広告・取材掲載

【15,000字】がらり降臨『手のひら望遠鏡』リリース記念SPロング・インタビュー!

インタビュー スペシャルインタビュー

Kenta: Musicmanが「音楽業界にぜひ知ってもらいたい」ニューカマーをお届けする番組、Nusicman。

以前、デビュー前のイチオシ新人としてご紹介したアーティスト〝がらり〟さんの最新アルバム『手のひら望遠鏡』が11月20日水曜日から配信されます。今回は、アーティストに直接インタビューする特別企画の第一弾にがらりさんをお招きしました。

がらり:よろしくお願いします。

(収録日:10月28日 弊社スタジオSOUND ATELIERにて)

ガーシュインにルーツを持つ実力派のJ-POPシンガーソングライター

Kenta: まず、音楽を始めたきっかけは?

がらり: 4、5歳ぐらいからずっとピアノをやっていて、高校で軽音楽部に入ってギターも始めて。

Kenta:好きなアーティストは?

がらり:一番目に挙げるなら、ジョージ・ガーシュウィンというジャズの作曲家・ピアニストにすごい感銘を受けていて。J-POPなら椎名林檎さん、YUIさん、キリンジとかもめっちゃ好きで。ジャズに戻るんですけど、ジャズ・ギタリストのウェス・モンゴメリーも大好き。

自分の中に蓄積されたものを、今改めて自分なりに出力しているような感じです。

Kenta: ルーツがジャズ系にあるのかなというのは感じてましたが、現代的な初音ミク的なものも。11曲目の『ケセラセラ』とか。

がらり: あの曲は確かにボカロ文化っぽい雰囲気。でも実際、僕はボカロを聴いている方ではなかったかもしれません。有名どころは知っているんですけど。

ただ、この曲に関しては勢いづけるメロディーを詰め込んだ結果、あの形になった。ボカロ文化も含めて、今のJ-POPに偶然重なったという感じです。

Kenta: 偶発的にあれが生まれるというのは、ちょっと驚き。

がらり: 焦り、緊張感みたいなものをグッと表現してやろうとしたら、ああいう形になりました。

 

TikTok時代、第一印象に残るフックを散りばめた

Kenta: がらりさんのTikTokに出会ったのが昨年でしたがそのクオリティに驚きでした。ショート動画で意識していることは?

がらり: 第一印象が大事。ファーストコンタクトでどう思われるかは意識しています。フォロワーだけじゃなくて、初めて見る人が一定数いる。がらりという人がたまたまおすすめに流れてくる。

音、言葉、絵面など、何らかのフックがあって「今、面白いものがあった気がする」と思ってもらえるように、サービス精神をあらゆる角度から貫いておく。

「今の編集面白かったな」「今の言葉よかったな」「今のメロディーなんとなく面白かったな」「今の歌い方なんか気になるな」みたいな。

あらゆるエンタメコンテンツがそうなのかもしれないですけど、いろんな角度で面白いと思ってもらえるような引っかかりをいっぱい作っておく。

Kenta: TikTokでは自分を映す人、手元だけ映す人もいますが、がらりさんの場合、イラストだった?

がらり: そうですね。一部、手元の動画も出しているんですけど、実像として「こんな人が演奏しているんだ」「こんな人が歌っているんだ」というのを限定したくない。

だからこそ、イラストだったり、ちょっとしたアニメーションだったり、壮大な風景だったりを歌っている曲と結びつけて生まれる感動というか、かき立てる気持ちの変化を狙っています。

Kenta: より作品に没入できる感じで?

がらり: そうです。「がらり」という言い方をしているので、同じ人が出ていても面白くないし、同じ絵、同じ編集でも面白くない。

じゃあ自分も見せ方も曲も全部変化させやすい方向を選ぶとなると、やっぱりイラスト。ファンタジー感を常に漂わせて見せています。

 

14曲、14通りの人生が収斂していくアルバム

Kenta:手のひら望遠鏡』のアルバムとしてのテーマは?

がらり: 「手のひら」という自分で目視できる一番ミクロなものと、「望遠鏡」という宇宙という壮大なマクロなものを観測するものの循環性。すごく細かいものが壮大なものに繋がっていて、壮大なものがすごく細かいものを内包している意味を込めています。

加えて「この手のひらで宇宙を見つめることができるんだな」という、自分にとっての創作を表したタイトルです。

14曲分の、14通りのいろんな人の人生を順番に観測していったような、アルバムを通じていろんな人生を観測していく中で、最終的に気持ちがプラスになってほしい。

あと、「誰だろう?こんな曲が書けるのか」という自己紹介も兼ねています。

Kenta: 「同じ人が作っているのかな?」と思うくらい多様ですね。それがまた、うまくまとまっている。曲順だけじゃなく例えば1曲目から2曲目に行くまでにもこだわりを感じます。

