広告・取材掲載

推し活新時代!CDやレコード、配信に代わる新時代の音楽メディア【miim(ミーム)】を徹底解剖《前編》

インタビュー 特集 PR

ふたつの大きな潮流が見える。ひとつがサブスクリプションの急速な台頭、あるいは新型コロナをきっかけにしてネット上でイベントが多数行われているなど、音楽市場にオンラインが大きなカタチとなって現れていること。もうひとつが、「推し活」という言葉が広く浸透し、アニメキャラクターからアイドルに至るまで、それぞれの「推し」を応援する方法が多様化してきたことだ。「これからのデジタル・プレミアムはファンに何かを与える方向のみならず、ファンの『愛情表現をしたい』という欲求を満たすベクトルを兼ね備えなくてはいけない」という指摘もでてきた(榎本幹朗著『音楽が未来を連れてくる』,DUBOOKS刊行、588頁)。

そんな中、ブートロックが推し活の形を変革させる、新たな音楽体験メディア「miim(ミーム)」をリリースした。CDの現物を買わなくても、オンラインでデジタルの音源を購入することでリリースイベントへ参加できたり、特典をゲットすることができる。特典会への参加を目当てにCDを大量に購入して持ち帰ったり、購入のために早くから店舗で並ぶ必要もない。そして、6月1日にはmiimを購入できるTOWER RECORDS miim STOREがオープン。タワーレコードとタッグを組んだことで、今後大々的に普及していくことは間違いないだろう。既にアップアップガールズ(仮)など人気アイドルがいち早く採用し、ファンからも大好評を博している。

デジタルに強いブートロックがLIVEコマースサイト「リミスタ」やDL・ストリーミング配信「dlc.tokyo」をいち早く展開してきたことは以前Musicmanでも取り上げた通りだ。そして今回、ポストコロナを見越すようにサービスインした「miim(ミーム)」は、リアルとオンラインを融合しビジネスの最適化を実現するだけではなく、ファンにとってはデジタル配布された特典券でのリアル応援のみならず複数購入した未開封音源をSNSなどでギフトする新しい推し活のベクトルすら備えている(再生可能回数にリミッターあり)。Musicmanでは、前編、後編にわたり、この新しい音楽体験メディアの誕生の瞬間を記録しておきたい。

(取材・編集:柴田真希 写真:HAL)

Chapter1:miimはCDと同じビジネスモデルで、CDの課題を解決できる
タワーレコード株式会社 ディストリビューション&レーベル事業本部 本部長 倉田二郎氏インタビュー

倉田氏は、自社のレーベル所属アーティストが「リミスタ」を活用していた関係で、これまでもブートロックとの取引があったという。

倉田二郎氏

本当にCDを作るように生産することができるんです

──初めてmiimの話を聞いた時、どんな印象でしたか。

倉田二郎(以下:倉田):1年前に岡野(正和 ブートロック代表取締役)社長からプレゼンを聞いて、直感的に我々がこれまで苦労したところを補完できる優れたビジネスモデルだと感じました。特に強い興味を持ったのは、CD、つまりリアルパッケージだと最終的に在庫が大きく残ってしまう問題がありますが、miimはデジタルパッケージなのでその心配がまったくないことです。これはレーベルにとって大きな魅力です。社長の嶺脇(育夫 タワーレコード代表取締役)もプレゼンを聞いてリアルとネットの融合を図る魅力的なサービスで、大きなチャンスだとして取り組みを進めることに前向きな反応でした。

──在庫は配信シングルでも発生しませんが、miimと配信ではどういった点が異なるのでしょうか。

倉田:配信でのリリースは、お客様が聴いて終わりという一方通行でした。miimは購入者にイベントの参加券をアプリ内で発行したり、リリイベの回ごとに異なるデジタル特典を添付したり、通常のCDと同様あるいはそれ以上の積極的なセールスプロモーションが可能になります。もちろん小売りにとって大事な来店促進にもつながります。こうした高い機能性からmiimはCDと同じ価格政策を採用したビジネスモデルとなっています。ですからレーベルとしてはCDと同様の売上げも作れる点も、配信とはまったく違ったものだと感じました。

──miimの音源に対して、特典が付けられるんですね。

倉田:イベントの入場順を抽選できる入場券や特典会の参加券を配布したりすることができます。抽選機能では期間を決めて行う方法とリアルタイム抽選があり、応募受付も数量、金額、商品組合せなどキャンペーンを盛り上げる多様な方法を検討できます。もちろん、音源自体には、ジャケット画像やブックレットも付けることができるので、本当にCDを作るように生産することができるんですね。商品そのものとなるデジタルパッケージの部分はCDと同じ、さらにキャンペーンが組み立てられる。これは商品と売り方の融合ですね。

 

CDと異なることはあまり考えなくても大丈夫、導入するハードルが低い

──タワーレコードとして、既存のビジネスモデルとの違いも少ないことは、今回導入する上でポイントだったのでしょうか。

倉田:まさにその通りです。通常のCDと同じような形で販売ができて、タワーレコードの店舗や、オンラインでも同じように売上げを作ることができます。ですからハードルが低く、導入することができました。

