【特別取材】「音楽業界にとって今ほど面白い時代はない」世界各国でヒップホップを主流に乗せたBelieve社ロマン・ヴィヴィアン氏が語る日本の音楽産業の未来
TuneCoreを傘下に持つBelieve社が、日本上陸を本格化させている。最近ではワーナーミュージックによる株式公開買付の申し出があるも、株式非上場化で独立を選び話題を呼んだ。今回取材したロマン・ヴィヴィアン氏はヴァージン、キャピトルで要職を務めた後、2008年にわずか10人だったBelieveに入社。同社の急成長を助けてグローバルミュージックヘッド兼ヨーロッパ社長となった。今やBelieveは1,900人以上のスタッフを50カ国に持つ世界最大級の音楽会社に成長している。氏が日本の音楽市場に強いポテンシャルを感じる理由とは? 日本のヒップホップに注力するのはなぜなのか?
(インタビュアー:Musicman編集長 榎本幹朗 取材日:2024年3月19日)
ロマン・ヴィヴィアン (Romain Vivien)
Believe社のグローバルミュージックヘッド兼ヨーロッパ社長。1995年にEMI傘下のヴァージン・レコードに入社し、キャピトル・フランスのマネジング・ディレクターを務めた後、2008年にBelieveへ入社。2020年にLes Victoires de la Musique(フランス・グラミー賞)の会長(現理事)。フランス独立レコード製作者連合UPFI副会長、フランス音楽プロデューサー協会SPPF理事。
ヴァージンでエレクトロのグローバル化を手掛けた後、Believeへ
榎本:司会させていただいたイベントでBjorkと仕事をしていた頃のエピソードを伺いましたが、ロマンさんはレーベル出身でいらっしゃいますね?
ロマン:1995年にEMI傘下のヴァージン・レコードへ入社し、フランス人アーティストの海外展開の責任者となりました。当時、エレクトロのメガ・トレンドが始まり、Daft Punk、Cassius、Airなどの登場でフランス音楽の輸出は突如、ビッグビジネスになりました。
ヴァージンで13年働いた後、私はEMIでキャピトル・レコードのマネジングディレクター(※日本の専務取締役に相当)となり、2008年にBelieveへ入社しました。
榎本:レーベルからBelieveに転職した理由は?
ロマン:創業者のデニス・ラデカイリーCEOと会い、2時間話し込み、「デジタルはとんでもなく重要になる。私たちには音楽ビジネスを知る人間が必要だ。アーティストの成長を助ける人材が必要なのだ」という彼のヴィジョンを聞きました。
私にとって、Believeはテクノロジー・プラットフォームとクリエィティヴな人材を融合する理想の場所でした。クリエィティヴな人材がテクノロジーを活用してアーティストを理解し、共に働き、プロジェクトを進めるのに最高の場所だったのです。
私は音楽とアーティストに情熱を注いできた人間です。同時に「テクノロジーが音楽産業の全てを変える」と直感していました。だからBelieveに参加しました。
もうひとつ理由があります。あの頃、音楽産業は違法ダウンロードの席巻でCD売上が激減し、EMIはたいへんな苦境にありました。Believeは当時、わずか10人の小さな会社でしたが「世界はデジタルで覆い尽くされる」というヴィジョンを持つデニスとBelieveを大きくする将来に、とても興奮したのです。
榎本:デニスCEOは創業当初からBelieveをテクノロジーとマーケティングの融合した音楽会社にするつもりだった?