がらり: 素晴らしいところに気づいていただいて(笑)。そこはめちゃくちゃこだわっています。

初めて聴く時に驚きも生み出したいし、同時に一貫性も生み出したいし。曲の質感としても、言葉としても上手く繋がっている感じを意識していますね。

いろんな曲調を経由するんですけど、結局並べてみた時に「あっちこっち行ったのが必然だったかのようなまとまり方をしてくれたな」と思っています。

多分それができたのは、一番最初に出した『さよならは真夜中に』が孤独を嘆く曲で、その孤独が14曲分の旅を通して、最終的に昇華させてあげたいなという気持ちを持ってアルバムを仕上げていったからです。

で、最後の『パーティーチューン』で、いい感じに。どちらも夜の曲で、孤独について歌っているんですけど、『さよならは真夜中に』では孤独に押しつぶされて「もう無理」という気持ちを切り取っていて、『パーティーチューン』は「いや、でも大丈夫」「一人ぼっちだって構わない」「ちょっと酔ったら大丈夫だ」という風に高らかに歌い上げて。

そういう風に気持ちを変化させるために、アルバムを通して適切な曲線を描く必要があって、そのための起伏というのが14曲でうまくできたのかなと思っています。

Kenta: この番組を聞いてから改めて聴いてもらえると、いっそう楽しめますね。日数の感覚もあれば、時間の感覚もある。昼の曲も?

がらり: 『午後二時の通り雨』がそう。そういう1日的な流れもあれば、もうちょっと長く見て、『青春写真』だったら学生風の恋愛模様が描かれて、『ふたりぼっち』も恋愛模様の曲なんですけど、社会人っぽい感じで、ちょっとずつ主人公が大人になっていくような。同じ主人公がずっと続いているという感じでもないんですけど。

短編集ってやっぱり収録順には意味があって、その短編集それぞれ、主人公が異なるとしても、このページをめくっていくことによって、この順番でこのストーリーが収録されているから、最後のストーリーがこういう風に頭に残るみたいな、そういうところを狙っています。

 

受け身のリスナーが増えた時代に心がけていること

▲がらり『手のひら望遠鏡』ジャケット

Kenta: ジャケットもご自身で描いているのですか?

がらり: はい。手のひらを覗くとそこに宇宙がある。あまり押し付けがましくない形でポップに表現したらこんな感じに。

Kenta: お話を聞いて理解できました。

がらり: ちょっと抽象画っぽい雰囲気もあるので、人によって色々な見方をするんだろうな。でもなんでしょう、僕の解説があってもなくても、「あなたも感じたその気持ちを大切に」。僕は基本的にそういうスタンス。

Kenta: アルバム名と同じ曲が入っていることもありますが、それはしなかった?

がらり: 薄くですが最後の『パーティーチューン』の歌詞にちょっと仕込んであって。エンドロール的に流れる『パーティーチューン』の中で「手のひらをかざせば」という詞を入れて、納得してもらえたら、と。

実は『パーティーチューン』のMVで、「手のひらをかざして」のところに望遠鏡が一瞬映ります。

Kenta: 面白いですね。

がらり: 「こんなところにフラグがあったんだ」みたいな。

Kenta: そういうものは全て明かしていくんですか?

がらり: いや、ここは言うべきなのか、めっちゃ迷いました(笑)。「何も関係なく全体を通したタイトルですよ」という体でもよかったんですが、どうしても繋がっちゃうというところがあって。結局同じ人の言語センスで作っているから重なっちゃう部分もあるし。

Kenta: その辺りは聴いた人で騒いでいただければところもありますね。制作者が仕掛けについて語るというのは、ナンセンスという人もいます。

がらり: でもね、そうも言っていられない時代になってきた。どんどん人は受け身になって、読み解いてくれる人もだんだん減ってきているかなって。最近、作る側はある程度アピールしていかなきゃいけないのかなと思っています。

 

制作の現場でコンプレックスが消えた

Kenta: サウンドプロデューサーを初めて迎えたそうですが、そういう人を通すことでご自身の世界観に変化は?

がらり: 「僕ってアレンジはベーシックなものしか作れないのかも」と悩んでいたんですけど、制作の現場でものが生まれる瞬間に立ち会うにつれて「結局みんな同じように悩みながら作っているんだな」と肌感で分かって。

過度にコンプレックスに思う必要はないし、ある意味それなりにできているとも言えるし、まだまだできていない部分もあるし、そういうことを過度に思わなくなった。

あと、純粋に、本当に色々作っている人ってみんなすごいなという。純粋にそういう作業が面白かった。影響はめちゃくちゃ受けまくりですね。

Kenta: アレンジャーも一部お迎えして?

がらり: フルで編曲してもらったのは、『さよならは真夜中に』と『午後二時の通り雨』。『さよならは真夜中に』は宮野弦士さん。

『エスケープ』は現場にお邪魔して一緒に作り上げていく感じで。『揺れるピアス』もそうで僕の方でデモを作って、有元キイチさんにお渡しして、共に仕上げていきました。

Kenta: 自分のイメージと変わった曲は?