──miimを購入するときは、どこで購入するのでしょうか。

倉田:ブートロックさんのmiim販売ページか、タワーレコードのmiim専用ECサイトで購入することができます。今後、さらに展開していく予定もあるようです。タワーレコードとしてはこの夏、東京アイドルフェスティバルで毎日、miimを使ったイベントをおこないEC販売を行います。

──最初は、2023年3月アップアップガールズ(2)でCDと併売で導入されていますね。実際に試してみて、いかがでしたか。

倉田:事前に事務所さんやメンバーの皆様にもご協力いただいて、ファンの方へのmiim説明動画を配信したんです。ファンの方はそれを見てアプリをダウンロードしてくれて、当日の運営に関しても、トラブルはなくとてもスムーズでした。大成功と言えると思います。

──併売された時、価格はどうやって決定されたのでしょうか。

倉田:CDとmiimは同じ値段にしました。コスト面に関しても、コスト構造の中身はもちろん異なりますが、最終的な部分は大きくは変わらないです。そのため導入するにあたり、CDと異なることはあまり考えなくても大丈夫で、導入するハードルが低いと思います。

──その後、CDと併売ではなく、miimだけでもリリースしていますね。現物がなくて寂しいという意見はないですか?

倉田:現状はmiimに100%振り切ろうという話ではなく、miimでやるところはmiimでやるし、リアルパッケージによってお客さまが喜んでいただけることがあればリアルパッケージを採用する予定です。

──miimのリリースが増えそうでしょうか。

倉田:そうですね、たくさんCDを買ってイベントに参加して、それを持って帰らなくてはいけなかった方々からは、大変ポジティブな意見を聞いていますし、遠征もしやすくなるみたいです。また、家にCDプレイヤーがない若い世代の方もたくさんいらっしゃるので、その点でもより幅広い方に楽しんでいただけるようになると思います。

Chapter2:オンラインチケットの時代に親和性が高い、デジタル特典券
タワーレコード株式会社 商品本部 本部長 栢森信友氏 インタビュー

ディストリビューション&レーベル事業本部の倉田氏が社内に持ち込んだmiimを、実際にタワーレコード全体として取り組める形に持って行った功労者が栢森氏だという。栢森氏に、miimのこれからの可能性について伺った。

栢森信友氏

イベント前から終了後まで、最小限のスタッフ配置でいい

──miimについて話を聞いたとき、どう思いましたか。

栢森:商品本部は各メーカーや出版社から商品を仕入れて、ユーザーに販売する差益商売です。miimは現物がないということで一瞬戸惑いましたが、ビジネス構造が変わらないことはすぐに分かりましたし、音楽であることに変わりはないので気になりませんでした。また、利益率の面でも問題ないだろうということは経験則で分かりました。

──導入までは、どのような流れだったのでしょうか。

栢森:イベント外販部という各店舗のイベントを決めている部署と連携しました。そこで、店舗でのオペレーションも問題ないことが確認できました。その後は法務や経理、ECサイトのセキュリティのチェックなどを担当するITサービス本部と話を詰めて、最後は店舗のスタッフと会計の流れなどについて調整しました。テストの段階で、売上げも立っていたので、みんな協力的でしたね。

──miimのどんなところが一番魅力的に感じましたか?

栢森:CDだとイベントをやるときに、当然色んなアナログの準備が必要なんですよ。例えば、メーカーさんから商品が届いた後にスタッフが検品して、イベントまでの事前販売をしたりするわけです。イベントが終わった後も在庫をメーカーさんに返品する必要もあります。握手券やハイタッチ券は紙で準備していたりしました。それがmiimだと全てデジタルで完結するんですね。イベント前からイベント終了後まで、最小限のスタッフ配置でいいですし、今までだと握手券とかを失くすお客さんも結構いらっしゃったので、そういったトラブル対応の手間もかかっていたんです。でも、miimだと失くす心配もないですよね。

──コロナ禍以降、電子チケットも増えましたし、その点でのハードルも低くなっていますよね。

栢森:それは大きいと思います。この3年間で、お客さんは非常にデジタルのチケットに慣れました。6月にTOWERRECORDS miim STOREのオープン記念のイベントを行った際も、お客さんは新しいアプリへの抵抗はまったくなく、スムーズに特典会が行われている光景は驚きでした。ご招待させていただいた各レコード会社の担当の方々からも非常にポジティヴな感想をいただきました。これからイベントが増えることを見込んだ予算も組んでいるので、イベントには力を入れていきたいです。

 

アイドルに限らず、K-POPやアーティストジャンルでも可能性がある

──では今後、御社のアーティストだけではなく、他のメーカーさんにもmiimを展開されていくのでしょうか。

栢森:今まさに、各メーカーさんへのお声がけを始めています。メーカーさんが希望するオリコンランキングへの反映についても、オリコンさんとの協議を始めています。店舗を持っていてユーザーの生の声が分かるからこそ、miimも含め、よりユーザーに合った提案をさせていただきたいと思っています。