ロマン:彼のヴィジョンはもっとシンプルで、いつもふたつのことを言っていました。人々が音楽を見つけ、消費する方法はますますデジタルになる。これがひとつめ。アーティストはますます独立志向になる。自分たちで権利を管理し、自分たちで制作方針と活動方針を管理したがるようになる。これがふたつめです。
ならばどうすべきか。まず、音楽コンテンツとプラットフォームの架け橋を作ろう。そしてメジャー・レーベルのエコシステムと合わない独立志向のアーティストといっしょに働こう。このふたつを実行していきました。
デジタル時代が到来すれば、アーティストは音楽ファンへリーチするためにプラットフォームが不可欠になります。だからBelieveはまずディストリビューションの会社になりました。
転機。ディストリビューションからアーティスト・サービスへ
ロマン:そこからアーティスト・サービスの会社へ進化していきましたが、その転機もまた、シンプルなものでした。ある日、アーティストが私の元へやってきました。
「ロマン。音楽を配信するだけじゃなくて、プロモーションも手伝ってくれないか?オーディエンスを増やすにはデジタル・マーケティングが必要だけど、何かできないか?」
そう話すアーティストが続けざまに2人来たのです。私はデニスの元へ行き、言いました。
「デニス、変革の時が来た。このままでい続けたら『ディストリビューションだけでは足りない』と思うアーティストが我々から離れてしまう。次に、目の前にあるチャンスを失ってしまう。我々はアーティストの市場開発を助けるサービスに進化できるはずだ」
デニスは同意し、私たちは会社をアーティスト・サービスへ方向転換しました。2010年、フランスでのことです。2024年の今、私たちは日本でもアーティスト・サービス(※PLAYCODE 後述)のほかレーベル&アーティスト・ソリューションなどすべてのサービスの提供を始めましたが、それは全く同じ理由からです。
日本は今、大きなチャンスを持っています。デジタル化が進行中で、独立志向のアーティストが増えています。日本でヒップホップに特化したアーティスト・サービス、PLAYCODEを立ち上げたのは、ヒップホップはデジタルに最も相性のいいジャンルだからです。
ヒップホップを聴く世代はデジタル・ネイティブです。私たちは、ヒップホップのアーティストとファンをもっと繋げていこうとしています。デジタル世代はプラットフォーム上で音楽を楽しんでいるからです。
私たちは既にフランスほか様々な国で、そのようにしてヒップホップ・シーンをメインストリームに乗せてきました。
榎本:楽曲を配信するだけでは不十分で、その後が勝負ということですか?
ロマン:ヒットを出す。アルバムが成功する。音楽ビジネスというものは、それだけでは終わりません。アーティストの開発は5年、10年、15年に渡って続くもので、それこそ一番難しい仕事であり、私たちがやっていることなのです。初期に私たちとやってきたアーティストのほとんどは、今もいっしょに仕事をしています。
それは私たちがいつも、より一層のサービスを提供してきたからです。アーティストにエンゲージすることで、さらなるバリューを提供し、より多くのオーディエンスを獲得してきたからです。
Believeがレーベルに提供するサービス
ロマン:私たちには2種類のクライアントがいます。レーベルがひとつめ。ふたつめがアーティスト・ダイレクトで、このふたつはいわば世界が違います。レーベルは企業家であり、アーティストはクリエイターです。だから異なる方法でサービスを提供できるよう、私たちは組織を編成しています。
レーベル、アーティストの双方へサービスを提供するには正しいセットアップが必要であり、その開発に何年も費やしてきました。
始まりはディストリビューションでした。デジタル世界においてディストリビューションは非常に重要で、CD時代よりずっと複雑です。データの分析、アルゴリズムの理解が必要であり、夥しい数のプラットフォームをあらゆる国で把握する必要があります。
それゆえ、テクノロジーが鍵になります。テクノロジーがあるから、あらゆるアーティストを、あらゆる国で、あらゆるプラットフォームへ送り出せるのです。テクノロジーで音楽市場はますますグローバルになりました。
タワーレコードやHMVなどCDストアはローカルに根ざしたリテイラーです。一方、SpotifyやApple、YouTube、Amazon、TikTokは私たちのグローバル・パートナーです。私たちの会社は「グローカル」です。現地のローカル・アーティストを扱いますが、グローバルな組織でレバレッジをかけ、より大きなマーケットを獲得できるようアーティストの発展を助けています。
榎本:世界へプロモーションをかけるとき、レーベルとやる場合とアーティスト・ダイレクトとではやり方は変えているのですか?
