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【特別取材】「メタデータは音楽産業を支えるキーストーン」Music Story社ビオレCEO

インタビュー スペシャルインタビュー

「メタデータ」と聞くと頭痛がしてくる業界人は少なくないはずだ。楽曲の詳細を記したメタデータは膨大かつ複雑で、人体の細胞のように日々刻々と変化している。正しく登録されていなければ、リスナーに楽曲がちゃんとレコメンドされないし、再生数のレポートも作成できず、アーティストやレーベルは売上を受け取れない。サブスクだけでなく動画、SNS、著作権管理団体もメタデータに依存している。

この「音楽メタデータ」の国際的なリーダー企業がMusic Story社だ。顧客リストにはApple MusicAmazonSoundExchangeSONYLINE MUSICなどが名を連ねている。

「私は複雑なことが得意」とジャン=リュック・ビオレCEOは語る。創業から15年間、問題を解決してきた氏にメタデータの最新動向を語ってもらった。

(取材:Musicman編集長 榎本幹朗)

 

2008年、「音楽もデータの時代が来る」と直感して創業

榎本(Musicman編集長):まずはビオレさんご自身について教えて下さい。

ジャン=リュック・ビオレ(Music StoryCEO)北フランスで生まれ育ちました。ENSAM(フランス最古の国立工業大学)出身です。

榎本:学生時代、ドラマーだったそうですが?

ビオレ:今もやってますよ。私にとってはヨガみたいなもので、ドラムを叩いて体と対話していると心が整います。

榎本:好きなミュージシャンは?

ビオレ:非常に悩む質問ですが(笑)、坂本龍一さんはフランスでも大きな影響がありました。UKのバンドのJAPANをご存知ですか?リーダーのデヴィッド・シルヴィアンがYMOと関係が深くて、ちょうどそうな音楽シーンを私たちの世代はフランスで体験してきました。

榎本:僕も教授の大ファンでした。卒業後は?

ビオレ:工学部だったので友人たちは卒業後、自動車メーカーに行きましたが、私はダッソー・アビアシオン社でプライベート・ジェットの生産に従事して、大規模開発のプロジェクト・マネジメントを身に着けました。

榎本:ジェット機産業出身の人には音楽業界で初めて会いました。

ビオレ:そうでしょう。その後、ヴァレオ社(欧州最大規模の自動車部品メーカー)に転職し、そこでITのマネージャーになりました。

榎本:機械からITへ?

ビオレ:そうです。その後、Auchan(オーシャン。日本のイオンやアメリカのウォルマートに近い)でビジネス・インテリジェンスのデータウェアハウスを統括していました。ありとあらゆる商材と顧客を扱うので、巨大で複雑なデータを60人の部下と管理していました。2000年からです。

榎本:Eコマースの勃興期ですね。

ビオレ:マーケティングにシステムの活用が始まった時代です。IT部門には1500名が所属し、1万人が関係していました。

私は複雑なことが得意です。エンジニア陣を指揮して、クライアントのシンプルな要求を複雑な過程で処理してきました。しかし、その規模になるとひとつの些細な決定に7時間もかかるようになっていました。ほんとうにぐったりしますよ?(笑)

榎本:たいへんな規模です。音楽業界へ行く転機は?

ビオレ:以前から音楽会社とは接触がありました。私はドラマーだったので、彼らの話を興味深く聞いていたのですが、ある時「アメリカで新しいビジネス・トレンドが起きそうだ」と聞きました。それがストリーミングでした。2008年の話です。

榎本:Spotifyが誕生して「もしかしたらiTunesキラーになるかもしれない」と欧州の音楽業界で噂が立ち始めた頃ですね。

ビオレ:「音楽業界にもデータの時代が来そうだ」と私は直感しました。「すぐにではなくても、きっと私のような人材が必要になる時代が来る」と。

マーケティング的には早すぎる時期でした。しかし、音楽産業は規模が小さいけど数多くのプレイヤーが複雑に絡み合っているので、理解に時間が要ります。レーベルや音楽出版の業界人と親密になるのも時を要します。

だから15年前にMusic Storyを創業したのはベスト・タイミングでした。

榎本:音楽業界の最初のクライアントは?