がらり:『エスケープ』は自分で作っていたアレンジだと結構ストレートな、割と現代的なJ-POPの方向で仕上げようとしていたんですけど、有元さんが「こういうのも」とツーステップのビートを持ってきてくださって、合わせてみたら「確かに」って。変わりようで言うと一番大きかったです。

Kenta:『エスケープ』はまさに僕たちが繋がるきっかけとなった曲。僕の中ではがらりさんの象徴になっています。初出は15秒ぐらいのカットでした。

がらり: 確か1コーラスはできていた気がします。フルではまだできていないぐらいの段階で、多分サビを出していたかなと。

Kenta: 完成版を聴いて「すっと聴ける感じに落とし込んだな」と。

がらり: J-POPの王道の派手目なメロディをガッといく裏で、割とダンサブルで無機質な雰囲気。最近、再流行しつつあるツーステップが新鮮な重なり方になった気はしますね。裏切り感もありつつ、コンビネーションとしては意外とそうでもないようにまとめました。

 

ふだんからアレンジを意識して聴いていた

Kenta: 「この人に頼みたい」というのは自分で決めたのですか?

がらり: 案としては僕が。その人の過去の作品を聴いて、僕の思っているタイプに割と近い球を投げてくださりそうな人に。

『さよならは真夜中に』も、この曲のコード感とか、想定しているビート感に近いものをいっぱい作っている宮野さんがドンピシャと思ってオファーしました。

Kenta: 言ってみたら業界の陰で支える方々じゃないですか。どうやって見つけるんですか?

がらり: いや、調べていけばわかっちゃうというか。宮野さんは、〝フィロソフィーのダンス〟というアイドルの曲で、めちゃくちゃアイドル的なところも担保しつつ、でも音楽的になんか素晴らしいぞって思わせるパワーがすごくあって、頭の中にずっと宮野さんが残ってて。

で、『さよならは真夜中に』をいざ作った時に「あの曲の雰囲気と掛け合わせたら、さらにいいものが生まれる気がする」みたいな、そういう発想の順番でした。

だから見つけるというか、出会った時にうっすら覚えている感じかな。

Kenta: 聴いていて「ええなこれ。アレンジ誰やろ」という感じで調べていく?

がらり: たまたま僕はそういう聴き方をする方だったので。

Kenta: オールプロデュースしていく現代のミュージシャンにも必要な聴き方かもしれませんね。

 

ミックスは音圧より大事なものがあると感じた

がらり: 制作を通じて感じたんですけども、編曲を自分でやるにしても、人に任せるにしても大事なことがあって、「ミックスエンジニアさんの作り出す空気感が最終的なアウトプットに寄与している割合ってめちゃくちゃでかいな」と。

Kenta: 曲作りの土台の段階から?

がらり: 「狙ってる方向性がこっちだと、エンジニアさんはこの辺の人にオファーしたいな」というのは作る段階でちょっと思っといた方がいいって思いました。

Kenta:例えばどういうところで感じたんですか?

がらり:結局、空気感ですね。最終的な曲の出す方向をめちゃくちゃ左右するのがミックスの方だなって。同じ楽器のアンサンブルのはずなのに、ジャンルすらちょっと変わって聴こえるというか。

例えば『青春写真』って、絶妙なところを突けたと思うんです。めちゃくちゃJ-POPっぽいのに、うっすらと邦ロック感も感じさせるような、パワーのあるビート感が聴こえる。

この曲はTomoya Nakamuraさんにミックスをお願いしました。リズムコンシャスというか、ビート感を生々しく伝えてくださるミックスエンジニアさんかなって思っていて、そこが上手く重なって『青春写真』もさらっと聴ける。なんか「もう熱い思いを伝えるんだ」みたいなエッセンスも加えて世に届けることができた。

Kenta: ミックスが大事。

がらり: めっちゃ大事。

Kenta:でもミックスのチュートリアルって音圧のことばかり語っていることが多いですよね?

がらり:音圧は大事だけど、音圧を上げればいい曲になるかっていうと絶対そんなことはない。むしろ音圧が強すぎることで生じるデメリットに対し盲目になってしまうかも。自分はそこが心配ですね。パワーがありすぎたら、当たり前ですけどチル成分が減るじゃないですか。

ガツンとボーカルが届いた方が 歌は聞き取りやすいかもしれないけど、それをずっと聴いていると、例えば満員電車の中で めちゃくちゃボーカルの割合の高い音楽をずっと聴いてると疲れてくる。むしろちょっと嫌いになっちゃうまであるかも。

音圧は超重要なファクターではあるけれども、曲のクオリティを決定づけるものではない。それよりもっと大切なものも、その都度あるんじゃないかな。

Kenta:「曲を作ってみたいな」とか、まさに今そういう作業で悩んでいる人にアドバイスはありますか?