ロマン:まずレーベルにはLAS(レーベル&アーティスト・ソリューション)というサービスを提供しています。ディストリビューションの提供と、すべてのDSP(サブスクなど音楽配信)での楽曲の活性化を提供しています。たとえば私たちは「この新譜は影響力が高いです」と各プラットフォームに伝え、プレイリストや目立つ場所に載るように働きかけます。
さらにレーベルへデータを提供しています。Backstageという私たちのインターフェースは配信した楽曲を管理できるだけでなく、どの楽曲がどれだけ配信されたか、どの国のどのプラットフォームで再生されたか、楽曲の定着率(再生維持率)はどれくらいか、オーディエンスはどの領域で育っているか等を把握できるツールです。
私たちはDSPから集めたデータを余すことなく提供しています。パートナーのレーベルはコンテンツに何が起きているのか、明快に理解してスマートなアクションを取れます。これが我々のディストリビューションです。
Believeがアーティストに提供するサービス
ロマン:一方、アーティスト・サービスでは彼らの楽曲の権利、活動方針の独立性を100%保証してサービスを提供しています。それは対レーベルと同じことかもしれません。
アーティスト・サービスでは、プロモーションやマーケティング、音楽ビデオの制作、オーディエンス拡大のためのキャンペーンを私たちのチームが提供しています。私たちはクリエイターとパブリックを繋ぐ役割を果たします。無数のコンテンツがあふれるデジタルの大海原でアーティストが航海できるようにするのです。
その際、大事になるのがやはりデータです。Spotify、YouTube、TikTokなどのデータを分析し、正しいタイミングで適正な国の適切な視聴層を選んでキャンペーンを張り、オーディエンスの拡大を加速します。
榎本:なるほど、そのノウハウにはヒップホップが最適なんですね?
ロマン:その通りです。ヒップホップは制作が速いです。オーディオとビジュアルの結びつきが強く、そこにファンの関心があります。若い世代ほどYouTubeやTikTokなどのビジュアルを通じて音楽に出会っています。曲が気に入ればSpotifyやApple Musicでオーディオを再生しています。
さらにヒップホップのアーティストはSNSに注力していて、どうすればファンと強く繋がることができるか、SNS上でプレゼンスを出せるか、常に努力しています。
オーディエンスと常に繋がろうとしている、この姿勢がとても重要です。自分たちからファンとのエンゲージを高め、自分たちのしていることを常に語りかけることで、ファンにリリースを意識してもらえます。
ヒップホップでは、アーティストとオーディエンスが同世代で10代から20代と非常に若く、共にデジタル・ネイティブ世代です。ディストリビューション、マーケティング、プロモーションをデジタルでやるにはヒップホップは最適なジャンルなのです。
榎本:これまでのディストリビューターのイメージとはずいぶん違った印象を受けます。
ロマン:そうでしょう。
榎本:以前、ディストリビューターといえばシステム・ソリューションでありテクニカルな存在でした。PLAYCODEを理解すればBelieveを理解できるということですか?
ロマン:よい推論ですが、少し違います。ディストリビューションは楽曲をオンラインで聴けるようにしますが聴けるだけでは不十分で、楽曲が浮上するようにしなければなりません。
一方、PLAYCODEというものはヒップホップ・アーティスト専門のインプリント(※アーティストが楽曲の権利を100%保持する形態)です。我々が見込んだヒップホップ・アーティストと契約するインプリントです。他のジャンルはやりません。ヒップホップには専門ブランドが求められるからです。
PLAYCODEにはヒップホップの文化・エコシステム・行動様式に通暁した専門スタッフがいて、彼らはディストリビューション・チームとは異なります。このやり方で私たちは各国でヒップホップ・シーンを盛り上げてきました。
日本はヒップホップが伸びる
榎本:ロマンさんから見て、日本のヒップホップのマーケットはどう見えますか?
ロマン:まだ小さな新しいマーケットで、フランスやドイツで私たちが10年前に経験した規模ですが、日本のヒップホップの創造性は強いので、同じ規模に成長するのに10年はかからないでしょう。
私にとってヒップホップは新しいポップスです。例えばアメリカではドレイク、エミネム、ケンドリック・ラマーは同じヒップホップの括りですが、私には完全に違う音楽です。フランスでも同様です。PNLとJulは全く違う音楽です。
日本でも同じことが起こるでしょう。初めてヒップホップを聴いたとき、「なるほど。これはカルチャーだ。クールな生き方がテーマだ。歌わないが、とてもロックな生き方だ」と思いました。そしてジャズやロックで起きたことが同じく起こると確信しました。
榎本:それはどういう意味でしょう?