ビオレ:Deezerです(フランスの音楽サブスク。欧州発の音楽配信ではSpotifyの次に有名)。Deezerと共に働くことで音楽業界について多くを学びました。

ただ音楽業界というのは何よりもまず国際ビジネスなんですけど、国によって少しずつ異なっています。フランス、イギリス、ドイツ、アメリカではそれぞれ違うので、各国の事情の把握には時間がかかります。

そしてDeezerSpotifyなどと同じく、国際展開に乗り出していました。世界各国で同時にローンチするのですが、あちこちで課題が出ました。例えば、グローバル・メジャーの曲であっても、国ごとにローカル・レーベルが関わっていたりするので配信の許諾が出たり出なかったりします。

榎本:苦労が偲ばれます。Deezerの国際進出と共に各国のメタデータを開拓していったのですね。日本では?

ビオレ:今年2月にLINE MUSICと業務提携しています。

15年間、メタデータを次々と拡充してきた

榎本:業務内容についてお伺いします。音楽のメタデータは非常に込み入っていて、みなさん苦労していますが、Music Storyはそうした問題を解決する会社?

ビオレ:まずお伝えしたいのは、メタデータというのはただFix(修繕)すればいいというものではないということです。その背後には非常に複雑な問題が隠されているものです。

だから、私たちは創業当初、正確なメタデータを提供することに集中しました。当時、音楽のメタデータを国際的に扱う競合はアメリカに二社あるのみでした。

私はビッグ・プロジェクトを愛していますが、ステップ・バイ・ステップが大事です。我々はフランス国内で創業しましたが、国際ビジネスはDeezerにアーティストの正式なプロフィールとアー写を提供することから始めました。

次はレーベルと関係を深め、最新の情報を受けることでした。これは大きなチャレンジでした。当時、サブスクには膨大な楽曲があるだけで、そこに何の情報も紐づいてない曲ばかりだったのです。

2016年にアメリカへ進出した後はナップスター(※ファイル共有ではなく音楽サブスクの方。国際展開している)のメタデータを独占的に提供するようになりましたし、ほどなくしてApple Musicとも仕事をしています。その過程でアメリカの他のビジネス・デベロッパーとも緊密に関係を持つようになりました。

あの頃、音楽データの様々なスタートアップ企業が誕生しました。その中にはThe Echo Nest(※その後Spotifyが買収)のような素晴らしい会社もありましたが、ほとんどが消えていきました。彼らは、メタデータ問題を「解決できます」と言っていたのですが、時間の経過とともに目標を達成できなくなっていきました。

なぜか。それは、こうしたタイプの問題と戦っていくには、大きなプロジェクトを正しい時間軸にブレイクしていく能力が問われ、しかも常にフレキシブルだからです。メタデータの課題解決というものは終わることがありません。音楽産業というのは新しいシーンととともに常に変わり続けているからです。

変わり続ける音楽産業 の背後で私たちは働いています。レーベルやDSP(音楽配信プラットフォーム)の信頼を勝ち得たのは、私たちが応急処置的なやり方ではなく、中長期的な視点でソリューションを提供してきたからだと思っています。

Music Storyは他社と何が違った?

榎本:Music Storyはフランスのローカル企業として始まり、Deezerと共に国際進出しました。今では日本のLINE MUSICのようなローカルなDSPとも仕事をしています。同業他社との差別化はどこにあったのでしょうか?

ビオレ:Music Storyはメタデータの提供会社として始まりました。データには画像や歌詞など、様々なタイプが含まれています。私たちはアグリゲーターとしても歌詞、クレジット、画像に特化したパートナーから保証されたデータを集めてきました。

私たちの差別化ポイントは、音楽のメタデータに集中したことです。競合他社はたいてい映画業界やゲーム業界などとも仕事をしていました。それはそれで敬意に値することですが、音楽に集中すれば原盤権のような複雑な著作隣接権にも通暁できると私たちは考えたのです。

そして音楽に関してはメタデータを提供するだけでなく、データ問題を解決するサービスを提案できるようになりました。

例を挙げましょう。アーティスト名には曖昧さ回避の課題があります。同名のアーティストが34組いるケースが多々ありますし、今日この日にそれが5組に増えるかもしれません。これは日本で特に顕著な現象ですが、英語と他の言語で呼び名が違うこともあります。