がらり:ずっと作業してもう1回聞くんじゃなくて、朝一に 今悩んでるやつをもう1回聴いてみる。1回寝てから聴くと「こんなふうに聞こえるんだ」みたいな。頭を真っ白にした状態で、自分の曲と出会い直した時に受ける印象っていうものを をコントロールしに行くのをお勧めしたいです。

Kenta:一度離れるっていうのは大事かもしれないですね。

がらり:もうほんとに。だって、あなたが曲を作っているのと同じ集中力で聴いてくれる人って多分いないんで。 じゃあ一般目線に立って、自分の曲だっていう自負心を1回なくして、お客さんとして自分の曲に向かい合ってみるのがいいと思います。

 

アルバム単位で生み出す感動がアーティストの仕事

Kenta:先ほどの質問に重なる部分もありますが、音楽サブスクの普及でお気に入りの曲にすぐアクセスできるのは嬉しい反面、アルバム単位で音楽を楽しむ人が減ってしまったのではとも感じます。

がらり:アルバムを頭から最後まで聞くっていう、これによってしか得られない音楽体験があるなと僕は思っていて。

それこそ僕の好きな椎名林檎さんのアルバムって、ほんとに曲がもう繋がっている印象。で、ストーリーもあって。45分ぐらいのストーリーによって聴かせるものっていうのが、アーティストが与えられる最高の感動の1つなのかなって僕は思っています。

今やシングルどころか、1ワンコーラス聴いて飛ばすこともあると思うんですけど、「僕はアーティストですよ」と言うのであれば、アルバム単位で生み出す感動を担保しとかなきゃいけないというのが、やっぱり自分の中にあって。そこはむしろ最低限、常に考えとかなきゃいけない部分なのかなと思っています。

Kenta:アルバムのテーマがまだ無いのにのに、単発で曲ができていくっていうことに対しては、何か思いってありますか?

がらり:後付けでもテーマっていうのは結局生まれるというか、テーマがなくても曲を並べたら、そこに流れっていうのが生じてしまうと思うんですよ。

もしランダムに出てきた曲たちを偶然並べたとしても、すごく真剣に聴いてくれる人は、そこに何かを見出してくれるはずなんです。 そういうものに対して、作る本人が誠実じゃないといけないかなって思ってて。

僕はどちらかというと、狙って流れをこういう風にしたいっていう方ではあるんですけども、多分、狙ってない人の作品であっても、実は本人が気づいてないだけで、そこには流れがある。

流れがないなんて絶対ないと思う。それは、その人が見出してないだけなのかなっていう。だから僕はそこにあるものを見つけ出すことに対して真剣でありたいです。

Kenta:面白いですね。もう並べちゃった時点で流れが起きる。で、聴く人なりのテーマが、世界ができたりって、映画を見るのに近い?

がらり:まさしく。めっちゃ偏見なんですけどTikTokネイティブ世代になってくると、アルバムというものを頭から聴く体験をもはやしたことがない人もいるかも。

Kenta:「短ければ短いほどいい」という風潮がありますね。

がらり:だから、このアルバムを通じて「全部通して聴くとめっちゃええやん」っていう発見をしてもらえたらいいなという気持ちもあります。

 

システムエンジニアから『エスケープ』してアーティストに

Kenta:ところで関西出身なんですか?

がらり:大阪生まれです。システムエンジニアで。

Kenta:システムエンジニア!?

がらり: ECサイトとかカーナビとか色々作ってましたよ。

榎本:Musicman編集長の榎本です。SEの仕事をしてたら、曲作りの時間を取るのも大変だったのでは?

がらり:〝がらり〟を始めた頃がステイホームの終わりかけだったので、多少時間はありました。その頃は、趣味の時間としての音楽生活でしたね。プロとして二重でやっていた時期は結構大変でしたが。

Kenta:その頃から楽曲制作を始めた。楽器は長くやっていたけど、制作自体は最近から?

がらり:歌謡曲としてちゃんと作り始めたのはここ2年ちょっとかな?

榎本:ええ!?Tiktokとかでショートをあげたあたりから?すごいな。

がらり:そうなんです。はい。それより前はジャズとしての曲だったり。めっちゃ歌謡曲は、高校時代のバンドでちょっとだけ書いたりとか。

Kenta:なんでこのタイミングで自分の曲を書いていこうと思ったんですか?

がらり:仕事の合間になんかやりたい、割とそんな感じ。で、TikTokでいろんな人が音楽を出しているのを見て「この感じなら自分もできる」と。

榎本:それは才能ですねえ。
がらり:あと、よくある話かもしれないですけど、システムエンジニアに限界を感じた瞬間があって。「あんまり楽しくない。一生これでやっていくの辛くない?」と。ある意味、エスケープですよね。逃避としての楽曲制作っていう面もあったかな。

Kenta:ご自分の人生とも繋がってますね。

がらり:『エスケープ』は退職を促す曲でもあるかも。「仕事辞めたらいいよ。辛いならやめてもいいんだよ。逃げていいんだよ」、そんな曲でもあるかな。

Kenta:ある意味エール。

がらり:ある意味、退職応援歌ですね。

Kenta:退職して休むのもよし。自分のやりたかったことをするのもよしという。

がらり:そういう時間っていうのはとても長い人生、短いとも言える人生、幅を持って活動できるならした方がいいんじゃないのかなって。

だって、そこをやってなかったら、いま僕こうなってないわけだから。ちょっと前までシステムエンジニアだったのにドラマのオープニングまでやらしてもらえるんですよ。「自分の声がテレビから聴こえてくるだと?」という驚きがあった。