ロマン:ジャズやロックも一括りに出来ないほど多様化し、様々なアーティストが誕生し、様々なジャンルが生まれ、それとともに市場は拡大し続けました。そして当時、ヒップホップからもメインストリームに乗るスターが登場し、ポップスになっていくと思ったのです。
私に言わせると、全ての音楽には第2段階があって、オーディエンスの規模がポップスのレベルになる瞬間を迎えるのです。それはジャンルの問題ではなく、規模の問題です。
70年代のパンクやソウルがその道を辿り、今では縮小しています。替わりに来たのがヒップホップでした。実際、アメリカではドレイクが、ドイツではRAF Camoraが、フランスではJulが、様々な国でヒップホップのスターが、億単位のリスナーを獲得し、何百億回も再生されました。
ヒップホップはかつてのジャズやロックと同じように、ポップスを聴く層にリーチするようになったのです。
私たちが日本のヒップホップに賭けたのは、同じことが起こると踏んだからです。そして私たちには各国でヒップホップを伸ばしてきたノウハウがある。ヒップホップの成長に欠かせないデジタルの専門知識があります。
だから日本で無事、PLAYCODEを立ち上げることが出来て非常に興奮しています。
榎本:フランスでヒップホップを軌道に乗せたと伺いましたが、いまヒップホップはフランスでどれくらいの市場規模を持っているのですか?
ロマン:2023年、フランスのTOP200のうち、80%がローカル・アーティストで、その60〜70%がヒップホップです。その年、一番売れたアルバムはフランス人のヒップホップ・アーティストWerenoiです。一番、カタログが再生されたアーティストはヒップホップのフランス人、Julです。そしてTOP20の50〜60%がヒップホップです。
フランスだけでありません。それはイギリス、ドイツ、インド、ロシアでも起こりました。もちろんアメリカでも、です。日本だけ起きない理由がありません。日本でもヒップホップを志す才能あふれる人たちが、そこかしこにいます。そして世界中のアーティストやプロデューサーが欧米のヒップホップ・シーンを見て刺激を受けています。
ヒップホップは音楽以上の存在です。カルチャーであり、生き方です。ファッション、スポーツ、ゲームなどあらゆるジャンルに影響しています。
世界でオーディエンスを増やす方法
ロマン:他に、私が注目しているのがジャズです。
榎本:ジャズですか!
ロマン:世界の視点から見ると日本のジャズは大きな市場です。歴史的にもジャズはコラボが盛んです。マイルス・デイヴィスやデューク・エリントンなどたくさんのアーティストがソロ録音だけでなく、トリオやカルテットで録音してきました。ソロでキャリアを築くだけでなく、たくさんのコラボで音楽を制作してきました。
これはロックには無い傾向で、むしろヒップホップと似ています。ジャズとヒップホップはコラボ、フィーチャリングで音楽制作とオーディエンス拡大のスピードを上げているのです。2組のアーティストが一緒に曲を作ればオーディエンスは2倍になります。創造性も強化されます。これこそ私たちが求めているものです。
歴史的にアーティストはリスク・テイカーでした。デビット・ボウイ、ダフト・パンク等々、大成功を収めたアーティストはリスクを取っています。
ヒップホップもリスクを取って音楽を再発明しています。ソウル、エレクトロ、ロック、ゴスペルなどあらゆるジャンルを貪欲に取り入れ、音楽を作っています。それがヒップホップのオーディエンス拡大に繋がっています。ヒップホップは歌が無くラップですが、そのトラックはあらゆるジャンル、あらゆる人に関われます。クラシックやジャズにすらヒップホップはリーチできるのです。
ヒップホップはコラボを重ね、あらゆるジャンルを取り込みます。この意味するところは、ヒップホップはデジタルの世界でどのジャンルより速く拡がり、オーディエンスを獲得できるということなのです。
榎本:ロマンさんのヒップホップに関する洞察は、日本の読者にとってインスパイリングだと思います。
ロマン:そう願っています。ヒップホップはジャンルを跨ぐだけでなく、国を跨いでコラボします。これが非常に効果的です。日本のヒップホップにはフランス、ドイツ、英語圏のアーティストとぜひコラボしてもらいたいと思っています。国が違えど同じカルチャー、同じ情熱をシェアしているのですから一緒に音楽は作れます。異なる文化、異なる言語が混ざり合うことがとても重要なのです。
フランスのJulはその最大の成功例です。彼は2021年から今に至るまでジャンルを超えてフランスで最も売れているアーティストです。この5年間、彼はフランスの頂点にい続けましたが、最近の2年半は国際的なプロジェクトにも注力しています。アメリカ、イタリア、ドイツ、スペインのアーティストを招聘し、いっしょにアルバムを作ってきました。
そしてある瞬間から彼のオーディエンスは「グローカル」になりました。かつてJulの音楽売上の90%が母国フランスから来ていましたが、今では75%になっています。残り25%はコラボやフィーチャリングをした他国から来ています。
榎本:コラボというのは、言語はどうしてるのですか?