こうした問題を解決しておかないと、DSP(デジタル音楽配信事業者)でユーザーが望んだとおりの検索結果にならないので、これはプラットフォーム、ユーザーの双方に価値があるソリューションとなります。

それも有名なアーティストだけでなく、クラアントの有する膨大なカタログを通じて解決すること。これは大きなチャレンジであり、数多くのアーティストに関わってきます。DSPのカタログ・チームとは都度、ワークショップを開いています。

ユーザー体験を高めるために、録音物のメタデータを改善していくだけでなく、メタデータのための新しい管理システムをDSPは求めています。それも私たちは提供しています。

榎本:読者のために確認です。Music Storyはメタデータをどこからもらっているのでしょうか? つまりネットから集めているのではなくて…。

ビオレ:グローバルメジャーからが基本ですが、国際展開が進むに連れて、日本の様々なローカル・レーベルも含め、今では数百社からメタデータを集めています。

今やDSPのカタログは膨大となり(※Apple Musicなら1億曲以上)、新たな問題が起きています。カタログを供給しているレーベルの方々であっても、このアーティストが誰なのか、どんな曲なのか、どこから来ているのかご存じない場合も起こり得ます。

榎本:1億曲もあったらそうなるでしょうね(笑)

ビオレ:そうした場合でも、私たちはメタデータをあらゆる会社から集めている立場を活用して、データの正当性や品質をマッチングして確認していき、足りない情報もデータベースに補完しています。

メタデータは音楽産業のキーストーン

榎本:10年前、Spotifyの成功を機に様々なDSPが後追いで誕生しましたが、当時はとにかくメタデータが足りなくて、それが課題でした。現在、メタデータのテーマはどういったものでしょうか?

ビオレ:ストリーミングが中心になるに連れて、メタデータは音楽産業を支えるキーストーン(要石)になりました。DSP、レーベル、音楽出版、誰もがメタデータの問題を抱えています。すべてがメタデータと切り離せないからです。メタデータに問題があれば(DSPの)ユーザーも満足できません。

メタデータが整ってないと、7組のNewJeansが表示されたり、ほとんど関係の無いアルバムが表示されたりします。歌詞検索からユーザーの望む楽曲をリストするのも、複雑なメタデータがきちんと整理されていないと出来ません。

ユーザー体験が課題の第一。第二がレポートです。正しいメタデータが無ければ正しいレポートを権利者やアーティストに提出できません。ISRCをご存知ですか?

ISRCは録音物を識別する唯一の国際標準コードですが、ひとつの楽曲の録音データに7つのISRCが付いていることもあるのですよ(笑)。ひとつの楽曲が境を超えて再生されると、その国ごとの権利者のISRCが必要になる場合があります。

楽曲に正しいISRCが登録されてなければ正しいレポートが作成されず、アーティストや権利者は再生利用料を受け取ることもできなくなります。

だから私たちは各国の著作隣接権も学んできました。楽曲の再生利用料を分配するには作詞作曲だけでなく演奏者、バンドのメンバー、クレジットされたプロデューサーを楽曲ごとに把握する必要がありました。

アメリカで、SoundExchange()のメタデータを請け負ったときから、こうした仕事を始めました。SoundExchangeにはメタデータに必要な十分な情報がなかったのです。

  • SoundExchangeは、米国のデジタル配信における演奏権使用料を国内外に分配する唯一の公共団体。2023年には10億ドル[約1500億円]を分配。

アメリカで再生された他国の楽曲の利用料を、国ごとの権利者に分配するにあたりSoundExchangeは各国の隣接権団体、ローカル・レーベルからISRCを集める必要がありました。

榎本:気の遠くなる仕事ですね。SoundExchangeからの受注の経緯は?