逃げ出す。そして挑戦するというのは、実は生産的な行動じゃないだろうかって思いますね。

Kenta:エスケープすることだけしか考えてない人がほとんどかもしれない中、成し遂げている人が言うとすごく説得力がありますね。
がらり:逃避っていうとあれですけど、 動機としてマイナスなものから逃げたい。それは向き合い方次第で、その先にあるものが実は自分を良くするものかもしれない。角度を変えてみると、すごく生産的なものになることがあります。

例えば僕の場合、音楽が楽しい。演奏が楽しい。曲作りが楽しい。それを世の中に出してみると、聴いてくれる人も楽しんでくれるかもしれない。

そういう延長線上で、自分のためだけだったものが他者のためにもなり、ホスピタリティ的な要素も担保できるものになれば、それは幸せなことだと思います。

 

曲解説。『女郎蜘蛛』『青春写真』『カゲロウ』

Kenta:アルバム曲について掘り下げていきたいと思います。

まず『女郎蜘蛛』。タイトルのインパクトが強烈で、独特の色気を持つソフトボッサのような印象を受けました。昭和歌謡的な要素に加え、ルーツになっているジャズも随所に感じられ、フォービートが印象的な面白い曲です。

がらり:『女郎蜘蛛』は、自分のジャズ的な要素を詰め込んでいる曲。コード進行も、他の曲が比較的シンプルなループものや4-3-6-1のような王道進行が多い中で、この曲は4度進行を取り入れています。

椎名林檎さんが使いそうなメロディーラインも意識して取り入れているかもしれません。

Kenta:林檎さんか。納得できる部分が多いですね。

がらり:そうですね。この曲は最後に3拍子になり、二拍三連の流れのまま3拍子で曲を終えていくのですが、このようなアウトロでの拍子変更は近年の林檎さんの作品でも見られる手法で、そこからの影響も大きいと感じています。

Kenta:そこも聴きどころですね。改めて聴いていただきたいと思います。

次に『青春写真』について。先ほどお話にもありましたが、アルバムの中でも特に普遍的な魅力を持つ曲だと感じました。アレンジと切ない歌詞が印象的です。個人的に気になった歌詞があるのですが、机の中にしまった手紙はどういう結末を迎えたのでしょうか。

がらり:Cメロで「ふたりのことを照らす夕陽は戸惑いすら焼き付けた」というフレーズがあって、そこがいちおう告白のシーン。おそらくその時に手紙も渡せたのではないでしょうか。

Kenta:『カゲロウ』はギターリフが印象的でした。

がらり:この曲のイントロやAメロで使用しているコード進行は、意図的に調性を明確にせず、曖昧さを残すように心がけました。人によって異なる解釈ができる形になっていて、最初の4つほどのコードは複数の調性で捉えることができる作りになっています。

ギターリフには緊張感と浮遊感の両方を持たせています。不安を煽りながらも、一方で力強さも感じられる仕上がりに。ギターは鈴木Daichiさんに演奏していただきました。YUIの楽曲の多くをアレンジしている方で、僕の好きな楽曲を手がけた方にギターを弾いていただけて感動しました。

Kenta:このリフは鈴木さんが考案されたものですか?

がらり:フレーズは僕が作って渡しました。意図的にロック色を強めにしつつ、聴き方によってはネオソウル的な要素も感じられるアレンジにしています。一時期ネオソウルにのめり込んでいた時期があり、D’AngeloとElykah Badu、Amel Larrieuxの影響も受けています。

Kenta:一聴してネオソウルの印象は受けにくいかもしれませんね。

がらり:そうですね。気づかない人の方が多いかもしれません。深みのある浮遊感や独特の間合いといった、ストレートではない要素がJ-POPの中に溶け込んでいることに面白さを感じています。

 

演技的なアプローチで歌っている

Kenta:『カゲロウ』はボーカルの力強さを感じるトラックでもありました。

がらり:『カゲロウ』の歌詞はやさぐれた主人公が登場し、曲を通じて何かを見出していく展開になっています。パワフルさというよりは、どちらかというと不機嫌さを帯びた声色を意識しました。

僕は技巧的な歌唱は得意ではありませんので、演技的なアプローチで、曲の雰囲気に合わせて声色や話し方を変えていく手法を取りました。

例えば『青春写真』ではピュアな印象を、『女郎蜘蛛』では色気のある声を意識し、少し気持ち悪さも含めて表現しています。

声量という点では、実は『夢酔い』の方が大きな声を出しています。特に最後のサビのパートでは最も声を張っています。展開がはっきりとした曲で、冒頭は涙声を意識し、感情の変化を表現しています。

この曲には僕の人生観が強く反映されています。元システムエンジニアだった経験から、キーボードの音や日々の通勤を思わせる電車の音を取り入れ、その中で見出す心の内なる光を表現しようとしました。呼吸や鼓動といった体内の音をイメージした環境音を流すことで、生命感を表現しています。

