーティストを知るきっかけとして配信はすごく助かりますし、発信する側、受け取る側双方にとって配信は大きな存在だと思います。
ーーしかもbazooに楽曲を登録すると国内外の主要サイトだけでなくアジア・アフリカなどの地域も含む40サイト以上へ配信が可能なわけですからね。
児玉:「どこで誰が聴いているか」というのが本当に予測できないのも配信の面白さだなと思います。世界の真裏で自分の音楽が聴かれているというのは、想像するだけでもワクワクするなと思いますね。
bazooを通じて1人でも多くのアーティストの背中を押したい
ーーbazooの今後の予定や目標などを教えてください。
生田:先ほどご説明したオプションサービスですが、「もっとこういうオプションがあったほうがいい」というアーティスト側の要望も今後たくさん出てくると思いますので、サービスの拡充も視野に入れてやっていこうとチームで話しています。
児玉:やはり、bazooが提供するサービス・対応を通じて、1人でも多くのアーティストが世に飛び立つために背中を押していきたいです。あと、bazooからヒットを出したいですし、そういったアーティストと巡り合える楽しさもあります。実際に何億回再生のような数字は現実的にあるわけで、そういったところを目指したいです。
ーー最後になりますが、bazooに興味持っているアーティストに対してメッセージをお願いします。
児玉:なぜ、この時代に同様なサービスがある中でbazooを立ち上げたのかというと、PCI MUSICが持っている各サービスに対して我々は自信を持っていますし、このbazooをきっかけに1人でも多くアーティストの飛躍に還元していきたいです。
生田:アーティストが欲している、あるいは「自分に何が必要なのか?」というところに合わせられる柔軟性がPCI MUSICのbazooにはあると思っていますので、気になった方は是非初回ヒアリングを受けて頂きたいですね。
ーー気軽にお気軽にお悩みを。
児玉:あなたのお悩みをお待ちしています、みたいな(笑)。
ーー(笑)。
児玉:これまで、何もコネがない中、ラジオで曲を流すにはどうしたらいいのか? とか、雑誌に記事を載せるにはどうしたらいいのか? といった悩みを、ライブハウスで活動しているインディーズバンドから直接聞く機会が多かったんですが、これからは「bazooではそういう機会も作ることができるよ」と言うことができますし、bazooは配信というところでかなり間口を広げているので、より気軽に登録してもらえると思います。
ーーそういう相談を個人的にされてもやりようがなかったのが、今度はbazooという器があるわけですからね。
児玉:そこは本当に大きいんじゃないかなと思いますし、bazooを通じて我々も多くのアーティストに出会っていきたいですね。