ビオレ: Deezerが国際展開していく過程で様々な国の音楽業界と関係が出来ました。この業界は小さいですからね。SoundExchangeが私たちのことを聞き付けて、仕事が始まりました。

今では隣接権(録音)だけでなく、著作権(作詞作曲)の管理団体とも仕事をしています。これは新たなチャレンジでした。つまりISRC(録音物の国際標準コード)の次に、ISWC(作詞・作曲・編曲の国際標準音楽作品コード)を世界中で確認することになったのです。これも大変な仕事で、何年もかかりました。

このようにメタデータはDSP、ユーザー、権利者のバリューチェーンを結ぶ、いわば業界のキーストーンになっているのです。

今ではレーベルも顧客に

ビオレ:例えばDSPへのピッチ(※)にも、高品質なメタデータが必要になります。「このアーティストをプッシュしたいです」とレーベルがSpotifyApple Musicへ伝えると、「それには、こういったメタデータを追加して下さい」と求められるのですが、その追加データの要求レベルが非常に高い。

  • 新曲を人気プレイリストに取り上げてもらったり、アルゴリズムでプッシュしてもらうために音楽サブスクの担当に宣伝すること

榎本:今ではレーベルも顧客になっている?

ビオレ:増えてきています。おかげさまで私たちのカバレッジは広範囲になり、正確なメタデータを追加申し上げることができます。

個別のプロモーションだけでありません。レーベルの持つカタログを世界展開するにあたり、邦題を各国語に翻訳するのが大事になってきます。音楽輸出にはこうしたメタデータの拡充が求められます。

正確なメタデータがプロモーションに不可欠

オンラインの世界では、正確かつ充実したメタデータ無しに楽曲を広めるのは不可能です。例えばレディ・ガガを宣伝したいとします。彼女の楽曲カタログをもらっただけでは配信できません。メタデータがあって初めてSpotifyほか世界中の音楽配信に流せるのです。

正確なメタデータが無ければ、再生数の分析も不正確になります。私の予測ではストリーミングが普及するほど、ニッチが強くなります。ジャンルのようなタグ付けはますます細かくなっていますが、その入力を最初に間違えたら、何も判断できなくなります。

榎本:レーベルのスタッフがメタデータを入力する際、とりあえず人気のジャンルを入力しておく。そうすると逆にマーケティング上、不利益が出る?

ビオレ:もうひとつ課題があります。ジャンルを正確に入力したつもりでも、DSPにはあらゆるレーベルから楽曲のメタデータが入ってきます。レーベル毎にジャンルの判断基準が異なるんですね。

榎本:Music Storyは、最適なマイクロジャンルの入力でもソリューションを提供しているのですね。AIによるオーディオ解析を使っているのですか?

ビオレ:はい。オーディオ解析はフランスの音楽専門としたテック企業から技術提供を受けています。楽曲の要素をこのように(※ツール画面を表示)見ることも出来ます。

それだけなら他のスタートアップ企業もやっているかもしれませんが、私たちはオーディオ・ファイルだけでなくメタデータを膨大に持っているので、加えてセマンティック解析(意味解析)も提供しています。

AIのもうひとつの活用法ですね。チャートなどもセマンティック解析の対象になっています。楽曲同士の有機的なコネクション(意味的関連性)が分かり、それが正確なマイクロ・ジャンルの判別に役立ちます。

榎本:こうしたメタデータが楽曲レコメンデーションには欠かせない?

ビオレ:DSPのレコメンデーション・エンジンはメタデータが無いと機能しえません。ピッチ(※レーベルなどがDSPに特定の楽曲をプッシュすること)の際、DSPが正確なメタデータを求めるのはそれも理由になっています。プレイリストを編集するエディトリアル・チームも、メタデータが無ければ膨大なカタログからキュレーション出来ません。

メタデータがいくら複雑でも諦めないで下さい

榎本:メタデータを扱う会社はいくつかあると思うのですが、Music Storyが抜きん出た理由は?

ビオレ:繰り返しとなりますが、やはり15年間、音楽のメタデータに専ら集中したのが最大の理由です。対して我々の競合はわたしたちのように音楽に特化したわけではありませんでした。彼らは映画やスポーツ、テレビ番組などあらゆるエンタメを扱うようになり、音楽関連は売上のごく一部になっています。

それともうひとつ。私たちは今やメタデータを集めて提供するだけでなく、メタデータのソリューションを設計して運用するサービス・プロバイダーになりました。それも競合他社との差異点ですね。

榎本:メタデータをDSPに提供するだけではなくなったのですね?