Kenta:クリックノイズなども効果的に使われていますね。

がらり:はい。社会人生活でのため息を表現するような効果音を入れています。そしてラストでは全てを振り切るように高らかに歌い上げ、夢を追う自分を肯定するような構成にしています。

Kenta:声量という意味では『砂の歌』も印象的でした。

がらり:実は声量だけでは測れない最終的なアウトプットの印象があり、ミキシングの重要性を感じています。

Kenta:僕の印象では、がらりさんの特徴的なボーカルスタイルはアルバムの序盤なのかなと。

がらり:難しいところ。「がらり」というコンセプトを使用する上で、固定的な「がらり節」というものがあってはいけないし。

Kenta:僕がそう感じたのは『エスケープ』に最初に出会ったからかもしれませんね。

がらり:『エスケープ』は面白い曲で、アルバムの中で最もスムーズに生まれた楽曲かもしれません。作曲に要した時間が曲の尺とほぼ同じくらいで、一気に書き上げました。メロディーの展開も自然な流れで、例えば「終わらない夜に仮初めの街」というフレーズまでは一気に浮かんできました。

フックのメロディーが言葉と同時に思いついて生まれた曲が多いですね。そのフレーズに肉付けする形で作曲やアレンジを重ねていくことが多かったと思います。

Kenta:核となる部分が先に降りてきて…

がらり:降りてくるパターンもあれば、絞り出すパターンもあります。例えば『青春写真』なら、青春を切り取るような、厳しさのある話をしたいと思った時に、「このまま時が止まってほしい」という想いと、それに合うメロディーが自然と浮かんできて「この時が止まればいいんだ」というサビができた記憶があります。

Kenta:全てが繋がっている感じですね。

がらり:ある意味、ガチガチの状態で出てきてしまう曲が多いのかもしれません。後から修正を加えることはありますが、僕の中のJ-POP観、歌謡曲観として、言葉とメロディーの組み合わせで印象が大きく左右される。

言葉のリズム感だけでなく、単語として、コンテキストとして何を歌っているかということが、曲全体の印象、音楽的な印象にも繋がっていると強く感じます。そのため、言葉が意味を持つように意識して作詞しています。『揺れるピアス』でも、言葉としての意味を大切にしました。耳当たりの良さだけでなく、文脈として意味を持つものを作っていきたいです。

 

誠実であるために、認知度を上げてライブをしたい

Kenta:ライブについてはどうお考えですか?

がらり:開催したい気持ちは強くありますが、今の「がらり」というコンテンツのフェーズとしては、もう少し認知度を上げたいという思いが強いですね。より多くの人に受け入れられている状態を作りたいと考えています。

Kenta:配信などで認知度を上げていく方向?

がらり:これは経済的な観点というか、このコンテンツが存続するということは需要があるということです。それを無視して、今の聴いてくれている人だけに向けて小規模なライブをするというのは、ある意味「がらり」に対して不誠実な気がします。

そういうやり方では続かないと思うので、なんとか継続できそうな規模まで持っていく必要があります。アートがアートとして意味を持つ状態を作ることも大切です。必ずしも人気取りのために動くわけではありませんが、ある程度の支持がなければ意味がないと思うので、まずはそこを目指したい。

Kenta:これだけ作品を生み出してリリースした後でも、ライブをするにはと、課題を感じているんですね。

がらり:課題しかないというのが正直な気持ちです。TikTokから広がっているので、「あの曲のがらり」というのがほしいですね。「アルバムのがらり」として知られたいところではあるんですけれども。「激ヤバアルバムがあるぞ」とみんなが騒いでくれたらいちばん嬉しいんです。

Kenta:「このハッシュタグを使って」といった案はありますか?

がらり:「#手のひら望遠鏡」かな。どうしたらいいんでしょうね。

Kenta:そこは誰も答えのない世界かもしれませんが、がらりさんの場合は良い形でできそうな気がしますが。

がらり:僕の目線では、水面ギリギリでなんとか泳いでいるような状態で、なぜそう見えるのかと思ってしまう(笑)。でも、そんな自分を応援してくださる方々に誠実でありたいと思います。だからこそ、自分自身をもっと発信していかないといけない。

Kenta:今すぐにでもライブを見たいと思っているファンもいるのでは?

がらり:今でもTikTokライブは稀に配信していますね。

 

『午後二時の通り雨』はアルゴリズムにフィットした

Kenta:『午後二時の通り雨』は、展開が面白いですね。想像を裏切るような展開に飛んでいったりします。

がらり:モーツァルトのトルコ行進曲と同じ構造で、同じ旋律を繰り返す中で開放感を得る方向へ展開します。この曲は特に純粋で混じり気のないラブソング。無邪気な恋心を歌っています。

編曲をESME MORIさんにお願いして、アスファルトに雨粒が落ちてパッと弾けるような、爽やかで美しい質感を実現していただきました。メロディーの雰囲気を活かし、勢いも出ています。サビを大胆に3回、続けちゃったんですけど。