──今回アイドルでまず始められましたが、他のジャンルのアーティストも可能性はあるのでしょうか。

栢森:アイドルに限らず、K-POPやアーティストジャンルでも可能性があると思います。miimにデジタル特典をつけたり、使い方は色々あるので、ぜひチャレンジしていただきたいです。また、インストアイベントはもちろん、アウトストアイベントも積極的に仕掛けていきたいと思います。店舗だとスペースが限られたり、開店時間の制約もありますが、アウトストアであれば、規模は広げられますよね。CDを持っていかなくても良いので、より可能性があると思います。

──御社は「タワーレコードミュージック」というサブスクのサービスもされていますが、そことの連動も考えていますか。

栢森:それは十分に考えられますよね。そしてCDを作っていないアーティストのイベントもやらせていただきたいと思っていますし、音楽出版社やディストリビューター、アーティスト事務所の方々とのお取引も増えていくかと思います。受け皿はできていますので、どんどんご相談いただけたら嬉しいです。

 

Chapter3:20代前半が開発功労者!ミニコラム ブートロック開発部 若手座談会

CDを持たない世代に親和性が高いmiim。その開発を手掛けたブートロック開発部は、20代前半のメンバーが中心となっているということは納得だ。そんな彼らに、開発の背景について振り返ってもらった。

松田真祈:大学時代から都内ライブハウスのアルバイトに従事。東京農業大学卒業後、株式会社ブートロックに入社。リミスタのアルバイトを経てIT開発部のメンバーとなる。

谷逸平:神戸大学卒業後、マーケティング・リサーチ会社に入社。大学時代に研究していた消費者行動の知識を活かし、主にWebアンケートの作成・配信・集計に携わる。より深いデータ解析を行うべく入社。

北林勇気:大阪大学法学部卒業後、クレジットカード会社に入社。システム開発に携わる。miim開発及び多様なビジネスモデルを支える関連法務を担当。

ブートロック開発部

──ブートロックに入社されたきっかけは?

松田真祈氏

松田:私はもともと「リミスタ」のアルバイトスタッフでした。配信の仕事に慣れてきた頃、新しいシステムのテストに誘われて開発部に出入りするようになりました。社員として入社を誘われたときは、「私が開発すればもっといいものができる」という自信があったかもしれません(笑)

谷:僕は大学で理系の勉強をしてきたので、つねに専門性が求められる世界でしたから、松田さんの自由さは良いですね。ブートロックの自由で行動的な気風がいいなあ、と思ったんですね。

北林:僕は大手クレジットカード会社の開発部に居ましたが、決められたものだけを決められたとおりに作る「開発」に自分としては違和感がありました。その頃、ブートロックの求人を見ました。自分の感性を活かして開発できる、これだ、と思って応募したんです。周りからは「大手の安定を捨てるなんて」とものすごく反対されましたが、二度の面接で感じたことは「僕はこの世界なら泳げる」という直感でした。

──実際にmiimの開発に携わってみて、どうでしたか。

谷逸平氏

谷:音楽業界ではデジタル社会への準備ができていないことを感じましたし、これを何とか実現したいと思いました。仮にサブスクとリアルの単純な連動が技術的に可能になっても、商業的にはまったく意味がありません。サブスクは定額ですから。

松田:谷さんの言うように、デジタルとビジネスのうまい整理が必要ですよね。miimはその点でまだまだ出来ることがたくさんあると思っています。デジタルとリアルの融合、デジタルとデジタルの融合、考えるのが楽しいです。

北林:miimはユーザーから見るとただのスマホアプリですが、実際はものすごい大型システムだということに驚いています。レコード会社の作品製造、miim販売サイト、リリースイベント対応・抽選のキャンペーン対応など多様に作られています。僕自身、音楽業界の商習慣、著作権法、プレイヤーの複合業態性などを理解するのに何年かかるのだろうと思っているのに、もう弁護士との打ち合わせを担当しています、犬かきをしながらですが(笑)。

──今後、miimをどのように発展させていきたいですか。

谷:僕はマーケティング調査会社で市場分析をしていましたが、分析の世界ではユーザーの属性や特定の質問への回答傾向よりも、無意識の購買履歴にこそ真実が埋まっていることは明白なんです。miimは、購買履歴だけにとどまらずさらに行動履歴の蓄積が可能です。「データは役に立たない」と思っている皆さんのお役に立ちたいと思っています。

北林勇気氏

北林:正直、やっとこの世界で泳ぎ始めた状態なのですが、勉強は好きなので、業界の複雑さをきちんと理解しながら、miimの多様性とシステムの安定性を統合したいです。システムが大型になればなるほど、根っこをしっかりとさせる現時点の開発が大事になると思うので、全力を尽くしたいです。

松田:私は開発者以前に音楽ファンなので、ユーザー視点を大事にしたいです。開発の今後のロードマップにはさまざまなアイデアがあります。それらがビジネス論理の色が濃くなり過ぎてユーザーの感性と離れないように、私は音楽ファンの代表としてmiimにいい味付けをしていきたいと思っています。

 

 

 

▼後半はこちらから!
推し活新時代!CDやレコード、配信に代わる新時代の音楽メディア【miim(ミーム)】を徹底解剖《後編》