ビオレ:会社名は出せませんが、あるクライアントはメタデータのプロバイダーやソリューションを見つけ、その品質のアセスメント(評価)を行うのに私たちを使っています。

私たちが音楽メタデータの専門家であるから、サードパーティーとして、そうした仕事も出来るのです。

榎本:音楽配信の始まった頃、メタデータはアーティスト名やアルバム名、曲名などに限られていました。Music Storyの管理画面を見ていると、今ではずいぶん種類が増えましたね。今ならではの新しい取り組みを教えてもらえますか?

ビオレ:例えばアーティストのバイオグラフィーは、今ではAIを使って作成しています。ただ、すべてをAIが書いているわけではありません。著作権や品質面で問題が出ないようにライターがチェックを入れています。

最近の取り組みだと、短いセンテンスの検索です。「二年前、食べ歩きで有名になったあの人」とか、流行したサビの歌詞の一部とか、わずかな情報からアーティストを特定します。

他にISNI(国際標準名称識別子)という比較的新しいコードにも取り組んでいます。日本でも使われています。LISAという名のアーティストは世界にたくさんいるのですが、ISNIがあると誰が誰か識別できます。この曖昧さ回避が出来ないとDSPLISAさんたちに正しく支払いができません。

榎本:日本にもメタデータをDSPに提供している企業がいくつかあります。

ビオレ:私たちはSpotifyDeezerの初期の頃から仕事を始め、世界各国で様々なDSPのメタデータを扱ってきた経験があります。その知識はきっと、日本のメタデータを改善するのに役立つと確信しています。

榎本:Music Storyは日本にチームを持っているのですか?

ビオレ:現在は数名です。LINE MUSICに関しては韓国にオペレーション・チームがあり、彼らはデジタル・カンパニーですからSlackの自動翻訳で問題なく機能しています。しかし、すべての会社がそうでないことは承知しています。仕事が始まれば現地にチームを編成するのがCEOとしての私の仕事です。先日も韓国に行ってきたばかりです。

榎本:日本の窓口は、僕とMusic Hack Day Tokyoを開いた福山泰史さんなんですね。既に日本の様々な会社とお話していると思いますが、どのような印象をお持ちですか?

ビオレ:欧米の会社と比べて多くのチェックを求めて、たくさんの人間が関わるので、時間がかかる傾向があります。しかし、それもひとつの仕事の仕方です。忍耐強く時間をかけて、改善に改善を重ねる。それがうまくいくことも多いでしょう。

メタデータの問題というのは、解決だけでなく、理解にも時間がかかるものです。私たちもなるべくシンプルに話したいのですが、どうしても複雑なアウトプットになることがあります。

それに慄くこともあるかもしれませんが、どうか問題解決の意志を持ち続けて下さい。すべての問題を一気に解決はできませんが、私たちはたくさんの問題を解決できます。

榎本:最後に日本の音楽業界へメッセージをお願いします。

ビオレ:Don’t give up on meta-data.

榎本:シンプルかつパワフルなアドバイスです。

ビオレ:メタデータに関して「もう無理だ。管理できない」と言うのをたくさんの人から聞きました。しかし、一緒に最善を尽くしましょう。問題は解決できます。

榎本:本日はお忙しい中、ありがとうございました。

インタビュワー・プロフィール

榎本幹朗(えのもと・みきろう)

1974年東京生。Musicman編集長・作家・音楽産業を専門とするコンサルタント。上智大学に在学中から仕事を始め、草創期のライヴ・ストリーミング番組のディレクターとなる。ぴあに転職後、音楽配信の専門家として独立。2017年まで京都精華大学講師。寄稿先はWIRED、文藝春秋、週刊ダイヤモンド、プレジデントなど。朝日新聞、ブルームバーグに取材協力。NHK、テレビ朝日、日本テレビにゲスト出演。著書に「音楽が未来を連れてくる」「THE NEXT BIG THING スティーブ・ジョブズと日本の環太平洋創作戦記」(DU BOOKS)。現在『新潮』にて「AIが音楽を変える日」を連載中。

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