Kenta:そういえばストリングスをあまり使用されていないような印象が。

がらり:『カゲロウ』や『ビードロに切り花』には入れていますけど、ストリングスは難しい要素ですね。入れると簡単に壮大さやJPOP的な「サビですよ感」のような雰囲気が出るのですが、うまく機能させようとすると使い方が限られてきます。

使用する場合は、メロディーに対する返しのような形で、サビとサビの間を埋めるように入れることが多いです。音域的な幅もステレオ的な幅も大きく取るため、使い方は本当に難しいですね。確かに広がりは与えられるのですが、それが音楽的に機能しているかというと、単なる空気感に留まってしまう。

Kenta:ストリングスってJ-POP色が出すぎてしまうときがありますよね。

がらり:単にコードを鳴らして壮大さを演出するだけのストリングスにはしたくないんです。それはそれで味わいはあるのですが、ソリッド感が失われてしまう気がして。

榎本:個人的に『午後二時の通り雨』では、がらりさんの声がとてもうまくトラックに乗っていると感じました。

がらり:それはD.O.I.さんのミックスの力だと思います。おそらく声が最も前に出ている曲です。僕の声はガサガサしている部分があると思うのですが、その特徴をあえて隠さずに出す方向でミックスしてくれたのかなと。

榎本:声のいいところが、すごく前面に出ています。

がらり:僕の声は少し機械的な印象を与えたり、ガサガサした質感があって、どんなトラックにも馴染みやすいわけではない。ある意味、悪い意味で浮いてしまう声。それを逆手に取る方向で、この「通り雨」では活かせたのかなと。

Kenta:11月6日に『揺れるピアス』を先行配信して、アルバムのオンエアリリース時にこの『午後二時の通り雨』を選んだ理由は?

がらり:理由は明確で、『午後二時の通り雨』がTikTokのアルゴリズムに好まれる傾向があったんです。そこに乗っかろうという判断でした。また曲としても分かりやすくポップな印象があります。

これまで7曲をシングルとして出してきて、プラス7曲で14曲になっているのですが、新曲はどれもキャラが濃い目の楽曲が多かった。その中で程よい空気感の曲となると、『ふたりぼっち』と『午後二時の通り雨』の中から選ぶことになり、この曲に決めました。

 

FIVE NEW OLDと『揺れるピアス』

がらり:『揺れるピアス』は様々なパラメーターがあって。

榎本:がらりさんのいろんな個性が、サウンドメーカー・作曲家として出ている曲ですね。

がらり:コード感的に、そしてメロディー的に面白いところ。割とボーカルっぽくないメロディーも入れられたかなとも思うし。

Kenta:バンドアンサンブルも詞に寄り添っている印象です。

がらり:そうなんです。FIVE NEW OLDのみなさんに演奏をお願いして、意図していない部分も含めて、気持ちの揺れ動きに対してリズムセクションの展開もすごくいい具合に寄り添ってくださいました。

Kenta:バンドと絡み合う感じが上手く出ています。

がらり:FIVE NEW OLDのスタジオにお邪魔して一緒に作業させてもらったのですが、投げかけたアイデアに対して素晴らしい提案をいただきました。フォービートを入れるのは僕の提案だったのですが、それを絶妙なタイミングで組み込んでくださいました。

「微かに揺れる ある限りの愛が」というセンチメンタルなフレーズが出てくるタイミングで、アレンジとリズムも違う方向性を出すべきだと考え、フォービートを入れることにしました。つなぎ目のドラムフレーズについても具体的なイメージがあって、それを伝えながら作り上げていきました。

僕の中で聞こえてきたフレーズがあって、「これをこう組み込んでもらえませんか」というような形で提案させてもらいながら。

Kenta:ベースとなる曲を投げて、それが戻ってきたという形ではないんですね。

がらり:一緒に作り上げていった感じですね。逆に完全に丸投げした曲というと、『午後二時の通り雨』はシンプルなギター弾き語りの音源をお渡しして、コード進行とメロディーはそのままに肉付けしてもらう形でした。

それ以外の曲は、有機的なやり取りの中で生まれたアレンジが多いと思います。『午後二時の通り雨』も丸投げというわけではなく、様々なリクエストを聞いていただきましたが、密なコミュニケーションを取りながら制作できました。

Kenta:理想的でしたね。このような制作の流れがあるということは、聴いている人にも伝わるといいですね。

がらり:FIVE NEW OLDのような大好きなバンドと一緒に作業できて、演奏までしていただけるなんて、夢が叶った曲でもあります。

僕のこの曲の中での一番のお気に入りポイントは、後半のギターソロです。オアシス的な雰囲気もありつつ、温もりとロック感、様々な感情が段階的に上がっていくような雰囲気が作れた。フレーズがバーンと飛んでくるというよりは、空気感がしっかりと作られているタイプのギターソロだと思います。