ロマン:例えばイタリアのラッパーはイタリアでラップし、Julはフランス語でラップします。
榎本:それでいいんですね。
ロマン:これがふたつの国で同時にオーディエンスを増やす効果的な方法です。オーディエンスをインターナショナルにする方法です。
音楽業界にとって今ほど面白い時代はない
榎本:最後に日本の音楽業界のみなさんへメッセージをお願いします。
ロマン:レーベルのみなさまへ。好奇心が大切です。新しいアーティスト、新しい体験を求め続けましょう。YouTube、TikTokでそんなアーティストを見つけたらシェアしていきましょう。音楽の多様性とアーティストの創造性を歓迎しましょう。
次にアーティストのみなさんへ。音楽を作るのはほんとうに簡単になりました。配信も簡単になりました。ですから、どんどん曲を作って下さい!残りは私たちがやります。私たちがあなたとファンをつなげます。
かつては限られた数百人のアーティストしか、CDを出してラジオで宣伝してもらえませんでした。今は違います。Believeは数千ものアーティストをオーディエンスへ届け、プロフェッショナルな環境を提供しています。
私たちはマネジメントのみなさまともパートナーになっていきたいと思っています。一緒にアーティストのプロフェッショナル化、アーティストの開発を目指していきたいです。
私は13年間、メジャーレーベル(EMI)で働いてきました。当時、音楽産業は衰退するばかりで最後の5年はとても苦しかったです。市場は縮小し、リストラばかりで、契約アーティストもどんどん減っていました。
しかし今は違います!音楽産業にチャンスが溢れています。たくさんの音楽が生まれています。契約アーティストはますます増えています。アーティストの市場はどんどん広がっています。音楽売上は成長を続けています。CD時代と比べても、もっと大きくなりつつあります。そんな産業が他にどれほどあるでしょうか?
音楽はデジタルの力でいっそう価値を増し、グローバルになり、創造性を上げているのです。かつて落胆のなかにあった私は今、とても幸せです。
榎本:勇気の出る話ですね。本日は来日中の貴重なお時間を割いて下さり、ありがとうございました。
(了)
著者プロフィール
榎本幹朗(えのもと・みきろう)
1974年東京生。Musicman編集長・作家・音楽産業を専門とするコンサルタント。上智大学に在学中から仕事を始め、草創期のライヴ・ストリーミング番組のディレクターとなる。ぴあに転職後、音楽配信の専門家として独立。2017年まで京都精華大学講師。寄稿先はWIRED、文藝春秋、週刊ダイヤモンド、プレジデントなど。朝日新聞、ブルームバーグに取材協力。NHK、テレビ朝日、日本テレビにゲスト出演。著書に「音楽が未来を連れてくる」「THE NEXT BIG THING スティーブ・ジョブズと日本の環太平洋創作戦記」(DU BOOKS)。現在『新潮』にて「AIが音楽を変える日」を連載中。