Kenta:まさに楽曲にフィットしたギターソロですよね。

がらり:そうなんです。ギターが主張しすぎず、楽曲の世界観を大切にしながら。

Kenta:楽曲の世界観を崩さないことが大切で、その接着剤的な役割を果たさないといけませんよね。

がらり:その通りです。音楽的な面白い要素が曲の中でところどころ出てくるアルバムだと思います。

Kenta:演奏する側が聴いても面白い要素がたくさんありますよね。

がらり:『エスケープ』のキーボードソロは僕が弾いているのですが、絶妙なタメがあったりします。普通なら採用しないようなテイクを有元さんが採用してくださって、「このタメがいい」と言ってくださり、自分では気づかなかった良さを見つけてもらえました。

Kenta:人に言われないと気づかない部分もありますよね。

がらり:そうなんです。自分だったら「これはちょっと違うだろう」と思うようなものが、「いや、それでいい」と言われて。言われてみれば確かにいい感じがしてくるというやり取りがありました。

Kenta:客観性って大事ですね。プロジェクトがないとそういった発見はできないし。

がらり:その通りです。特に業界のプロフェッショナルからそういった意見をもらえる機会というのは、なかなかないですからね。

Kenta:サウンドプロデュースを依頼することのメリットですね。生の意見が聞けて、改めて自分の良さや課題を見直せる。人と一緒に作っていく価値は計り知れないものがありますね。

ただ、ライブで『エスケープ』をやる場合、どうするのですか?

がらり:僕が頑張って弾くのかな(笑)。でも、よく考えるんですけど、例えば『ケセラセラ』のような曲は、バンドアレンジにする場合は全然違う方向で組み立て直すことになると思うんです。その都度、そのメンバーに対して最適なアプローチを見つけていきたいですね。

Kenta:その方向づけも、ミュージシャンに完全に任せるのではなく。

がらり:ある程度は自分で方向性を示したいです。「あなたはこれが得意だからこの方向でやってほしい」というような。そういう視点でバックバンドを作りたいという思いもありますね。

Kenta:そういうコンダクター的なことも考えている。プロデューサー的な視点ですね。

がらり:そうかもしれません。

 

アーティストとして謙虚でありたい

Kenta:ドラマ(テレビ東京ドラマ25「晩酌の流儀3」OPテーマ曲)が始まってから、YouTubeやTikTokの登録者数に変化は感じましたか?

がらり:リアクションやコメントをいただく機会が増えました。ありがたいことですよね。『パーティーチューン』の最初の歌い出しが「今日も一日お勤めお疲れ」で始まるのは、ドラマ放映の金曜の夜に聴いてくれる人たちへの労いの気持ちも込めています。

それで「こういう言葉をもらえて嬉しい」というコメントがあって、テレビを通して聴き手とコミュニケーションが取れている感覚を味わって、テレビというメディアはまだまだパワーがあるなと実感しました。

Kenta:現代では、それを聴いた人が直接アーティストにメッセージを送れるというのも素晴らしいですよね。

がらり:割と積極的にリプライするようにしています。

Kenta:僕のTikTokやInstagramにもメッセージをくださって、すごく謙虚な方だなと感じました(笑)。

がらり:アーティストとしての感性を過信しないようにしています。結局、アーティスト活動というのはプレゼンテーションなんです。何を見せるか、何を見せないか、何を言うか、何を人が受け取るか。そこに対して真摯に向き合おうとすると、調子に乗る余裕なんてありません。

ある意味、自分を見つめ直し続けて、その上でようやく生まれる小さな良いものがある。そういう感動の作り方しか僕にはできないと思っています。

これからも同じ姿勢でいくと思います。「がらり」という名前の通り様々な曲を出していますが、僕の中ではまだまだ氷山の一角です。

今はまだJ-POP寄りの聴きやすい音楽しか出していない気がするんです。できれば、もし僕がもっと人気が出てきたら、もっと幅広いジャンルの曲をやりたいという思いがあります。

Kenta:そうなんですね。

がらり:はい。みなさんにどんどん僕の曲を楽しんでもらえれば、それに応じて僕も「がらり」と変わっていけると思います。ぜひ色々聴いていってください。

Kenta:今後の活躍を期待しております。本日のゲストはがらりさんでした。本日はご出演いただきありがとうございました。

がらり:ありがとうございました。

 

インタビュワー
久保健太(Kenta)
 
兵庫県神戸市出身のギタリスト、YouTuber、音楽業界サイトMusicman.co.jpのキュレーション番組「Nusicman」のメインVJ。
Charに憧れ、高校2年生の頃からギターを熱心に学び始める。他にJohn Mayer、Jeff Beck、Jimi Hendrixから影響を受けた。高校卒業後、レコーディングやラジオ出演、ミュージカルなど様々なイベントに参加。サポートギタリストとしてもインディーズからメジャー・シーンまで幅広く活動。2014年には小田和正FECBのギタリストである稲葉政裕の後押しを受け、東京へと活動の場を移し、著名ミュージシャンとの共演やセッション活動を行う。「Pop Guitarist – Kenta」としてYouTubeチャンネルを開設し、ギターレッスン、楽曲制作の他、楽器ブランドやMusimanの動画制作者としても活動の場を広げている。

関連タグ